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FET増幅回路の設計


本ページ作成開始。自己バイアス回路の設計 について記載。(2023/07/27)
FETの1石増幅回路の設計 について記載。(2024/05/05)
自己バイアス回路の応用 について記載。(2024/05/18)
  1. 固定バイアス回路

  2. ほとんど使用されないので省略。

  3. 自己バイアス回路の設計

  4. バイアス回路とは何かについては、電子回路の FETの項を参照してください。

    1. 自己バイアス回路の構成


    2. 前提条件
        (1)電源電圧: VDD
        (2)ドレイン電流(VGS = 0): IDSS
        (3)ピンチオフ電圧: VP
        (4)相互コンダクタンス(VGS = 0): yfs
        (5)FETの動作点におけるIDは(1/2)IDSSに設定する。

        (6)FETのドレイン〜ソース間電圧はVDSに設定する。
        (しばしば、VDSはVDDの1/2〜(VDD-Vs)の1/2あたりに
        設定しましす。) (2024/5/18追記)

    3. バイアス回路の設計手順
        (1)RSの計算
          自己バイアス回路の構成から次の式が成り立ちます。
          VS = RS * ID
          FETのゲート(G)は抵抗器(RG)によりグランドに接続されているので
          VG = 0[V]
          です。従って、FETのバイアス電圧VGS
          VS + VGS = 0
          ∴ VGS = −VS
          ∴ VGS = −RS * ID ・・・・・ (1)

          一方、FETの伝達特性は次の2次式で近似できます。
          ID = IDSS ( 1 - |VGS/Vp|)2  ・・・・・ (2)

          条件(5)より、FETの動作点としてIDを(1/2)IDSSに設定するとすれば
          ID = (1/2)IDSS ・・・・・ (3)

          (3)式を(1)式と(2)式にそれぞれ代入してIDを消去します。
          VGS = −RS * (1/2)IDSS ・・・・・ (4)
          (1/2)IDSS = IDSS ( 1 - |VGS/Vp|)2
          ∴ 1/2 = ( 1 - |VGS/Vp|)2 ・・・・・ (5)

          (4)式を(5)式に代入してVGSを消去し、式を変形すると
          1/2 = ( 1 - |−RS * (1/2)IDSS/Vp|)2
          1/√2 = 1 - |−RS * (1/2)IDSS/Vp|
          1/√2 = 1 - RS * |(1/2)IDSS/Vp|
          RS * |(1/2)IDSS/Vp| = 1 - 1/√2
          RS = (1 - 1/√2) * |2 * Vp/IDSS|
          RS = (1 - 1/√2) * 2 * |Vp/IDSS|
          RS ≒ 0.6 * |Vp/IDSS| ・・・・・ (6)

          を得ます。また、
          yfs = 2 * |IDSS/Vp|

          の関係があるので、これを(6)式に代入すると
          RS ≒ 0.6 * (2 / yfs)
          RS ≒ 1.2 / yfs  ・・・・・ (7)

          と表すことも出来ます。
          これら、Vp、IDSS、yfsなどはいずれもFETのデータシートで 与えられています。
          ただし、(2)式が近似式であることや、Vp、IDSS、yfsに バラツキがあることなどから
          (データシートの記載値はtyp値)、(6)式での計算値と(7)式での計算値は
          多少異なることが多いです。

        (2)RDの計算
        (3)RGの計算
          RGはゲート端子の電位を0[V]に決める働きがありますが、
          電流は流れないので、バイアス回路の観点からは任意に決められます。
          ただし、RGは交流的には入力インピーダンスに影響します。
          また、ドレイン(D)からゲート(G)に向けてわずかにもれ電流があるので
          極端に大きな値にしてしまうと、直流的にも影響が出る可能性があります。
          (もれ電流の最大値はデータシートに記載があります。)

  5. 自己バイアス回路の応用

  6. 抵抗(Rs)の両端の電圧(Vs)は VS = −RS*ID
    で決まることから、動作点を決めると自動的に決まってしまいます。
    しかし実際の設計では、この値よりVsを高くしたい場合の生じることがあります。
    そこで、ゲート電圧を高くするために、下図のように抵抗器R1、 R2
    を接続するとゲートの直流電圧V1を0[V]から V1 = R2/(R1 + R2) * VDD
    とすることで、Vs(=V1−VGS)を任意に設定出来ます。
    つまりVDDをR1とR2で 分圧したことになります。


    このときR1とR2により入力インピーダンスが 下がってしまう
    ことを嫌う場合は、さらに下図のようにRGを追加します。
    RG >> R1, R2に選定すればFETの 高入力インピーダンスを
    損なわずに済みます。


    FET増幅回路を設計する場合、まずFETに流すドレイン電流ID (=ソース電流)を決めた後、
    増幅回路各部の電圧配分を決めると、設計し易いかと思います。
    電圧配分の決定にあたっては、ゲート〜ソース間電圧VGSがいくらになるかを
    知りたくなるのですが、FETのゲート電圧とドレイン電流の関係は下記の式で近似出来ます。
    ID = IDSS ( 1 - |VGS/Vp|)2

    IDSSとVpはFETを選定すると決まります。またIDを(1/2)*IDSS とすれば、
    この式をVGSについて解くと
    |VGS| = (1 - 1/√2)*|Vp|
    ∴ |VGS| ≒ 0.3*|Vp|

    の式を得ます。
    VGSが決まれば、
    V1 = VGS + VS

    の関係があるので、VSを決めれば、V1が決まり、
    または、V1を決めれば、VSが決まります。

    そうすると、
    Rs = VS / ID

    となります。また、
    V1 = R2 / (R1 + R2) * VDD

    となるように、R1とR2を決めます。
    FETのゲート(G)には電流が流れないので、バイポーラ・トランジスタのように
    R1とR2に大きな電流(ブリーダ電流)を流す必要はありません。

    また、(VDD-VS)が(VD+VDS)となるので、 VDの配分を決めれば
    RD = VD / ID

    となります。

  7. FETの1石増幅回路の設計

    1. ソース接地増幅回路(交流負帰還なし)

    2. ソース接地増幅回路(交流負帰還あり)

    3. ドレイン接地増幅回路

    4. ゲート接地増幅回路

  8. 2段直結増幅回路(ソース接地〜ソース接地の設計)(工事中)

  9. 接合型FETによるアナログ増幅回路で2段直結回路というのは
    ほとんど(全く?)見かけません。(^^;
    ネットで検索しても全くヒットしません。
    おそらくメリットが全くないからだと思われます。
    その理由としては◆後報◆

    1. 回路図


    2. 交流等価回路

    3. 入力インピーダンス

    4. 出力インピーダンス

    5. 電圧増幅度

    6. 入力カップリング・コンデンサーの影響

    7. 出力カップリング・コンデンサーの影響

  10. 2段直結増幅回路(ソース接地〜ドレイン接地)の設計(工事中)

    1. 回路図

    2. 交流等価回路

    3. 入力インピーダンス

    4. 出力インピーダンス

    5. 電圧増幅度

    6. 入力カップリング・コンデンサーの影響

    7. 出力カップリング・コンデンサーの影響

  11. 差動増幅回路の設計の設計(工事中)

    1. 回路図

    2. 交流等価回路

    3. 入力インピーダンス

    4. 出力インピーダンス

    5. 電圧増幅度

    6. 入力カップリング・コンデンサーの影響

    7. 出力カップリング・コンデンサーの影響

  12. 直流増幅回路の設計(工事中)

  13. 電力増幅回路の設計(工事中)


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