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DTL-NANDによるRS-FFの実験
本ページ作成。(2026/09/11)
実験の目的
DTL(Diode Transister Logic)にて作成されたNAND回路を使って
RSフリップ・フロップ(RS-FF)を構成し、その論理動作を確認します。
実験課題
下記の回路について論理動作を確認します。
- RS-フリップ・フロップ(FF)
- リセット(R)優先RS-FF
実験回路
- NANDによるRS-フリップ・フロップ(FF)

- リセット(R)優先RS-FF

回路の動作
入力端子は2本で、それぞれ"H"か"L"かの2通りしかないので、
入力の状態は4通りです。それぞれの場合について各NANDの出力を
追っていくとQpとQnの結果が得られます。
- NANDによるRS-フリップ・フロップ(FF)
(1)Rn="L"、Sn="H"のとき(リセット動作)

(2)Rn="H"、Sn="L"のとき(セット動作)

(3)Rn="H"、Sn="H"のとき(保持動作)
このとき、安定状態はふたつあります。
Qp="H"のときはQn="L"となり、Qp="L"のときはQn="H"
となってRn="H"、Sn="H"である限り状態を保持します。

(4)Rn="H"、Sn="H"のとき

以上の動作を真理値表に纏めると下記となります。
| Rn | Sn | Qp |
Qn |
| H | H | 保持 | 保持 |
| L | H | L | H |
| H | L | H | L |
| L | L | H | H |
- リセット(Rp)優先RS-FF
(1)Rp="H"、Sp="L"のとき(リセット動作)
rn="L"、sn="H"となりリセット動作となります。

(2)Rp="L"、Sp="H"のとき(セット動作)
rn="H"、sn="L"となりセット動作となります。

(3)Rp="L"、Sp="L"のとき(保持動作)
rn="H"、sn="H"となり保持動作となります。

(4)Rp="H"、Sp="H"のとき(リセット動作)
rn="L"、sn="H"となりリセット動作となります。

以上の動作を真理値表で表すと下記となります。
| Rp | Sp | Qp |
Qn |
| L | L | 保持 | 保持 |
| H | L | L | H |
| L | H | H | L |
| H |
H |
L |
H |
更に詳細な動作については、トランジスタ・パルス回路の解析の
NANDによるRS-FFを
参照してください。
実験回路の設計
NANDをひとつの論理素子と考えた場合、RS-FFの回路構成は決まっているので
NANDとNAND間を接続する際の電気的仕様がうまく整合していることの
確認のみを行います。
- DTL-NANDブロックの電気的仕様
(1)電源電圧
Vcc: 5V±5%(5V±0.25V)
(2)出力電流(IO)
IOH(max): 0.1mA
IOL(max): 8mA
(3)入力電流(II)
IIH(max): 0mA
IIL(max): 0.4mA
(4)出力レベル(VO):
VOH(min): 3.0V
VOL(max): 0.4V
(5)閾値レベル(VT):
VT(max): 2.3V
VT(min): 0.5V
- DTL-NANDブロックの信号の電圧レベル
DTL-NANDブロック間を接続する際の電圧レベルを図示すると、下図のように
なります。"H"側で0.7[V]、"L"側で0.1[V]のノイズ・マージンがあり、
問題ありません。(もちろん"L"側ノイズ・マージンが小さいのは気になりますが)
なお、出力電圧(VY)の保証値については、この後検討する
出力電流(ファン・アウト)が定格以内に収まることが前提です。

- DTL-NANDブロックのファン・アウト
出力の状態をすぐに判定出来るようにLEDを接続します。
端子Qpと端子Qnの両方に接続すると交互に点灯して楽しいのですが、
Qn側のみに接続します。こうするとQn="L"(Qp="H")のときLEDが点灯します。
LEDは680[Ω]の抵抗経由でVccに接続します。抵抗の最大誤差は5%とすれば、
点灯時、LEDに流れる最大電流(ILED(max))は
ILED(max) = (VCC(max) - VLED(min)) / RL(min)
= (5.25[V] - 2[V] * 1.05) / (680[Ω] * 0.95) ≒ 4.9[mA]
LEDの型式は不明なので、順方向電圧は2[V]±5%と仮定しました。
NANDの出力に接続される最大負荷は、NANDとLEDを接続したときです。
出力が"L"の場合のファン・アウトは下図となり、IOL(max)=8.0[mA]に対し
最大5.3[mA]の流れ込みなので問題ありません。

