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交流電圧の測定実験
本ページ完成。(2021/10/18)
実験の目的
同一の交流電圧を複数の交流電圧計で測定し、指示値の差を比較します。
この際、ディジタル・テスターの指示値が一応正しい値であるものとみなし
他の交流電圧計を校正します。
整流型交流電圧計については原理を確認するために、ダイオードにて整流した
脈流電圧を直流電圧計で測定し、理論値と実測値の差を比較します。
また整流型交流電圧計の内部抵抗についても測定します。
実験課題
(1)アナログ・テスターの交流レンジ(10V)の校正
(2)半波整流回路と直流電圧計による交流電圧測定
(3)ブリッジ(全波整流回路)と直流電圧計による交流電圧測定
(4)交流電圧計の内部抵抗の簡易測定
測定の原理
アナログ・テスターの交流レンジ(10V)の校正
変圧器の2次側12V端子の交流電圧を可変抵抗で0〜10Vまで調整しながら
アナログ・テスターの交流電圧:10Vレンジの指示値を測定します。
ディジタル・テスターの指示値に対する、アナログ・テスターの指示値を
直接比較します。
半波整流回路と直流電圧計による交流電圧測定
変圧器の2次側12V端子の交流電圧を可変抵抗で0〜10Vまで調整しながら
半波整流した脈流を直流電圧計(
5V
レンジ)で測定し、波形率(
2.22
)をかけた値と
ディジタル・テスターの指示値とを比較します。
半波整流による整流型交流電圧計の波形率については、
こちら
のページを 参照してください。
ブリッジ(全波整流回路)と直流電圧計による交流電圧測定
変圧器の2次側12V端子の交流電圧を可変抵抗で0〜10Vまで調整しながら
全波波整流した脈流を直流電圧計(
10V
レンジ)で測定し、波形率(
1.11
)をかけた値と
ディジタル・テスターの指示値とを比較します。
全波整流による整流型交流電圧計の波形率については、
こちら
のページを 参照してください。
交流電圧計の内部抵抗の簡易測定
測定の原理図を下記に示します。
測定する交流計器の内部抵抗をrとします。(メーター本体の抵抗は∞です)
交流電圧源の電圧はEsですが、電圧源の内部抵抗はrより十分小さいものとします。
最初に、VRの値を0にしたときの電圧計の指示値をVoとします。
このとき、Vo = Em = Esです。
次にVRを調整し、交流電圧計の指示値をVoの1/2にします。
このときEmはEsの1/2ですので、VRの抵抗値をR
VR
とすれば、
R
VR
= r
の関係が成り立ちます。
回路からVRを外し、ディジタル・テスターの抵抗計でVRの値R
VR
を測定すると。
このR
VR
の抵抗値が交流電圧計の内部抵抗:rとなります。
実験方法
以下の回路で交流電圧を可変抵抗で変化させ、ディジタル・テスター、アナログ・テスターと
整流型直流電圧計を模した回路で同時に測定し、測定電圧を記録します。
この際、一応ディジタル・テスターの読みが正しいものとして、他の測定電圧を
校正します。整流型直流電圧計においては計算値(理論値)と同じになるか確認します。
整流型交流電圧計の校正
実験は次の項目(半波整流回路による交流電圧測定)と同時に実施したので、
次項を参照してください。
半波整流回路と直流電圧計による交流電圧測定
◆測定手順
(1)実験回路を組立ます。
アナログ・テスターの測定は次項(ブリッジと直流電圧計による交流電圧測定)
で実施してもかまいません。
(2)可変抵抗器(VR)の位置を最小にします。
(3)ディジタル・テスターは交流電圧測定、アナログ・テスターは交流電圧測定で
10Vのレンジに設定します。
アナログ直流電圧計は
5V
のレンジに接続します。
(4)変圧器(トランス・ボックス)の電源スイッチ(SW)をONにします。
(5)可変抵抗器(VR)を調整して、ディジタル・テスターの電圧(Vd)を設定します。
(6)アナログ・テスターの電圧(Va)と直流電圧計の電圧(Vdc)を記録します。
以下、(5)〜(6)を繰り返します。
ブリッジ(全波整流回路)と直流電圧計による交流電圧測定
◆測定手順
(1)実験回路を組立ます。
(2)可変抵抗器(VR)の位置を最小にします。
(3)ディジタル・テスターは交流電圧測定、アナログ・テスターは交流電圧測定で
10Vのレンジに設定します。
アナログ直流電圧計は
10V
のレンジに接続します。
(4)変圧器(トランス・ボックス)の電源スイッチ(SW)をONにします。
(5)可変抵抗器(VR)を調整して、ディジタル・テスターの電圧(Vd)を設定します。
(6)アナログ・テスターの電圧(Va)と直流電圧計の電圧(Vdc)を記録します。
以下、(5)〜(6)を繰り返します。
交流電圧計の内部抵抗の簡易測定
アナログ・テスター(交流電圧計:10Vレンジ)
半波整流回路と直流電圧計による交流電圧計(直流電圧計:5Vレンジ)
ブリッジと直流電圧計による交流電圧計(直流電圧計:10Vレンジ)
実験手順(各回路共通)
(1)実験回路を組立ます。
電圧計の接続レンジは回路により異なりますので確認してください。
(2)可変抵抗器(VR)の位置を最小(=0Ω)にします。
(3)変圧器(トランス・ボックス)の電源スイッチ(SW)をONにします。
