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テスター・アダプターの製作(1号機)


本ページ作成。(2024/08/05)
  1. 概要

  2. アナログ・テスター(直流電圧レンジ)または直流電圧計に接続して
    交流電圧を測定するためのアダプターです。
    増幅回路を内蔵しているのでmVオーダーの電圧も測定出来ます。
    周波数特性については、当初50Hz〜20kHzを目指したのですが、アッテネータ部の
    設計に失敗してしまい、〜500Hzまでとなってしまいました。(ToT)

  3. 仕様

    1. 測定周波数:50Hz〜500Hz
    2. 測定電圧:50mV〜250V(12レンジ)
    3. 入力インピーダンス:1MΩ
    4. 表示モード:実効値(正弦波)/ピークtoピーク

  4. 外観

    1. 正面


    2. 裏面


  5. ブロック図

  6. ブロック図は下記となります。
    ブロック間の信号レベルは直流電圧計がフルスケールとなるときの値です。


    1. アッテネータ(ATT)部
    2. 入力端子からまず直流分を遮断するコンデンサーを通ります。
      その後は、抵抗分圧回路です。
      次段の増幅回路の入力電圧が最大50mVなので、ここの分圧回路で
      50mV(rms)以内の交流電圧になるようロータリー・スイッチにより
      レンジを選択します。

    3. 初段FET増幅部
    4. 分圧回路と測定回路に影響を与えないよう、入力インピーダンスの大きい
      FETにより増幅を行います。
      FETの手前には誤って過電圧を入力した場合でもFETを損傷しないように
      抵抗とダイオードによる保護回路を設けています。
      分圧回路からは最大50mV(rms)の交流電圧が入力され、
      初段の増幅回路では電圧を20dB(10倍)増幅します。
      増幅度はばらつかないよう交流負帰還をかけます。

    5. 第2段FET増幅部
    6. 1段目はFETを使用するのは当然としても、ソース接地のFETで2段増幅する回路は
      文献やネットで検索したところ、ほとんど見当たりませんでした。
      FETよりバイポーラ・トランジスタの方が増幅度が大きく有利なためでしょうか、
      2段目以降にFETを使用するメリットはあまりないようです。
      しかし、使えないことはないと思うので今回は全てFETにします。

      増幅回路間のカップリング・コンデンサは省略して直結回路とします。
      多段増幅の場合、交流負帰還は最終段から初段へ一括してかけるのが
      筋のいい(?)回路構成かもしれませんが、今回は原始的(?)にするため
      負帰還は個別にかけます。

      ここの増幅回路では8dB/17dBの増幅を行います。
      実効値表示する場合は8dB、ピークtoピーク(pp)表示する場合は17dBの
      増幅度になるよう切り換えます。
      増幅度は校正出来るよう半固定抵抗器で調整します。

    7. ソースフォロワー(FETバッファ)
    8. 増幅回路の次段となる整流回路はインピーダンスが約20kΩであるため
      ソース・フォロワーによりドライブします。
      前段の増幅回路であるソース接地回路とはコンデンサーを介さず
      直結接続とします。
      FETによるソースフォロワーは、トランジスタに比べ出力インピーダンスが高く
      かつ増幅度も0.6〜0.8くらいになるので注意が必要です。

    9. 整流回路
    10. 倍圧整流による両波整流です。
      ダイオードの順方向電圧電圧により相対誤差が大きくならないよう
      出来るだけ大振幅の交流電圧を入力します。
      表示部のアナログ電圧計としてフルスケール5Vの
      ものを使用することを想定します。
      この場合、交流電圧の測定(ACプローブ) の実験の結果から、
      必要な交流入力の電圧は約2.3[V]です。

    11. 電源回路
    12. 増幅回路の振幅をなるべく大きくするために、なるべく高い電源電圧に
      したかったのですが、結局、±10Vとしました。
      電源の負荷電流は比較的小さく、かつ大きく変動しないと考えられること、
      また、本機の出力は5Vレンジのアナログ直流電圧計なので、リプルの影響は
      小さいと考え、ツェナーダイオードによる単純なシャント・レギュレータ
      としました。

