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ダイオードAND・ダイオードOR


本ページ作成。(2026/07/15)

  1. 回路の機能

  2. 論理素子である(2入力)ANDは、ふたつの入力がともにHレベルのとき出力がHになり、
    (2入力)ORはふたつの入力のどちらかがHレベルのとき出力がHになります。
    (論理回路のORは両方Hの場合も「どちらがH」に含めます。)
    AND素子とOR素子はダイオードを使って実現します。ただし、ダイオードのみ
    によるAND素子とOR素子は一応動作はしますが、欠点があるため、
    通常単独で使用することはなく、トランジスタと組合わせて使用されます。
    ここではダイオード(と抵抗)のみによる回路を考察します。

  3. 回路図

    1. ダイオードAND
    2. (1)回路


      (2)シンボル
      論理回路では、論理素子(AND、OR、NOTなど)の内部をトランジスタや
      ダイオードで表現しないで、下図のようなシンボルで表現します。


    3. ダイオードOR
    4. (1)回路


      (2)シンボル


  4. 回路の動作

    1. ダイオードAND
    2. 端子A、端子Bとも"L"になるか"H"になるかなので入力のパターンは
      下記の4通りしかありません。

      【1】端子A="L"、端子B="L"のとき
      Y端子は抵抗Rでプルアップされているので、ダイオードD1、D2
      ともに導通し、R経由で電流が流れるのでY端子はLレベルとなります。
      (ダイオードの順方向電圧のわずかな違いや入力電圧の違いにより、
      D1、D2に流れる電流は一般的には等しくならないが、
      Yが"L"になる状況は変わらない。)


      【2】端子A="L"、端子B="H"のとき
      ダイオードのD1は導通しR経由で電流が流れるので、端子Yは"L"になります。
      ダイオードのD2は逆方向バイアスになるのでOFF状態となります。


      【3】端子A="H"、端子B="L"のとき
      ダイオードのD2は導通しR経由で電流が流れるので、端子Yは"L"になります。
      ダイオードのD1は逆方向バイアスになるのでOFF状態となります。


      【4】端子A="H"、端子B="H"のとき
      ダイオードD1、D2は順方向バイアスがかからないので、 ともにOFF状態となり、
      電流は流れません。Y端子は抵抗Rでプルアップされているので"H"となります。


      【1】〜【4】の入出力の状態を表に纏めたものを真理値表と言います。
      ANDの真理値表
      A  B  Y 
      LLL
      LHL
      HLL
      HHH

    3. ダイオードOR
    4. ORの場合も端子A、端子Bとも"L"になるか"H"になるかなので
      入力のパターンは下記の4通りしかありません。

      【1】端子A="L"、端子B="L"のとき
      ダイオードD1、D2とも順方向バイアスがかからないので、 ともにOFF状態となり、
      電流は流れません。Y端子は抵抗Rでプルダウンされているので"L"となります。


      【2】端子A="L"、端子B="H"のとき
      ダイオードのD2は導通しR経由で電流が流れるので、端子Yは"H"になります。
      ダイオードのD1は逆方向バイアスになるのでOFF状態となります。


      【3】端子A="H"、端子B="L"のとき
      ダイオードのD1は導通しR経由で電流が流れるので、端子Yは"H"になります。
      ダイオードのD2は逆方向バイアスになるのでOFF状態となります。


      【4】端子A="H"、端子B="H"のとき
      Y端子は抵抗Rでプルダウンされているので、ダイオードD1、D2
      ともに導通し、R経由で電流が流れるのでY端子はLレベルとなります。
      (ダイオードの順方向電圧のわずかな違いや入力電圧の違いにより、
      D1、D2に流れる電流は一般的には等しくならないが、
      Yが"H"になる状況は変わらない。)


      【1】〜【4】の入出力の状態を表に纏めたものを真理値表と言います。
      ORの真理値表
      A  B  Y 
      LLL
      LHH
      HLH
      HHH

  5. ダイオードAND、ダイオードORの欠点

  6. 論理素子は何段も接続されることが多いです。
    一方、ダイオードは導通したとしても、両端にVD=0.6〜0.7[V]の電圧が
    発生してしまいます。論理素子を何段も接続するとVDが累積し、
    "H"レベルは低下していき、"L"レベルは上昇するので、誤動作の原因となります。

    1. AND回路の場合
    2. 初段の入力が0[V]であったとしても、初段の出力は"L"とはなりますが
      実際はVDだけ上昇していまいます。
      更に、2段目の出力はVD×2だけ上昇し、N段でVD×N
      の電圧が上昇してしまい、もはやLレベルとは言えなくなります。


    3. OR回路の場合
    4. 初段の入力がVccであったとしても、初段の出力は"H"とはなりますが
      実際はVccからVDだけ低下していまいます。
      更に、2段目の出力はVD×2だけ低下し、N段でVD×N
      の電圧が低下してしまうためもはやHレベルとは言えなくなります。


    5. 対策
    6. ダイオードAND・ダイオードORの後にトランジスタなどのインバータ回路を
      接続すると、電圧レベルが改善されます。
      具体的な解析については別途実施予定です。
      (トランジスタ・パルス回路解析の DTL NANDに記載予定)

      (1)NAND(ナンド)回路


      (2)NOR(ノア)回路


  7. 負荷がつながるときの電圧・電流

  8. 一般的に論理回路では、レベルが"H"のときと"L"のときとでは、
    次段論理素子のインピーダンスが異なります。
    ダイオードのみのAND回路とOR回路では、以下に示すように、入力側の電圧・電流と
    出力側の電圧・電流が影響しあうため、設計が面倒になることも欠点のひとつと言えるでしょう。

    1. AND回路の出力が"L"のとき
    2. 入力端子(この場合端子B)から流れ出す最大電流(IIL(max))は抵抗R経由の
      電流とY端子から流れ込む最大電流(IOL(max))の和となります。


    3. AND回路の出力が"H"のとき
    4. Y端子から流れ出す電流(IOH(max))により抵抗Rで電圧降下が発生するため
      Y端子の電圧はVOH(min)まで低下する可能性があります。


    5. OR回路の出力が"L"のとき
    6. Y端子から電流(IOL(max))が流れ込むと、抵抗Rで電圧降下が発生するため
      Y端子の電圧はVOL(max)まで上昇する可能性があります。


    7. OR回路の出力が"H"のとき
    8. 入力端子(この場合端子B)から流れ込む最大電流(IIH(max))は抵抗Rに流れる電流と
      Y端子から流れ出す最大電流(IOH(max))の和となります。


  9. 今後の課題

    1. 実験回路による動作確認
    2. トランジスタ・パルス回路の実験− ダイオードAND・ダイオードORの実験に記載予定。

    3. NAND回路について具体的に解析と設計を行う
    4. トランジスタ・パルス回路の解析− DTL NANDに記載予定。

  10. 参考文献

    1. パルス回路の設計(昭和56年(1981) 第20版(改訂10版)) P-137〜140 AND回路・OR回路、 猪飼國夫著、 CQ出版社

  11. 関連項目

    1. トランジスタ・パルス回路の解析− トランジスタのスイッチ動作の基本
    2. 電子回路−ダイオード−PN接合
    3. ダイオードのデバイス実験− 小信号ダイオードの静特性測定実験


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