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テスター・アダプターの製作(2)


工事中(2020/04/06)
  1. 概要

    アナログ・テスター(直流電圧レンジ)または直流電圧計に接続して
    交流電圧の実効値を測定するためのアダプターです。
    増幅回路を内蔵することによりmVオーダーの電圧も測定出来ます。

  2. 仕様

    1. 測定周波数:50Hz〜20kHz(暫定)
    2. 測定電圧:1mV〜250V(12レンジ)
    3. 入力インピーダンス:1MΩ
    4. 表示モード:実効値(正弦波)/ピークtoピーク

  3. 外観

    1. 正面

      後報

    2. 裏面

      後報

  4. ブロック図



    1. アッテネータ回路
      入力端子からまず直流分を遮断するコンデンサーを通ります。
      その後は、抵抗分圧回路です。
      次段の増幅回路の入力電圧が最大50mVなので、ここの分圧回路で
      50mVrmsの交流電圧になるようロータリー・スイッチによりレンジを選択します。

    2. 増幅部(初段FET増幅部)
      分圧回路と測定回路に影響を与えないよう、入力インピーダンスの大きい
      FETにより増幅を行います。
      FETの手前には誤って過電圧を入力した場合でもFETを損傷しないように
      抵抗とダイオードによる保護回路を設けています。
      分圧回路からは最大50mVrmsの交流電圧が入力されます。
      初段の増幅回路では電圧を10倍に増幅します。
      増幅度はばらつかないよう交流負帰還をかけます。

    3. 増幅部(第2段FET増幅部)
      ここの増幅回路では20dBの増幅を行います。
      無信号時のコレクタの直流電圧は0V付近になるよう直流設計し
      増幅度は20dBになるようエミッタ抵抗を調整します。

    4. エミッターフォロワー
      増幅回路の次段となる整流回路はインピーダンスが数kΩであるため
      エミッター・フォロワーによりドライブします。
      エミッタ電流は2mAで設計します。
      前段の増幅回路であるエミッタ接地回路とはコンデンサーを介さず
      直結接続とします。

    5. 整流回路
      倍圧整流による両波整流です。
      ダイオードの順方向電圧電圧により相対誤差が大きくならないよう
      出来るだけ大振幅の交流電圧を入力します。
      具体的には、表示部のアナログ電圧計としてフルスケール10Vの
      ものを使用することを想定します。

    6. 電源回路
      増幅回路の振幅をなるべく大きくするために、高めの電源電圧にしました。
      負荷電流は大きく変動しないので(外部に接続するアナログ直流電圧計
      のみなので最大50μAくらい)ツェナーダイオードによる単純な
      シャント・レギュレータとします。


  5. 回路図

    1. 暫定回路(整流部)


    2. 暫定回路(電源部)


    3. 暫定回路(増幅部)


    4. 暫定回路(アッテネータ部)


  6. 設計

    1. アッテネータ回路
      入力端子より、まず直流分を遮断するのためのコンデンサーを通ります。
      この後は単純抵抗分圧です。ロータリー・スイッチによりRANGEを選択します。
      回路構成より、入力インピーダンスは1MΩとなります。
      コンデンサーと分圧抵抗でローカット・フィルタを形成しますが、
      カットオフ周波数は1/(2×π×1μF×1MΩ) = 0.16[Hz]です。
      仕様では測定周波数の下限は50[Hz]なので、コンデンサはもう1桁小さい
      0.1μFでも問題ないと思いますが耐圧は出来るだけ高いものを選択します。

    2. 増幅部(第1〜2段FETー増幅部)
      1段目は入力インピーダンスを高くしたいのでFETを使用します。
      当初、2段目の増幅と3段目はバイポーラトランジスタを使用するつもり
      でしたが、全て接合型FETにすることにしました。