  7. 回路図

    1. アッテネータ部回路

    2. 500kΩ、50kΩ、5kΩはE192系列にもない抵抗値ですが、本機の製作に着手した時点で
      たまたま手に入ったものです。通常は、2k+3kとか組合せることになるでしょう。

    3. 増幅部回路


    4. 整流部回路


    5. 電源部回路


  8. 設計

    1. アッテネータ回路
    2. 入力端子より、まず直流分を遮断するのためのコンデンサー(C14)を通ります。
      この後は単純抵抗分圧です。ロータリー・スイッチにより必要なRANGEを選択出来るよう
      分圧比を決めていきます。抵抗の合計値が入力インピーダンスになるので、
      本機の入力インピーダンスは1MΩとなります。
      コンデンサー(C14)と分圧抵抗でローカット・フィルタを形成しますが、
      カットオフ周波数は1/(2×π×1μF×1MΩ) = 0.16[Hz]です。
      仕様では測定周波数の下限は50[Hz]なので、C14=1[μF]で問題ないと思います。
      耐圧は250Vのものを使用しましたが、多少ディレーティング(余裕)が欲しいところでした。

    3. 増幅部(初段: Q1)
    4. 入力部には、過大入力に対する保護回路である ダイオード・リミッターを設けています。
      瞬時値250[V]の電圧をかけたとき、ダイオードの電流を25[mA]に制限するため
      抵抗(R8)は10[kΩ]としました。

      増幅はFETを使用しているので、入力インピーダンスが高く、アッテネータ回路の
      分圧比に影響を与えないのは良いのですが、ロータリー・スイッチでレンジを
      切り変える際、瞬間的にオープンになっているせいか、
      レンジを切り替えるたびにノイズが乗ってしまい、メーターが
      やや振れてしまうのですが、やむなしとしました。

      FETは26dB(20倍)の電圧増幅度が必要なのでgmの大きい2SK2881-Dを
      使用しました。 負帰還ありのソース接地増幅回路の実験結果から、
      IDSSは4.0[mA]、Vpは-0.3[V]と仮定しました。
      ドレイン電流ID1をIDSSの1/2とすればID1 = 2.0[mA]となり
      概算式より
      |VGS| ≒ 0.3*|Vp| = 0.3 * 0.3 ≒ 0.1[V]

      となるので、ソース端子の電位は0.1[V]です。
      直流に対するソース抵抗RS1(=R10+R11)の値は
      RS1 = 10.1[V] / ID1 = 10.1 / 0.002 = 5050[Ω]

      E6系列から選定し、 R11 = 4.7[kΩ]としました。

      初段のドレインの信号レベルは1[V](max)くらいなので、ドレインの直流電圧は
      比較的に自由に選べそうですが、実際には次段と直結回路としているので
      次段のバイアス電圧との兼ね合いがあります。
      しかし増幅度をかせぐためにはドレイン抵抗(R9)の値はなるべく大きく
      したいところではあります。仮にR9の両端の電圧を6[V]とすると
      R9 = 6[V] / ID1 = 6 / 0.002 = 3000[Ω]

      E6系列から選定しすると R9 = 3.3[kΩ]となりますが、次段のバイアス電圧との
      兼ね合いで、手元に在庫のあった E12系列であるR19 = 2.7[kΩ]としました。

      直流的にはこれで設計完了ですが、このままでは増幅度が足りません。
      増幅度(Av)を与える式は下記となります。
      Av = −gm * (RD//RL) /( 1 + gm * Rs)

      ここで、RLは2段目(Q2)の入力インピーダンスになるので、直結回路となる今回は
      無限大です。従って、電圧増幅度は
      Av = −gm * RD /( 1 + gm * Rs)

      となります。この式をRsについて解いて
      Rs = -(1/gm) * (gm * RD / Av - 1)

      で計算します。相互コンダクタンスgmは以下の式から概算します。
      gm ≒ 0.7 * yfs

      ここでyfsはデータシートより15[mS]となるので
      gm ≒ 0.7 * yfs = 0.7 * 0.015 = 10.5[mS]

      初段の増幅度AV1は-20[倍]なので、交流に対するソース抵抗の値は
      Rs = -(1/0.0105) * (0.0105 * 2700 / (-20) - 1) ≒ 40[Ω]

