JH8CHUのホームページ> ACブリッジ>ACブリッジの製作

ACブリッジの製作


回路図掲載(2006/07/23)
定数変更(2008/04/26)
回路図誤記訂正(2008/08/30)
回路図VR-Qの定数変更(2008/09/14)
コンデンサ測定仕様変更。回路定数変更。概要、回路構成記載。(2019/07/30)
設計、製作について記載。外観写真変更。(2019/11/23)
測定手順を記載(周波数測定手順を除く)。(2020/01/12)
キャパシタンス測定手順に浮遊容量の処理手順を追記。(2020/01/14)
誤記訂正(Rの抵抗値)。(2023/11/05)
  1. 概要

    抵抗値、静電容量(キャパシタンス)、インダクタンスを測定するためのブリッジです。
    抵抗測定の原理はホイートストン・ブリッジです。
    静電容量(キャパシタンス)の測定には交流ブリッジの一種である ソーティの容量ブリッジ
    またインダクタンスの測定にはマクスウェル・ブリッシを 使用しています。
    回路図はネットから拾ってきたものを一部定数を変更しました。
    (オリジナルはどこだったか判らなくなりました。)
    本製作においては更に周波数ブリッジ を使った正弦周波数の測定機能も追加しました。

  2. 仕様

    1. 抵抗[R]、キャパシタンス[C]、インダクタンス[L]の測定範囲とレンジ


    2. 周波数(F)
      • 156Hz〜3000Hz (暫定)

  3. 外観


  4. 回路図


  5. 回路構成

    1. 抵抗(R)

    2. コンデンサ(C)

    3. コイル(L)

    4. 周波数(F)の測定範囲
        周波数測定には周波数ブリッジ の一種であるウィーン・ブリッジを使用します。

  6. 設計

    ほとんど原理図に近いので、とくに設計はしていないのですが(笑)
    以下にレンジ毎の測定範囲の計算を示します。

    1. 抵抗測定(ホイートストン・ブリッジ)


      ホイートストン・ブリッジの原理より
      X = RB/Q

      S = 1kΩ、B = 47〜1047Ωであることから

      • レンジ1(1〜10Ω)  R = 10Ω X = 0.47〜10.47Ω
      • レンジ2(10〜100Ω) R = 100Ω X = 4.7〜104.7Ω
      • レンジ3(100〜1kΩ) R = 1kΩ X = 47〜1047Ω
      • レンジ4(1k〜10kΩ) R = 10kΩ X = 470〜10.47kΩ
      • レンジ5(10k〜100kΩ) R = 100kΩ X = 4.7k〜104.7kΩ
      • レンジ6(100k〜1MΩ) R = 1MΩ X = 47k〜1047kΩ

    2. キャパシタンス測定(ソーティの容量ブリッジ)


      ソーティ・ブリッジの原理より
      Cx = B/R・Cs

      Cs = 0.01μF、B = 47〜1047Ωであることから

      • レンジ1(0.1〜1μF)  R = 10Ω Cx = 0.047〜1.047μF
      • レンジ2(0.01〜0.1μF) R = 100Ω Cx = 0.0047〜0.1047μF
      • レンジ3(0.001〜0.01μF) R = 1kΩ Cx = 470p〜0.01047μF
      • レンジ4(100p〜1000pF) R = 10kΩ Cx = 47p〜1047pF
      • レンジ5(10p〜100pF) R = 100kΩ Cx = 4.7p〜104.7pF
      • レンジ6(1p〜10F)  R = 1MΩ Cx = 0.47p〜10.47pF

    3. インダクタンス測定(マクスウェル・ブリッシ)


      マクスウェル・ブリッジの原理より
      Lx = RB・Cq

      Cq = 1000pF、B = 47〜1047Ωであることから


    4. 周波数測定(ウィーン・ブリッジ)


      ウィーン・ブリッジの原理より
      f = 1/(2πC・F)

      C1 = 1μF、F = 0〜1000Ωであることから

      • f = 152Hz〜∞


  7. 使用部品

    1. 固定抵抗器
      47Ω以外は出来るだけ精密な金属皮膜抵抗器を使用します。

    2. 固定コンデンサ
      出来るだけ精密で経年変化の少ないコンデンサを使用します。
      容量の観点からフィルム系のコンデンサを使用しました。

    3. 可変抵抗器
      機械構造の安定したものが望まれます。通信工業規格品を使用しました。
      カーブは全てBカーブです。

  8. 製作

    1. ケース
      タカチのYM-180を使用しました。

    2. 寸法


    3. 刻印文字


  9. 使用方法

    1. レンジの設定によるRの値
      以下の測定手順において、抵抗値Rの値はレンジの設定(1〜6)により以下の値を使用します。



    2. 電気抵抗(R)測定(直流ブリッジによる方法)
      • 接続方法


      • 測定手順
        (1)ブリッジの機能設定で「R」を選択します。トグルスイッチはTと反対側(M)にします。
        (2)センターメータに感度設定がある場合「低感度」に設定します。
        (3)回路を組立ます。乾電池は最後に接続します。
        (4)被測定抵抗器を接続します。

        (5)レンジのスイッチとBALANCEのVRを交互に調整してセンターメーター の指示が0になる設定を探します。
        (6)センターメーターに感度設定があれば「高感度」に設定します。
        (7)BALANCEのVRを調整してセンターメーターの指示を0にします。
        (8)センターメータに感度設定がある場合「低感度」に設定します。
           (次の(9)でバランスがくずれメーターが振り切れるからです。)
        (9)ブリッジのトグルスイッチをT側に倒します。
        (10)その時の抵抗値を読み取ります。(この値をBとします)
        (11)以下の計算式により、測定値Xを求めます。Sは1kΩです。

