JH8CHUのホームページ>電気計測実験 >ブリッジによる電気抵抗測定

ブリッジによる電気抵抗測定


本ページ完成。(2019/12/09)
実験結果・考察、誤記訂正(抵抗の記号R,Q,Sの使い方)。(2020/01/12)
  1. 実験の目的

    ホイートストンブリッジによる 電気抵抗の測定の原理を理解するとともに
    測定結果から測定誤差について考察します。
  2. 実験課題

    下記の精密抵抗器の抵抗値を測定します。

    (1)100Ω (誤差0.1%)
    (2)1kΩ (誤差0.1%)
    (3)10kΩ (誤差0.1%)
    (4)100kΩ (誤差0.1%)
    (5)1MΩ (誤差1%)

  3. 実験方法

    以下、交流ブリッジによる測定を実験回路(1)と手順(1)に、直流ブリッジによる測定を
    実験回路(2)と手順(2)に示します。

    1. 実験回路(1)



    2. 実験手順(1)

      (1)5kΩVRを最小にします。ブリッジのトグルスイッチはTと反対側(M)にします。
      (2)ブリッジの機能設定で「R」を選択します。
      (3)実験回路を組立ます。電源は最後にONにします。
      (4)被測定抵抗器を接続します。

      (5)5kΩVRを適度な音量まで上げます。
      (6)レンジのスイッチとBALANCEのVRを交互に調整して音が消える点を探します。
      (7)音が小さくなったら5kΩVRを上げます。
      (8)BALANCEのVRを調整して音が消える範囲の中央に設定します。
      (9)5kΩVRを下げます。(イヤホンから大きな音が出ないようにするため)
      (10)ブリッジのトグルスイッチをT側に倒します。
      (11)その時の抵抗値をディジタルテスタで読み取ります。(この値をBとします)
      (12)ブリッジのトグルスイッチをTと反対側(M)に倒します。
      (13)被測定抵抗器を交換します。

      (14)(5)から(13)の手順を繰り返します。


    3. 実験回路(2)



    4. 実験手順(2)

      (1)アナログ電流計(センターメーター)の感度スイッチを"低"に設定します。
      (2)ブリッジの機能設定で「R」を選択します。トグルスイッチはTと反対側(M)にします。
      (3)実験回路を組立ます。乾電池は最後に接続します。
      (4)被測定抵抗器を接続します。

      (5)レンジのスイッチとBALANCEのVRを交互に調整してアナログ電流計の指示が0になる設定を探します。
      (6)アナログ電流計(センターメーター)の感度スイッチを"高"に設定します。
      (7)BALANCEのVRを調整してアナログ電流計の指示を0にします。
      (8)アナログ電流計(センターメーター)の感度スイッチを"低"に設定します。
      (9)ブリッジのトグルスイッチをT側に倒します。
      (10)その時の抵抗値をディジタルテスタで読み取ります。(この値をBとします)
      (11)ブリッジのトグルスイッチをTと反対側(M)に倒します。
      (12)被測定抵抗器を交換します。

      (13)(5)から(12)の手順を繰り返します。


  4. 実験機材

    1. 交流ブリッジ
    2. 可動コイル型直流電流計(±100μA センターメータ)
      標準電圧発生器のセンターメータを使用します。
    3. 可変抵抗器(5kΩB)
    4. 精密抵抗器
    5. トランスボックス
    6. 乾電池(6V)

  5. 実験結果

    1. 被測定抵抗の抵抗値計算式


      ディジタルテスターの読みをBとします。
      S = 1kΩ、Rはレンジにより変わります。このとき

      X = R・B/S

    2. 測定結果(交流ブリッジによる測定)
      X公称値[Ω]R[レンジ]R[Ω]B[Ω]X計算値公称値からの偏差[%]
      100210099899.8-0.2
      1k31k997997-0.3
      10k410k9929.92k-0.8
      100k61M106.8106.8k6.8
      1M測定不可(感度不足)

    3. 測定結果(直流ブリッジによる測定)
      X公称値[Ω]R[レンジ]R[Ω]B[Ω]X計算値公称値からの偏差[%]
      100210010001000.0
      1k31k10001.00k0.0
      10k410k9989.98k-0.2
      100k5100k16596.5k-3.5
      1M61M825825k-17.5

  6. 考察

    1. 誤差伝搬の法則よると、 Xの計算式がX = R・B/SであるのでXの相対誤差は、
      R、B、Sのそれぞれの相対誤差の合計になります。
      R,Sは固定抵抗器であり相対誤差はそれぞれ0.1%です。
      よって、Xの相対誤差は0.2%+Bの相対誤差になるので
      Bを相対誤差が0.1%以下の精度で測定できることが望ましいと考えられます。
      そしてBを正確に測定するためには平衡状態をいかに正確に検出するかが
      重要です。

    2. 公称値の違いによる測定値の誤差の傾向
      被測定抵抗の抵抗値が大きくなる程、測定誤差が大きくなる傾向が見られます。
      これは被測定抵抗が大きななると、検出器に流れる電流が小さくなり
      検出器の感度が相対的に低下するからだと考えられます。

    3. 交流ブリッジと直流ブリッジそれぞれによる測定の比較
      交流ブリッジでは検出器にイヤホンを使用しましたが、
      平衡点の近くでは音が消えるBの設定範囲に幅があるため、
      Bを正確に平衡点に設定するのは難しいです。
      一方、直流ブリッジでは検出器がセンタメーターであるため
      イヤホンよりは平衡点を正確に設定出来ました。
      以上より、直流ブリッジの方が相対誤差を小さく出来ることが判りました。

  7. 参考文献

    なし。
  8. 関連項目

    1. ホイートストンブリッジ
    2. 交流ブリッジ
    3. 可動コイル型直流電流計(±100μA センターメータ)
      標準電圧発生器のセンターメータを使用します。
    4. 可変抵抗器(5kΩB)
    5. 精密抵抗器
    6. トランスボックス


JH8CHUのホームページ>電気計測実験 >ブリッジによる電気抵抗測定


Copyright (C)2019, 2020 Masahiro.Matsuda(JH8CHU), all rights reserved.