      1段目はFETを使用するのは当然としても、2段目以降にFETを使用する例は
      文献やネットで検索したところ、ほとんど見当たりませんでした。
      ソース・フォロワーよりエミッタ・フォロワーの
      方が出力インピーダンスが低いようなので、これは判るにしても
      トランジスタの方がFETより増幅度が有利なためでしょうか、
      2段目以降にFETを使用するメリットはあまりないようです。
      しかし、使えないことはないと思うので今回は全てFETにします。

      増幅回路間のカップリング・コンデンサは省略して直結回路とします。
      この場合、直流動作点が苦しくならないように、1段目と3段目は
      N-チャネルを使用しますが、2段目は定石通りP-チャネルとします。

      多段増幅の場合、交流負帰還は最終段から初段へ一括してかけるのが
      筋のいい(?)回路構成と思われますが、今回は原始的にするため
      負帰還は個別にかけます。

      入力部には、過大入力に対する保護回路を設けています。
      初段増幅部のゲートがアッテネータがないとグランドから浮いてしまうのが
      少し気持ち悪いですが、やむなしとしました。

    3. エミッターフォロワー

    4. 整流回路
      整流回路部分の回路を試作して入出力特性を測定してみました。
      グラフは、直流電圧計の10V、0.5V、25Vレンジでの測定結果です。
      まず、気になるのが、フルスケール付近でのグラフの曲がりです。
      実は、これアナログ電圧計の誤差です。
      以前、アナログ電圧計を直流電位差計で校正した際、
      フルスケールの90〜100%くらいで大きく誤差が増えることが
      判っていました。ので、今回使用するアナログ電圧計は
      精度を確保するためには90%くらまでしか使用できません。(>_<)

      これはどうしようもないので諦めることにしても、
      心配していたのは、メーターの振れが小さいときです。
      1.0Vあたりより小さい電圧ではダイオードの影響により
      グラフが直線からずれるのではないかと思っていたのですが、
      意外と直線性がよいという結果になりました。

    5. 電源回路
      手元に適当な電源トランスがなかったことから、結局15V-0V-15Vの
      トランスを購入することにしました。

      直流の消費電流の見積もりは、
      初段増幅:1mA
      2段目増幅:1mA
      バッファ段:2mA
      LED:5mA
      外部電圧計:0.1mA

      から、合計9.1mA≒9mAとなります。

      これにツェナーダイオードの電流を15mAとすれば、抵抗器の値は
      (15×√2−10.2) / (9m + 15m) = 456 [Ω}

      となることからE-6系列の470Ωとします。
      改めて抵抗器を流れる電流を計算すると、
      (15×√2−10.2) / 470 = 23.3 [mA]

      となることからツェナーダイオードの電流は14.3 [mA]となります。

      機器の構成上、通常、負荷の端子が開放されたりGNDに短絡されたりすることは
      ないはずですが、動作確認の段階ではあり得るので問題ないかを確認しておきます。

      負荷開放時:ツェナーダイオードに23.3 [mA]の電流が流れます。
      損失は23.3 [mA]×5.1[V] = 119[mW]となり、最大定格の500[mW]以下であり
      問題ないと思います。

      負荷短絡時(Vcc-GND間、Vdd-GND間):抵抗器の損失は(15×√2)の2乗/470 = 0.96[W]
      となり、ディレーティングがぎりぎりなので2Wを使用する予定ですが、
      すぐに燃えてしまうこともないと思うので、入手や実装(大きさ)次第では
      1[W}で済ませるかもしれません。(^^;


  7. 使用部品


  8. 製作

    1. 正面配置案



    2. 裏面配置案



  9. 動作確認











  10. 校正手順(工事中)

    1. 後報

  11. 関連項目

    1. 関連図



    2. FETの静特性測定
    3. FETによる増幅(負帰還有り)
    4. FET増幅(ソース・フォロワー)
    5. ツェナーダイオードの静特性測定
    6. ツェナーダイオードによるシャントレギュレーター
    7. ダイオードの静特性測定
    8. 両派整流回路
    9. 倍圧整流回路
    10. CR回路の周波数特性
  12. 今後の課題

  13. 参考文献





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