      E6系列から選定して R10 = 47[Ω]とします。
      結局、初段のソース抵抗は4.7[kΩ]と47[Ω]を直列に接続し、接続点からバイパス・
      コンデンサー(C7)でグランドに接続します。こうすることにより、直流に対しては4747[Ω]、
      交流に対しては47[Ω]のソース抵抗になります。

      以上のように抵抗値を決めて、Q1まわりの電流と電圧を再計算します。
      まず、VGS=0.1[V]なのでQ1のソース電圧(対グランド)は
      0.1[V]でした。
      R10+R11=4747[Ω]となるので、ドレイン電流ID1
      ID1 = 10.1/4747 ≒ 2.1[mA]

      R9両端の電圧(VR9)は
      VR9 = ID1 * R9 = 0.0021 * 2700 = 5.67[V]

      となるので、Q1のドレインの電圧(対グランド、=Q2のゲート電圧)は
      10 - 5.67 ≒ 4.3[V]

      バイパス・コンデンサーの値ですが、負帰還なしのときの値を目安としました。
      バイパス・コンデンサーによるカットオフ周波数(fs)は下記の式となるので、
      fs = gm/(2π * CS)

      これを変形すると必要な容量は、
      CS >> gm /(2π * fs)

      fs=50Hzとして具体的に計算すると
      CS >> 0.0105 /(2π * 50) ≒ 33[μF]

      十分な余裕をみて、C7 = 470[μF]としました。

    5. 増幅部(2段目: Q2)
    6. FETはPチャネルの2SJ498を使用しました。
      まず、gmを計算します。
      データシートより yfs = 4.0[mS](typ)となるのでQ1と 同じ式を使って、
      gm ≒ 0.7 * yfs = 0.7 * 0.004 = 2.8[mS]

      次に、|VGS|を計算します。データシートよりVp=1.5[V](typ)なので 概算式より
      |VGS| ≒ 0.3*|Vp| = 0.3 * 1.5 ≒ 0.45[V]

      Q2はpチャネルなので、バイアスの極性が混乱してしまいますが(^^;
      ゲートよりソースの電圧が低くなります。ゲート電圧はQ1のドレイン電圧ですので、
      4.3[V]でした。よって、Q2のソースの対グランドの電圧は4.3-0.45≒3.8[V]です。

      2SJ498-DのIDSSは-4[mA]なのでID=-2[mA]で設計します。
      するとQ2のソース抵抗が下記の計算で決まります。
      (Vcc - Q2のソース電圧)/ID2 = (10-3.8)/0.002 = 3100[Ω]

      実際には、Q2の交流に対する抵抗値を変えることにより、増幅度の調整をすることから
      500[Ω]の可変抵抗器、1[kΩ]の可変抵抗器、1.5[kΩ]の固定抵抗器を直列接続して
      実現しました。ドレイン電流を再計算すると
      (Vcc - Q2のソース電圧)/(500 + 1k + 1.5k) = (10-3.8)/3000 ≒ 2.1[mA]

      Q2のドレインの信号はやや振幅が大きくなります。なので、最初Q2の対グランドの
      ドレイン電圧は0[V]あたりを狙ってドレイン抵抗(R13)決めました。この場合、
      R13 = (0[V] - Vdd)/ID2 = (0 - (-10))/0.0021 = 4762[Ω]

      となるので、R13 = 4.7[kΩ]と最初はしたのですが・・・・。
      実は、実験の結果R13 = 3.3[kΩ]とした方が最大振幅のときの波形のつぶれが
      小さくなりました。FETの大振幅動作に対する考察がまだ不十分なことから(-_-;;
      R13は実験で決めてしまいました。orz

      この結果、R13の両端の電圧は
      0.0021[mA] * 3300 ≒ 6.9[V]
      です。Q2のドレインの対グランドの電圧(Q3のゲートの電圧)は
      Vdd + 6.9 = -10 + 6.9 = -3.1[V]
      となります。