        X = R*B/S

        Rはレンジの設定によります。1項を参照してください。

        (12)被測定抵抗を交換する場合は、ブリッジのトグルスイッチをTと反対側(M)倒し
          (5)〜(11)の手順を繰り返します。

    3. 電気抵抗(R)測定(交流ブリッジによる方法)
      • 接続方法


      • 測定手順
        (1)ブリッジの機能設定で「R」を選択します。トグルスイッチはTと反対側(M)にします。
        (2)発振器の出力を最小にします。
        (3)回路を組立ます。発振器の電源は最後にONにします。。
        (4)被測定抵抗器を接続します。

        (5)発振器の出力を適当な音量になるまで上げます。
        (6)レンジのスイッチとBALANCEのVRを交互に調整して音が消える点を探します。
        (7)音が小さくなったら発振器の出力を上げます。
        (8)BALANCEのVRを調整して音が消える範囲の中央に設定します。
        (9)発振器の出力を最小にします。
           (次の(10)でバランスがくずれイヤホンから大きな音が出るからです。)
        (10)ブリッジのトグルスイッチをT側に倒します。
        (11)その時の抵抗値を読み取ります。(この値をBとします)
        (12)以下の計算式により、測定値Xを求めます。Sは1kΩです。

        X = R*B/S

        Rはレンジの設定によります。1項を参照してください。

        (13)被測定抵抗を交換する場合は、ブリッジのトグルスイッチをTと反対側(M)倒し
          (5)〜(12)の手順を繰り返します。

    4. キャパシタンス(C)測定
      • 接続方法


      • 測定手順
        (1)ブリッジの機能設定で「C」を選択します。トグルスイッチはTと反対側(M)にします。
          また、可変抵抗の「D/F」は最小に設定します。
        (2)発振器の出力を最小にします。
        (3)回路を組立ます。発振器の電源は最後にONにします。
        (4)被測定インダクターを接続します。

        (5)発振器の出力を適当な音量になるまで上げます。
        (6)レンジのスイッチとBALANCEのVR、可変抵抗D/Fをそれぞれを調整して
          音が消える点を探します。
        (7)音が小さくなったら発振器の出力を上げます。
        (8)BALANCEのVRと可変抵抗D/Fを調整してBALANCEのVRを音が消える範囲の中央に設定します。
        (9)発振器の出力を最小にします。
           (次の(10)でバランスがくずれイヤホンから大きな音が出るからです。)
        (10)ブリッジのトグルスイッチをT側に倒します。
        (11)その時の抵抗値を読み取ります。(この値をBとします)
        (12)以下の計算式により、測定値Xを求めます。Csは0.01μFです。

        Cx = B/R・Cs

        Rはレンジの設定によります。1項を参照してください。

        (13)被測定抵抗を交換する場合は、ブリッジのトグルスイッチをTと反対側(M)倒し
          (5)〜(12)の手順を繰り返します。

        (14)測定容量がpFオーダーのときは浮遊容量の値を測定値から引きます。
          浮遊容量は、測定端子Xに何も接続しない状態で容量を測定します。
          本製作においては20〜25pF程度の浮遊容量がありました。

    5. インダクタンス(L)測定
      • 接続方法


      • 測定手順
        (1)ブリッジの機能設定で「L」を選択します。トグルスイッチはTと反対側(M)にします。
          また、可変抵抗の「Q」は最大に設定します。
        (2)発振器の出力を最小にします。
        (3)回路を組立ます。発振器の電源は最後にONにします。
        (4)被測定インダクターを接続します。

        (5)発振器の出力を適当な音量になるまで上げます。
        (6)レンジのスイッチとBALANCEのVR、可変抵抗Qをそれぞれを調整して
          音が消える点を探します。
        (7)音が小さくなったら発振器の出力を上げます。
        (8)BALANCEのVRと可変抵抗Qを調整してBALANCEのVRを音が消える範囲の中央に設定します。
        (9)発振器の出力を最小にします。
           (次の(10)でバランスがくずれイヤホンから大きな音が出るからです。)
        (10)ブリッジのトグルスイッチをT側に倒します。
        (11)その時の抵抗値を読み取ります。(この値をBとします)
        (12)以下の計算式により、測定値Xを求めます。Cqは1000pFです。

        Lx = R*B・Cq

        Rはレンジの設定によります。1項を参照してください。

        (13)被測定抵抗を交換する場合は、ブリッジのトグルスイッチをTと反対側(M)倒し
          (5)〜(12)の手順を繰り返します。

    6. 周波数(F)測定(工事中)
      • 接続方法
      • 測定手順

  10. 関連項目

    1. ホイートストン・ブリッジ
    2. ソーティの容量ブリッジ
    3. マクスウェル・ブリッシ
    4. 周波数ブリッジ

  11. 参考文献

    1. 入門電気計測(第16刷 1980)、西野治著、実教出版
    2. 電気工学入門演習 電気計測(3版 1988)、堤捨男・金古喜代治 共著、学献社

JH8CHUのホームページ> ACブリッジ>ACブリッジの製作


Copyright (C)2006, 2008, 2012, 2019, 2020 Masahiro.Matsuda(JH8CHU), all rights reserved.