出力が"H"の場合のファン・アウトは下図となりますが、流れ出しの電流は0なので
こちらも問題ありません。

- NANDによるRS-フリップ・フロップ(FF)
(1)下図の回路を組み立てます。
(DTL-NANDの入力(Rp、Sp)はopenにすると"H"入力と等価です)

(2)電源を入れます。
LEDが点灯したときは、Rn端子とグランド間を一時的に短絡してLEDを消します。
(3)Sn端子とグランド間を接続します。この状態がセット状態です。
LEDが点灯し(Qn="L")、電圧計VQがVcc("H")になることを確認します。
(4)Sn端子とグランド間の接続を外します。この状態が保持状態です。
LEDが点灯したままで(Qn="L")、電圧計VQがVcc("H")のままであることを確認します。
(5)Rn端子とグランド間を接続します。この状態がリセット状態です。
LEDが消灯し(Qn="H")、電圧計VQがほぼ0[V]("L")になることを確認します。
(6)Rn端子とグランド間の接続を外します。この状態が保持状態です。
LEDが消灯したままで(Qn="H")、電圧計VQがほぼ0[V](L)のままであること
確認します。
(7)Rn端子とSn端子の両方をグランド間と接続します。
LEDが消灯し(Qn="H")、電圧計VQがVcc("H")になることを確認します。
(8)以上の操作結果から下記の表のQp、Qn欄を埋めます。
- リセット(R)優先RS-FF
(1)下図の回路を組み立てます。
(DTL-NANDの入力(Rp、Sp)はopenにすると"H"入力と等価です)
最初、RpとSpは両方ともGND間と接続しておきます。

(2)電源を入れます。
LEDが点灯したときは、Rp端子とグランド間の接続を一時的に外してLEDを消します。
(3)Sp端子とグランド間の接続を外します。この状態がセット状態です。
LEDが点灯し(Qn="L")、電圧計VQがVcc("H")になることを確認します。
(4)Sp端子とグランド間を接続します。この状態が保持状態です。
LEDが点灯したままで(Qn="L")、電圧計VQがVcc("H")のままであることを確認します。
(5)Rp端子とグランド間の接続を外します。この状態がリセット状態です。
LEDが消灯し(Qn="H")、電圧計VQがほぼ0[V]("L")になることを確認します。
(6)R端子とグランド間を接続します。この状態が保持状態です。
LEDが消灯したままで(Qn="H")、電圧計VQがほぼ0[V]("L")のままであることを
確認します。
(7)Rp端子とSp端子の両方のグランド間接続を外します。
LEDが消灯し(Qn="H")、電圧計VQが0[V]("L")になることを確認します。
(8)以上の操作結果から下記の表のQp、Qn欄を埋めます。
実験機材
- DTL-NANDブロックと
電子ブロック
使用したブロックは、実験方法の
電子ブロックの配置を参照。
- 簡易安定化電源 (5[V]端子)
- テスター
実験結果
- NANDによるRS-フリップ・フロップ(FF)
Qp、Qnの欄(赤色)が測定結果。
| Rn | Sn | Qp |
Qn |
| H | H |
保持 |
保持 |
| L | H |
L |
H |
| H | L |
H |
L |
| L | L |
H |
H |
- リセット(R)優先RS-FF
Qp、Qnの欄(赤色)が測定結果。
| Rp | Sp | Qp |
Qn |
| L | L |
保持 |
保持 |
| H | L |
L |
H |
| L | H |
H |
L |
| H | H |
L |
H |
考察
- NANDによるRS-フリップ・フロップ(FF)
論理設計した結果と実験結果が一致することを確認しました。
- リセット(Rp)優先RS-FF
論理設計した結果と実験結果が一致することを確認しました。
リセット端子(Rp)とセット端子(Sp)を同時に"H"にしたとき、
Qp="L"、Qn="H"となりリセット動作となることを確認しました。
今後の課題
- 特になし
参考文献
- 特になし
関連項目
- トランジスタ・パルス回路の解析−
NANDによるRS-FFの解析
- ディジタル回路実験ツール−DTLによるNANDブロック
- 自作電子ブロック
- 簡易安定化電源 (5[V]端子)
おまけ
実験中のDTL-NANDブロックによるRS-FF。

ベース・ボードは初版を使用しているので2列×5Pですが、使用しているのは2Pのみ
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