      必要な増幅度を得るためのソースの抵抗値ですが、RMSモード時、8dB(約2.5倍)、
      ピークtoピークモード時、17dB(約7.1倍)ですので、Q1と同じ式を使って
      Rs = -(1/gm) * (gm * RD / Av - 1)

      から、RMSモード時、
      Rs = -(1/0.0028) * (0.0028 * 3300 / -2.5 - 1) ≒ 963[Ω]
      ピークtoピーク・モード時
      Rs = -(1/0.0028) * (0.0028 * 3300 / -7.1 - 1) ≒ 108[Ω]

      この値になるようピークtoピーク・モードではVR3の500[Ω]の半固定抵抗で、
      またRMSモード時はVR2の1[kΩ]の半固定抵抗で調整します。
      (RMSモード時の抵抗値の可変範囲は500〜1500[Ω])

      バイパス・コンデンサー(C8)の値ですが、Q1と同じ式で求めます。
      CS >> gm /(2π * fs)

      fs=50Hzとして具体的に計算すると
      CS >> 0.0028 /(2π * 50) ≒ 9[μF]

      十分な余裕をみて、C8 = 100[μF]としました。


    7. エミッターフォロワー(Q3)
    8. Q1と同じ2SK2881-Dでも良かったと思いますが、2SK2880-Dを使用しました。
      データシートよりVp=-1.5[V]です。よって、
      |VGS| ≒ 0.3*|Vp| = 0.3 * 1.5 ≒ 0.45[V]

      Q3のゲート電圧は前項より、-3.1[V]でした。
      ソースの電圧はゲートより0.45[V]高くなるので、
      -3.1 + 0.45 ≒ -2.7[V]
      となります。

      2SK2880-DのIDSS=4.0[mA]とすれば、その1/2にIDを設定すると
      R14 = (-2.7 - Vdd)/ID = {-2.7 - (-10)}/0.002 = 3650[Ω]

      E6系列から選定して R14 = 3.3[kΩ]とします。

      この場合のQ3のドレイン電流は
      {-2.7 - (-10)}/3300 ≒ 2.2[mA]

      となります。

      出力側のカップリング・コンデンサー(C9)の値ですが、次段となる整流回路の
      等価的なインピーダンスがうまく計算出来なかったので、理論的な必要量を
      算出出来ませんでした。
      やむなく、内部抵抗100[kΩ]のアナログ電圧計を直流出力の端子に接続し
      入力インピーダンスの簡易測定法により
      整流部のインピーダンスを測定したところ、約20[kΩ]でした。
      (整流部に対し、この測定法を使うことに意味があるかどうかは定かではありませんが。)
      そうすると、C9によるローカット・フィルタのカットオフ周波数(fo)は
      fo = 1/{2π * Co * (Zo + RL)}

      で与えられます。これをCoの式に変形して
      C9 >> 1/{2π * fo * (Zo + RL)}

      となるようにC9を決めます。
      RLは整流部のインピーダンスとR15との並列なので、
      RL = 20[kΩ]//R15 = 20[kΩ]//100[kΩ] = 20*100/(20+100) ≒ 16.7[kΩ]

      また、Zoは次の式で与えられます(上記foのリンクを見てください)。
      Zo = {rd/(μ+1) * RS} / {rd/(μ+1) + RS}

      データシートよりrd=100[kΩ](=|1/yos| = 1/10[mS])、 かつyfs = 3[mS](typ)であり、
      概算式gm ≒ 0.7 * yfsμ = gm * rd の関係を使って
      gm ≒ 0.7 * yfs = 0.7 * 0.003 = 2.1[mS]
      μ = gm * rd = 0.0021 * 100,000 = 210
      Zo = {rd/(μ+1) * RS} / {rd/(μ+1) + RS}
       = {100,000 / (210 + 1) * 3300} / {100,000 / (210 + 1) + 3300} ≒ 415[Ω]

      と求められ、さらにfoとして50[Hz]を代入するとC9は
      C9 >> 1/{2π * fo * (Zo + RL)}
         = 1/{2π * 50 * (415 + 16,700)} ≒ 0.2[μF]

      となって小さな値で済みます。
      しかし、次段の整流部の入力にあるコンデンサー(C1,C12)に影響しないように
      C9 >> C1+C12 = 3.3[μF]
      となるように決めたかったので、結局C9=100[μF]としました。

