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AV法・VA法の実験


本ページ作成(2014/05/11)
  1. 実験の目的

    種々の値の固定抵抗器をAV法とVA法により測定し、測定器の内部抵抗が
    測定値に及ぼす影響について考察する。

  2. 実験課題

    1. アナログ直流電圧計、アナログ直流電流計の内部抵抗の測定
    2. 固定抵抗器の抵抗値の測定
    3. 乾電池の内部抵抗の測定

  3. 実験回路

    1. AV法の回路
      測定に使用する電流計、電圧計はともにアナログ計器を使用します。


    2. VA法の回路
      測定に使用する電圧計、電流計はともにアナログ計器を使用します。


  4. 実験方法

    1. アナログ直流電圧計、アナログ直流電流計の内部抵抗の測定
      ディジタル・テスターの抵抗レンジで測定します。

    2. 固定抵抗器の抵抗値の測定
      下記の値の抵抗器について、AV法とVA法で測定し、測定した結果から
      計算によって得られる抵抗値の値について考察します。
      具体的には、簡易計算した結果と、測定器の内部抵抗の影響を考慮した
      計算結果について比較検討します。

      100Ω、1kΩ、10kΩ、100kΩ、1MΩ

    3. 乾電池の内部抵抗の測定

  5. 実験機材

    1. 可動コイル型直流電流計 (アナログ直流電圧計の電流端子を利用)
    2. アナログ・テスター
    3. ディジタル・テスター
    4. 乾電池
    5. 可変抵抗器(5kΩB)
    6. 固定抵抗器
      100Ω、1kΩ、10kΩ、100kΩ、1MΩ 各1本



  6. 実験結果

    1. 電圧計、電流計の内部抵抗の測定
      計器種類レンジ測定値[Ω]備考
      直流電圧計2.5[V]49900 
      テスター電圧計2.5[V]24830 
      テスター電流計10[mA]87.9 
      直流電流計50[mA]2068 

      ここで測定した各計器の内部抵抗は、次のAV法、VA法で計算に使用します。

    2. AV法による抵抗値の測定
      電圧計の内部抵抗RV考慮しない測定抵抗Rの計算式は
      R = V/A  (表の記号では、c=b/a)
      電圧計の内部抵抗RV考慮した測定抵抗Rの計算式は
      R = V/(A - V/RV) (表の記号では、d=b/(a-b/g))
      電流計、電圧計の補正率は、アナログ直流電流計の校正実験アナログ直流電圧計の校正実験にて
      測定した結果を使用します。
      また、誤差は抵抗器の公称値に対する誤差です。



    3. VA法による抵抗値の測定
      電流計の内部抵抗RA考慮しない測定抵抗Rの計算式は
      R = (V - RA * A)/A (表の欄では、d=a/b)
      電流計の内部抵抗RA考慮した測定抵抗Rの計算式は
      R = (V - RA * A)/A (表の欄では、d=(a-g*b)/b)
      電圧計、電流計の補正率は、アナログ直流電圧計の校正実験アナログ直流電流計の校正実験にて
      測定した結果を使用します。
      また、誤差は抵抗器の公称値に対する誤差です。



  7. 考察

    1. AV法による抵抗測定
      電圧計の内部抵抗RVが測定する抵抗Rより十分大きくない場合
      電圧計に流れ込む電流が測定電流の誤差となります。
      電圧計の内部抵抗RVが無視出来ない場合は、電圧計に流れ込む電流を
      電流の測定値から引いて補正した式、
      R = V/(A - V/RV)
      を使うと誤差を小さく出来ます。


      本実験においては、150[Ω]、1[kΩ]を測定する際は、電圧計の
      内部抵抗RV=49900[Ω]に対して
      R<<RVの関係が成り立ち、誤差はRVを考慮しなくても
      -1.4%、-3.4%と小さいです。
      一方、10[kΩ]、100[kΩ]、1[MΩ]を測定する際は、電圧計の
      内部抵抗RV=24830[Ω]に対して
      R<<RVの関係が成り立たないため、誤差はRVを考慮しないと
      -25.3%、-80.2%、-97.6%と大きくなりました。
      RVを考慮して計算すると、誤差は、6.8%、-1.4%、-18.5%と考慮しない場合
      に比べて小さくなりました。

    2. VA法による抵抗測定
      電流計の内部抵抗RAが測定する抵抗Rより十分小さくない場合
      電流計の両端に発生する電圧が測定電圧の誤差となります。
      電流計の内部抵抗RAが無視出来ない場合は、電流計に発生する電圧を
      電圧の測定値から引いて補正した式、
      R = (V - RA * A)/A
      を使うと誤差を小さく出来ます。


      本実験においては、150[Ω]、1[kΩ]、10[kΩ]を測定する際は、電流計の
      内部抵抗RV=87.9[Ω]、2068[Ω]に対して
      R>>RAの関係が成り立たたないため、誤差はRAを考慮しないと
      58.1%、10.2%、17.6%と大きくなりました。
      一方、100[kΩ]、1[MΩ]を測定する際は、電流計の
      内部抵抗RA=2068[Ω]に対して
      R>>RAの関係が成り立ち、誤差はRAを考慮しなくても
      -1.4%、-3.4%と小さいです。

      以上より、電圧計の内部抵抗、電流計の内部抵抗と、測定する抵抗の関係より
      AV法とVA法を使いわけないと、測定誤差が大きくなることが確認出来ました。


    3. 乾電池の内部抵抗の測定

  8. 今後の課題

    (1)乾電池の内部抵抗の測定

  9. 参考文献

    入門電気計測(16刷 1980)、西野治著、実教出版
    電気工学入門演習 電気計測(3版 1988)、金古喜代治、堤捨男著、学献社
    現代電気電子工学の基礎実験(1981)、元岡達編集、オーム社

  10. 関連項目

    1. 可動コイル型直流電流計の原理
    2. 可動コイル型直流電圧計の原理
    3. アナログ直流電流計の校正実験
    4. アナログ直流電圧計の校正実験
    5. 電気抵抗
    6. オームの法則

  11. 実験の様子




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