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DTL-NANDによるスルーラッチの実験
本ページ作成。(2026/09/15)
実験の目的
DTL(Diode Transister Logic)にて作成されたNAND回路を使って
スルーラッチ(D-ラッチ)を構成し、その論理動作を確認します。
実験課題
下記の項目について実験します。
- NANDにより構成したスルーラッチ(D-ラッチ)の動作確認
- スルーラッチのQnとD端子を接続し、EN="H"としたときの挙動観察
実験回路
- NANDにより構成したスルーラッチ(D-ラッチ)の動作確認
(1)NANDによるスルーラッチ回路

(2)スルーラッチのシンボル例

- スルーラッチのQnとD端子を接続し、EN="H"としたときの挙動観察

回路の動作
EN="H"のとき、Dと同じ値がQpに現れます。
EN="L"のとき、EN="L"となる直前のDの値がQpに保持されます。
EN="L"の状態でDを変化させてもQpは変化しません。
- EN="H"のとき(スルー動作)
(1)D="L"のとき

(2)D="H"のとき

- EN="L"のとき(保持動作)

- 真理値表
以上の動作を真理値表で表すと下記となります。
| EN | D | Qp |
Q* |
| L | X | 保持 | 保持 |
| H | L | L | H |
| H | H | H | L |
更に詳細な動作については、トランジスタ・パルス回路の解析の
NANDによるスルーラッチを
参照してください。
実験回路の設計
【本節の記述は
DTL-NANDによるRS-FFの実験と同じ内容になります。】
NANDをひとつの論理素子と考えた場合、スルーラッチの回路構成は決まっているので
NANDとNAND間を接続する際の電気的仕様がうまく整合していることの
確認のみを行います。
- DTL-NANDブロックの電気的仕様
(1)電源電圧
Vcc: 5V±5%(5V±0.25V)
(2)出力電流(IO)
IOH(max): 0.1mA
IOL(max): 8mA
(3)入力電流(II)
IIH(max): 0mA
IIL(max): 0.4mA
(4)出力レベル(VO):
VOH(min): 3.0V
VOL(max): 0.4V
(5)閾値レベル(VT):
VT(max): 2.3V
VT(min): 0.5V
- DTL-NANDブロックの信号の電圧レベル
DTL-NANDブロック間を接続する際の電圧レベルを図示すると、下図のように
なります。"H"側で0.7[V]、"L"側で0.1[V]のノイズ・マージンがあり、
問題ありません。(もちろん"L"側ノイズ・マージンが小さいのは気になりますが)
なお、出力電圧(VY)の保証値については、この後検討する
出力電流(ファン・アウト)が定格以内に収まることが前提です。

- DTL-NANDブロックのファン・アウト
出力の状態をすぐに判定出来るようにLEDを接続します。
端子Qpと端子Qnの両方に接続すると交互に点灯して楽しいのですが、
Qp側のみに接続します。こうするとQp="L"(Qn="H")のときLEDが点灯します。
LEDは680[Ω]の抵抗経由でVccに接続します。抵抗の最大誤差は5%とすれば、
点灯時、LEDに流れる最大電流(ILED(max))は
ILED(max) = (VCC(max) - VLED(min)) / RL(min)
= (5.25[V] - 2[V] * 1.05) / (680[Ω] * 0.95) ≒ 4.9[mA]
LEDの型式は不明なので、順方向電圧は2[V]±5%と仮定しました。
NANDの出力に接続される最大負荷は、NANDとLEDを接続したときです。
出力が"L"の場合のファン・アウトは下図となり、IOL(max)=8.0[mA]に対し
最大5.3[mA]の流れ込みなので問題ありません。

出力が"H"の場合のファン・アウトは下図となりますが、流れ出しの電流は0なので
こちらも問題ありません。

- NANDにより構成したスルーラッチ(D-ラッチ)
(1)下図の回路を組み立てます。
RSフリップフロップのときとはQpとQnの位置が逆なので注意します。

(2)電源を入れます。
(3)EN端子はopen(EN="H")とします。このときスルー状態です。
(4)D端子をopen(D="H")とします。
LEDが消灯し(Qp="H")、電圧計VQがほぼ0[V]("L")となることを確認します。
(5)D端子とグランド間を接続します。
LEDが点灯し(Qp="L")、電圧計VQがVccになることを確認します。
(6)EN端子とグランド間を接続します。このとき保持状態です。
(7)D端子とグランド間の接続を外したり、接続したりして
LEDが点灯したままで(Qp="L")、電圧計VQがVccのままであることを
確認します。
(8)D端子とグランド間の接続を外し(スルー状態)、D端子をopenにします。
LEDが消灯し(Qp="H")、電圧計VQがほぼ0[V]("L")になることを確認します。
(9)EN端子とグランド間を接続します。このとき保持状態です。
(10)D端子とグランド間の接続を外したり、接続したりして
LEDが消灯したままで(Qp="H")、電圧計VQがほぼ0[V]("L")のままであることを
確認します。
(11)以上の操作結果から下記の表のQp、Qn欄を埋めます。
- QnとD端子を接続し、EN="H"としたときの挙動観察
(1)下図の回路を組み立てます。

(2)電源を入れ、オシロスコープでQnの波形を観測します。
実験機材
- DTL-NANDブロックと
電子ブロック
使用したブロックは、実験方法の
電子ブロックの配置を参照。
- 簡易安定化電源 (5[V]端子)
- テスター
実験結果
- NANDにより構成したスルーラッチ(D-ラッチ)
Qp、Qnの欄(赤色)が測定結果。
| EN | D | Qp |
Qn |
| H | L |
L |
H |
| H | H |
H |
L |
| L | L |
保持 |
保持 |
| L | H |
保持 |
保持 |
- QnとD端子を接続し、EN="H"としたときの挙動観察
発振波形が観測されました。
発振周波数はおよそ100kHz

D,Qn、2V/div、2μs/div
考察
- NANDにより構成したスルーラッチ(D-ラッチ)
EN端子="H"で、D端子の値がQp端子にスルーで現れ、
EN端子="L"で、保持動作になることを確認しました。
- QnとD端子を接続し、EN="H"としたときの挙動観察
スルーラッチは通常このような使い方はしません。
発振器として使用するなら、スルーラッチではなく最初からインバータを使います。
周波数が正確でなくてもいいような発振器には使用出来ます。
発振周波数はスルーラッチ内部のディレイ(遅延)の時間で決まりまるので、
カット・アンド・トライで調整することになるでしょう。
今後の課題
- 特になし
参考文献
- 特になし
関連項目
- トランジスタ・パルス回路の解析−
DTL-NANDによるスルーラッチの解析
- ディジタル回路実験ツール−DTLによるNANDブロック
- 自作電子ブロック
- 簡易安定化電源
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