    9. 整流回路
    10. 趣味の電気計測実験−交流電圧の測定(ACプローブ) の実験の結果、
      表示に使用する直流電圧計の電圧レンジは5[V]を使用することにしました。
      これは10[V]レンジでは本機の増幅部が飽和してしまいフルスケールまで
      針を振れさせることが出来ないことが判明したためです。

      装置が完成してから周波数特性を測定したところ50Hzでやや感度が落ちました。
      調べたところC1=1[μF]がやや小さいことが原因のようでした。
      このためC12=2.2[μF]をC1と並列に接続しました。
      このコンデンサーは大きいほど、周波数特性が低い方に伸びていきますが
      このコンデンサーを大きくし過ぎると、アナログ・メーターが振れた後
      0に戻る時間が長くなり、使いづらくなります。

      「OFFSET」調整の回路は、測定電圧が小さいときダイオードの順方向電圧による誤差を
      小さくすることを狙った回路ですが
      趣味の電気計測実験−交流電圧の測定(ACプローブ) の実験の結果、
      効果が乏しいことが判明したので使用していません。
      とりあえず本機では回路が残っていますが、VR1は一番グランド側に設定しています。
      なので、この回路は必要がないので、「DC OUT」のマイナス側端子はグランドに
      直結してかまいません。

    11. LED点灯回路
    12. 赤色のLEDを使用します。
      VccとVddの電流のバランスをとるために(今回はバランスをとる必要があるのか
      よく分かりませんが)、Vcc〜Vdd間に接続しました。
      LEDの電流は5〜10[mA]になるよう直列抵抗を決めます。
      仮に電流を5[mA]、LEDの両端の電圧を2[V]とすれば、必要な抵抗値は
      (Vcc - Vdd -2)/電流 = (10 - (-10) -2)/0.005 = 3600[Ω]

      抵抗は2.2[kΩ](R6)と1[kΩ](R7)を直列に接続し、合計3.2[kΩ]としました。
      これは、VccとVddを直接基板の外に出したくないと思ったからですが
      そこまで気にする必要はないかもしれません(ショートしてもR4とR5で
      電流制限されるから)。LEDに流れる電流は、18[V]/3200 = 5.6[mA]です。

    13. 電源回路
    14. 増幅部基板の電源バイパス・コンデンサー
    15. Vcc側、Vdd側とも10[μF]をつけました。
      増幅回路のバイパス・コンデンサーが100〜470[μF]なので小さすぎたかなと
      後で思いましたが、とくに問題が発生していないので、そのままにしてあります。
      (C7の接続先をグランドにした場合と、Vddにした場合とで若干増幅度が変わります。
       電源のパスコンの影響かもしれません。)

    16. おまけ
    17. 可能な限り机上設計を試みましたが、最後はカット・アンド・トライになってしまいました。(-_-;
      (R13やC12など)
      まだまだ、理論的につめる課題がありそうです。

  9. 使用部品

  10. 特殊な部品は使用していませんが、気のついた点を以下に記載します。

    1. アッテネータ部の抵抗
    2. 測定精度に関わるので誤差1%の金属皮膜抵抗を使用しました。
      抵抗としては若干高価ですが、ケチるのはよくありません。(^^;

    3. 整流部のコンデンサー(C1)
    4. 周波数特性の良いフィルム系のコンデンサーを使用しましたが、低域周波数の
      改善のために、結局C12=2.2[μF]の電解コンデンサーを並列に接続してしまいました。
      アダプタとしての周波数特性も〜500[Hz]としてので、フィルム系でなくても
      C1とC12をまとめて3.3[μF]の電解コンデンサーで良いと思います。

    5. FET
    6. FETの選定は、部品の入手の容易さから3種類とも秋月電子で販売されていた
      品種から選定しました。Q1は増幅度が必要なので相互コンダクタンスgm
      大きなものを使用する必要があります。

  11. 製作

  12. ケースは定番のCN-13Nを使用しました。

    1. 正面寸法図


    2. 裏面寸法図


    3. 全体配線図
    4. 電源基板のAC 100V以外の配線は、プリント基板を外せるようにコネクタを
      使用しました。


    5. 内部実装
    6. 基板は、写真左から、電源部、増幅部、整流部の3枚。
      だいぶ窮屈。(>_<)