(4)このときの電圧計の電圧(VaまたはVdc)を記録します。
(5)可変抵抗器(VR)の位置を調整して、指示電圧が(4)で測定した電圧の
1/2になるようにします。
(6)変圧器(トランス・ボックス)の電源スイッチ(SW)をOFFにします。
(7)可変抵抗器(VR)を回路から取り外し、テスターを使って抵抗値を測定します。
実験機材
トランス・ボックス
アナログ直流電圧計
ダイオード・ブリッジ・ボックス
ディジタル・テスター(交流電圧測定用)
アナログ・テスター(交流電圧測定用)
可変抵抗器:1MΩ(Aカーブ)
抵抗値としては500kΩくらい、カーブはBカーブの方がよいと思われますが
手持ち部品の関係で1MΩ(Aカーブ)を使用しました。
実験結果
アナログ・テスターの交流レンジ(10V)の校正
測定結果
ディジタルテスタ⇔アナログテスタの測定値比較グラフ
アナログテスタの測定誤差(絶対値)
アナログテスタの測定誤差(測定値に対する割合)
半波整流回路と直流電圧計による交流電圧測定
測定結果
ディジタルテスタ⇔直流電圧計の測定値比較グラフ
測定誤差(絶対値)
測定誤差(測定値に対する割合)
ブリッジ(全波整流回路)と直流電圧計による交流電圧測定
測定結果
ディジタルテスタ⇔直流電圧計の測定値比較グラフ
測定誤差(絶対値)
測定誤差(測定値に対する割合)
交流電圧計の内部抵抗の簡易測定
被測定回路
内部抵抗測定結果(kΩ)
仕様
測定値/仕様値(%)
アナログ・テスター
48.6(kΩ)
テスターに記載の
内部抵抗:45(kΩ)
(下記写真参照)
108(%)
半波整流回路
と直流電圧計
104.2(kΩ)
直流電圧計
の内部抵抗:
100(kΩ)[5Vレンジ]
104%(%)
ブリッジ(全波整流回路)
と直流電圧計
211(kΩ)
直流電圧計
の内部抵抗:
200(kΩ)[10Vレンジ]
106%(%)
・使用したアナログ・テスターの内部抵抗
4.5[kΩ/V]×10[Vレンジ] = 45kΩ
考察
アナログ・テスターの交流レンジ(10V)の校正
測定値が1.0V〜4.0Vでは誤差は最大0.2V、測定値が4.0V以上では誤差は最大0.1Vとなりました。
テスター目盛りの読み取りの分解能が0.1[V]くらいなので(上記写真参照)、
読み取り誤差も含めるととくに補正は必要ないと考えます。
ちなみに、フルスケール10Vに対する相対誤差はそれぞれ2%、1%となります。
誤差の割合(%)は、測定値が3.0V以下になると5%を超え、急激に増加しますが、
アナログ測定器の一般的な傾向だと思います。
誤差の少ない測定をするためには、メーターの振れが小さいときは
測定レンジを一段下げるべきでしょう。(本テスターの場合は2.5Vレンジ)
半波整流回路と直流電圧計による交流電圧測定
誤差は最大0.3Vとなりました。整流用ダイオードの順方向電圧降下により
全体的にマイナス方向の誤差になると想像してしましたが、あまり影響を感じません(?)。
アナログメーターの分解能が0.05〜0.1[V]くらいなので(下記写真参照)、
波形率(2.22)をかけると一般的に0.1〜0.2[V]くらいの誤差は避けられないでしょう。
また誤差はアナログメーター自体の傾向とも異なるように思います(?)。
誤差の最大0.3Vはフルスケール10Vに対して3%となるので、通常は補正する手間を
かける必要はないと考えます。
誤差の割合(%)は、測定値が2.0V以下になると10%を超え、急激に増加しますが、
アナログ測定器の一般的な傾向だと思います。
・使用したアナログ直流電圧計のパネル・メーター拡大写真
(メーター自体は電流計だが、抵抗器を直列接続することにより電圧計として使用。
詳細は
アナログ直流電圧計
を参照。)
ブリッジ(全波整流回路)と直流電圧計による交流電圧測定
誤差は最大0.3Vとなりました。整流用ダイオード
2個分
の順方向電圧降下により
全体的にマイナス方向の誤差になると想像してしましたが、あまり影響を感じません(?)。
アナログメーターの分解能が0.1〜0.2[V]くらいですが(下記写真参照)、
波形率は1.11なので一般的に0.1〜0.2[V]くらいの誤差は避けられないでしょう。
また誤差はアナログメーター自体の傾向とも異なるように思います(?)。
誤差の最大0.3Vはフルスケール10Vに対して3%となるので、通常は補正する手間を
かける必要はないと考えます。
誤差の割合(%)は、測定値が2.0V以下になると5%を超え、急激に増加しますが、
アナログ測定器の一般的な傾向だと思います。
交流電圧計の内部抵抗の簡易測定
整流型交流電圧計の場合、内部抵抗はほぼ直流電圧計の内部抵抗になることが
判りました。
全体的な考察
交流電圧測定に関しては、正直意外と誤差が小さいと思いました。(-_-?
ただ、直流計器の校正に比べると、交流電圧の測定は基準電圧が容易に準備出来ないことや
波形の影響を受ける可能性があることから、正確な測定は難しいと思います。
参考文献
なし。
関連項目
アナログ直流電圧計
シリコン・ショットキー・ダイオードの静特性測定
ダイオード・ブリッジ・ボックス
整流回路の動作原理
整流回路の実験
整流型交流電圧計の原理と波形率
トランス・ボックス
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