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読書備忘録 【ニッポンの終焉】


作成開始(2025/04/06)

  1. 書名

  2. 書名著者出版社発行年購入備考
    ニッポンの終焉 栗本慎一郎 現代書林 1989年 初版第1刷 1989年頃    

  3. 全体的なメモ

  4. 栗本氏の著作は、本書以降「成り行き大国ニッポン」のあたりまでは、文明論が中心になり
    日本を含めた現代社会に対する分析と言及が多くなったように思う。
    私自身は、社会人になってから発行されたこれらの文献であるが、時間がないなかで
    発行時に比較的目をよく通した文献群だと思う。
    今、本書を改めて読み返してみると、ナマの情報がメディアを通さず個人に直接届く時代になる、
    との予測は、インターネットやスマホの時代を先取りした指摘だったのではないかと
    感じてしまう。しかし、重要な点は、その結果、個人がどのように振る舞うかである。
    未知の出来事に出会うと、思考停止になってしまう日本人が多く、日本の文明が滅び去る危険性を
    どのように回避することが出来るか、個人の努力(?)が試されている重大な時代にさしかかった
    と指摘している。今、本書発行から36年ほど経過したが、私を含めた日本人は、
    どのような立ち位置にいるだろうか?
    ちなみに、文明とは何かと言えば、本書によると社会内部での情報処理のあり方、
    ということになるらしい。また、「【人工知能を含む】コンピュータはある特定の面で人間
    の知能の働きを助けるだけであり、人間自身の脳の情報処理は特別に楽になるわけでは
    ないのだ。(P-213)」とも述べている。
    (2025/4/06)
  5. 目次・参考文献・キーワードなど

  6. タイトルキーワード・メモ・感想等参考文献  備考  
    1 文明興亡の法則 地域がばらばらなのに、各文明は
    同じ頃興隆し、同じ頃滅亡している。
    (P-21)

    マホメットは偉大な改革者であり、
    政治、経済、宗教のすべてにおいて
    システムを根本改革したのである。
    (P-23)
    情報の蓄積と情報の体系的伝達、
    これが文明の条件である
    (P-24)
    一度、衰退した文明、地域、民族は、
    ただ荒廃する。(P-27)




    パンツを捨てるサル




    (*1)
    2 日本文明とは
     いったい何か
    日本におけるかなりの水準にある
    市場の全国的ネットワークの存在が
    すでに戦国時代に来日したスペイン人
    のキリスト教宣教師を驚かせている。
    (P-39)




    商品の価値は、客観的な投入労働量
    などではなく、情報のあり方によって
    決定されているのである。(P-48)
    ヨーロッパには(中略)自意識が
    スピノザ以来の哲学の伝統として
    芽生えていた。(P49)
    市場社会とは、情報社会なのだ。
    (P-52)
    そもそも近代科学というも自体が
    情報の集団的、均質的処理のプロセス
    の法則化なのだ。(P-56)





    幻想としての経済
    経済と文明
    人間の経済
    経済人類学
    3 日本文明は、どこから
    衰退を開始するのか
    情報がメディアの手を経ずして、
    直接、民衆に浸透し始めている。
    (P-64)



    パンツを捨てるサル
    ニューロマンサー
     (ウィリアム・ギブスン)
    メディア・セックス
    消えるヒッチハイカー
    あざらし戦争
     (ジャニス・ヘンケ)
    「アグネス論争」を読む
    4 日本の自殺







    日本で個人がいきなりナマの情報に
    接して、これを処理しなければならない
    とすると、われわれ日本人はそれが
    簡単にできないというばかりでなく、
    精神は虚弱化し、ときには分裂さえ
    してしまう。(略)自分で情報を判断して
    いくこと、(略)その訓練は本来なら
    学校でなされることが望ましい。
    (P-135〜6)
    試練に立つ文明
     (アーノルド・トインビー)
    大衆の反逆
     (オルテガ・イ・ガセー)<
    朝の影のなかに
    (ヨハン・ホイジンガ)
    日本の自殺
    (グループ一九八四年)
    5 報道メディアの
     自殺的衰弱

    西欧崇拝主義も西欧嫌悪主義も
    どちらも間違っているのだ。
    (P-150)
    冒険家ピサロがやってきたとき、
    「インカはすでに滅んでいた」のだ。
    (P-151)
    彼は(中略)コロンビアからわざわざ
    計画的かつ意識的に滅ぼしに
    やってきた。(P-152)
    「南米の良心」は(中略)知識人の
    あり方としては伝統的で古くて
    仕方がないものである。(P-159)
    国の立て直しは、情報の公平な収集と
    情報機構の立て直しであり、
    それに伴う制度の強化、合理的なる法
    の整備からしかできない。(P-159)
    バリ島の神話や伝承はじつに見事に
    柔軟に現実に対応して改変されて
    きたか、(P-160)
    有能でないものは有能でない。まだ
    努力すべきものは、努力すべき
    だと伝える。この当たり前のことが
    わからぬ者たちが主流の時代に
    日本は入っているようだ。(P-180)
    パンツを捨てるサル
    パンツをはいたサル








    百年の孤独
    (ガルシア・マルケス)













    神々は渇く
    (アトナール・フランス)
    6 コンピュータが時代に
    もたらすもの






    よく、「木を見て森を見ず」というが、
    【マイケル・ポランニーは】それは
    言葉だけで実は嘘だと言うのだ。
    (P-210)
    右脳がおおまかにものをとらえる
    というのが、確認もされていない
    ことなのだ。(P212)
    パンツを捨てるサル
    ニューロマンサー
     (ウィリアム・ギブスン)
    物語消費論
     (大塚英志)
    意味と生命
    7 何をなすべきか 国家は、自分たちそのものであり、
    それにより生きることも死ぬことも
    同時的にあるものなのだ。(P-217)
    個人が自立し、主体的に情報を
    処理するについては、(略)生まれ
    ながらの環境や個々別々の生活に
    おいて自然に身につくだけの情報
    処理能力だけでは決定的に不足
    である。(P-219)
    あとがき 歴史の終わり
     (F・フクヤマ)
    参考文献は本書記載の全てではなく、かつ同じとは限らない。
    ★印は特に重要な文献
  7. 参考・注記


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