  13. 動作確認・校正

  14. VR2とVR3により増幅回路の増幅度の調整が必要です。
    VR1は最小値に設定し調整不要です。
    下図のように校正のために適当な信号源を用意します。
    今回はトランス・ボックスを使用しました。



    1. 上記の回路を組み立てます。
    2. 5kΩを最大にします。
    3. RMSモード
    4. テスターの読みと直流電圧計の読み(テスター・アダプターのレンジで換算した値)が
      同じになるようVR2を調整します。
    5. ピークtoピークモード
    6. RMSモードで5kΩVRの値を絞り、直流電圧計の振れをフルスケールの3割以下にします。
    7. モード・スイッチを切り換え、ピークtoピークモードにします。
    8. 直流電圧計の読み(テスター・アダプターのレンジで換算した値)をテスターの読みの
      2.8倍(≒2*√2)になるようVR3を調整します。

    以上なのですが、
    ちなみに、波形歪の少ない正弦波の信号源の準備(自作)はなかなか難しいと思われます。
    そもそも、直流電圧に比べて、交流電圧の校正基準はどうしたらよいのか
    いまひとつ解っておりません。(>_<)

  15. 特性測定

    1. 直流動作点
    2. 設計値の電圧を四角の枠内に、また実機での測定値を黄色の吹き出しで
      下図に記載しました。概ね、設計通りで問題ないと思います。


    3. 周波数特性
      1. 50mVレンジ
      2. アッテネータの減衰が0となる50mVレンジです。
        アッテネータの影響を受けないので、20kHzあたりまで伸びています。


      3. 100mVレンジ
      4. 一番周波数特性の悪い、100mVレンジです。
        500Hzあたりから悪化しています。(T_T)
        このあと、測定レンジが大きくなるほど周波数特性は改善します。


      5. 5Vレンジ
      6. 多少誤差を許容すれば、5kHzあたりまで伸びています。


    4. 入出力特性
    5. フルスケールあたりでグラフが下がっているのは使用したアナログ
      直流電圧計の誤差です。
      2.0V以下で、少しマイナス方向の誤差が出ています。
      これは整流回路でのダイオードの順方向電圧による誤差と思われます。


    6. 入出力特性(表示にアナログテスターを使用した場合)
    7. 表示用のアナログ・メータをアナログ・テスターに変えた場合の入出力特性です。
      アナログ・テスターは5[V]レンジがなかったので10[V]レンジを使用しました。
      本機の直流出力はインピーダンスが低くないので、負荷となるアナログ・メーターの
      内部インピーダンスにより表示が変化すると思われますが、たまたまアナログ・テスターの
      10[V]レンジでは100[kΩ]と同じ値であったので、再校正することなく測定値を直接比較
      出来ました。フルスケール近くの直線性がよく誤差が小さいのが判ります。
      逆に0付近の誤差は大きいようです。
      誤差の検討は別途必要ですが、やはり、パネル・メーターよりアナログ・テスターの方が
      分解能が高いので使い易いと感じます。


    8. 仕様変更
    9. 当初、周波数特性としては50〜20kHzを目指したのですが、アッテネータの
      致命的な欠点のため、入力インピーダンス:1[MΩ]を優先して、周波数特性は
      500Hzまでで諦めることにしました。(T_T)

  16. 関連項目

    1. 関連図



    2. トランジスタ・パルス回路の実験− ダイオード・リミッターの実験
    3. 電子回路−FET
    4. FETのデバイス実験−FETの静特性測定実験
    5. FETのデバイス実験− ソース接地増幅回路(負帰還なし)の実験
    6. FETのデバイス実験− ソース接地増幅回路(負帰還有り)の実験
    7. FETのデバイス実験−ドレイン接地の実験
    8. FET増幅回路の設計−自己バイアス回路の応用
    9. FET増幅回路の実験− 2石直結アンプ(ソース接地〜ソース接地)の実験
    10. FET増幅回路の実験− 2石直結アンプ(ソース接地〜ドレイン接地)の実験
    11. 電子回路−倍電圧整流回路の動作
    12. 趣味の電気計測実験−交流電圧の測定(ACプローブ)
    13. 電子回路−平滑回路(コンデンサー入力)の動作
    14. 電源回路の実験−平滑回路の実験
    15. 電子回路−整流用ダイオードの逆耐圧と電流
    16. 電源回路の実験− ツェナーダイオードによるの定電圧電源回路の実験
    17. ダイオードの基本特性測定の実験− ツェナーダイオードの静特性測定の実験
    18. 実験用安定化電源の製作−簡易安定化電源の製作
    19. 自作計測回路−入力インピーダンスの簡易測定法
    20. 小物ツール−トランス・ボックス
    21. 抵抗器に関する情報−E系列
  17. 今後の課題

    1. アッテネータの抵抗値
    2. 今回、最大の失敗であるアッテネータの抵抗値はもっと小さくする必要があります。
      そうすると、そのままの回路構成では入力インピーダンスが下がってしまいますので
      入力とアッテネータの間にバッファーアンプを追加することになるでしょう。
      しかし、そうすると、入力電圧の最大値がバッファーアンプで制限されてしまうので
      バッファアンプの電源電圧を出来るだけ大きくする必要があるでしょう。
      その場合、測定電圧(レンジ)の最大値は、数ボルトで諦めることになりそうです。

    3. 表示用アナログ直流電圧計
    4. 今回は増幅回路のダイナミック・レンジの限界から、アナログ直流電圧計の5[V]レンジを
      使用しました。しかし、電圧レベルが低いと、整流用ダイオードの順方向電圧による
      誤差が大きくなるので、10[V]レンジ以上としたいところです。
      そのためにも電源電圧をもっと上げる必要があるでしょう。
      使用するアナログ直流電圧計の精度と分解能も問題です。

    5. 電源電圧
    6. 前項と内容がダブりますが、今回は±10[V]の電源を使用したのですが、
      しかし、±15[V]〜±20[V]とすべきでした。
      これは今考えると、勘違いだったのですが、信号の振幅が大きくなり過ぎると
      整流用ダイオードの逆方向耐圧がもたないと思ったためです。
      しかし、少なくとも±15[V]でも全然問題ありませんでした。

    7. ピークtoピーク表示
    8. このモードが必要だったかどうかはまだよく判りません。(^^;
      実効値表示は信号が正弦波であることが前提なので波形歪が多いと誤差が増えます。
      そもそも、整流回路はピークtoピーク型なので、ピークtoピーク表示の方が
      測定値が信頼出来るのではないかとの判断でした。
      しかし、ピークtoピークの値が知りたい連続波形ってそんなにあるのかな?
      と今は思います。そのときは波形をオシロスコープで見た方が良いのではないか
      という気がします。(-_-?
  18. 参考文献

  19. たくさんあった気がしますが、多すぎて覚えていないので省略します。(^^;

  20. 製作後記

  21. 性能としてはいまひとつの測定器となりましたが
    長年の懸案であったmVの交流電圧をアナログ・メーター(アナログ・テスター)で
    測定するテスター・アダプターがようやく完成しました。\(^o^)/
    構想段階から数えると20年以上かかかったと思います。(^^ゞ
    演算増幅器(オペアンプ)を使えばもっと簡単かつ高精度に出来るのは当然ですが、
    ディスクリートで製作することに対するこだわりからずいぶん苦労しました。
    (他人からは全く無意味に見えるでしょうし、事実合理的な理由はないのですが。笑)
    当初、バイポーラ・トランジスタとの併用で製作する計画だったものを
    一般的でないことを承知でオールFETで製作する判断をしたのは2019年の暮れから2020年の
    年初あたりだったと思います。(計画段階では真空管を使うことも考えました。爆笑)
    その後も、回路設計のミスや配線間違いなどを繰り返し、ようやく日の目を見ました。
    まあ何はともあれ、本装置の完成で、ようやく次の実験に進むことが出来ます。
    性能の向上は、いつか着手するであろう、オペアンプ等を使用した2号機以降で目指します。


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