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アナログ直流電圧計の校正実験


本ページ作成(2013/12/16)
  1. 実験の目的

    アナログ電圧計とディジタル・テスターとで種々の大きさの同一の
    電圧を測定し、その測定値を比較する。
    この際、一応ディジタル・テスターの指示値が正しいものとして
    アナログ電圧計の補正率を求める。
  2. 実験課題

    アナログ電圧計として、下記の二種類について校正を行う。
    1. 可動コイル型直流電圧計(0.5V/1.0V/2.5Vレンジ)
    2. テスターの直流電圧レンジ:2.5V
  3. 実験方法

    1. 実験回路


    2. 可動コイル型直流電圧計(0.5V/1.0V/2.5Vレンジ)の校正
      実験回路の接続を行い、可動コイル型直流電圧計の0.5V/1.0V/2.5の各レンジ
      について補正率を求めます。
      実験にあたり、電圧計の針が振りきれないように、電池を接続する前に
      可変抵抗器(VR)の設定は最小にしておきます。

    3. テスターの直流電圧レンジ:2.5Vの校正
      実験回路の接続を行い、、アナログ・テスターの10mA電流レンジについて
      補正率を求めます。可動コイル型直流電圧計のときと同様に、
      実験にあたり、電圧計の針が振りきれないように、電池を接続する前に
      可変抵抗器(VR)の設定は最小にしておきます。

  4. 実験機材

    1. 可動コイル型直流電圧計
    2. アナログ・テスター
    3. ディジタル・テスター
    4. 乾電池
      1.5[V] ×2本、 電池ホルダー
    5. 可変抵抗器(5kΩB)

  5. 実験結果

      測定結果である、ディジタル・テスタの読みVdとアナログ電圧計の読みVaから、
      下記の式で補正率αを求めて、横軸をVaにしてグラフを書きます。

      α= ( Vd / Va - 1) × 100

    1. 可動コイル型直流電圧計(0.5Vレンジ)の校正


    2. 可動コイル型直流電圧計(1.0Vレンジ)の校正


    3. 可動コイル型直流電圧計(2.5Vレンジ)の校正


    4. テスターの直流電圧レンジ2.5Vの校正


  6. 考察

    1. 可動コイル型直流電圧計(0.5V/1.0V/2.5Vレンジ)の校正
      補正率のグラフの形状が、0.5V/1.0V/2.5Vレンジの三つとも同じような
      形状をしていることから、もともとの電流計の誤差の傾向が表れている
      ものと考えます。
      可動コイル型直流電圧計は、原理的には電流の測定値からオームの法則により
      電圧を求めているため、元々の電流計の誤差に対して抵抗器の誤差分だけ
      電圧計としての誤差が増加します。
      ただ、今回測定に使用したアナログ電圧計は、そもそも倍率器の設計段階で
      1%の誤差を許容してしまったため、補正のうち1%は設計による誤差です。
      また、倍率器に使用した抵抗器は誤差1%の金属皮膜抵抗器なので、
      理論上は最悪電流計の誤差より2%誤差が悪化します。

      電流計の校正で得た結果と比較しますと、フルスケールの80%での補正率は
      電流計(50μA)の補正率: -5.7%
      電圧計(0.5V)の補正率: -6.8% (=-5.7-1.1)
      電圧計(1.0V)の補正率: -6.4% (=-5.7-0.7)
      電圧計(2.5V)の補正率: -5.5% (=-5.7+0.2)
      となり、電圧計の補正率は電流計の補正率より2%以内の悪化に収まっており
      一応、理論的には整合がとれています。

      以上より、電流計と同様に、電圧計においても誤差が小さい測定をしたい場合は、
      面倒でも電圧計の補正率の曲線を求めて、測定値を補正する必要があることが
      確認出来ました。

    2. テスターの直流電圧レンジ2.5Vの校正
      2250mV測定時の補正が-4.7%になりました。
      テスタは内部に分流器や倍圧器を持っているため、誤差はアナログメータ単体
      より大きくると思われます。

      測定電流がフルスケールに対してだいたい20%以下のときは、補正率が大きくなって
      いますが、この傾向は可動コイル型直流電流計/テスタの電流レンジのときと
      同様の傾向です。電圧を測定する場合も、やはり出来るだけメータの針が大きく
      振れるレンジを用いて測定するべきであることが判ります。

  7. 参考文献

    入門電気計測(16刷 1980)、西野治著、実教出版
    電気工学入門演習 電気計測(3版 1988)、金古喜代治、堤捨男著、学献社
    現代電気電子工学の基礎実験(1981)、元岡達編集、オーム社

  8. 関連項目

    1. 可動コイル型直流電圧計の原理
    2. 倍率器
    3. 電圧計の接続
    4. 電圧の定義
    5. 直流電圧の精密測定
    6. オームの法則
    7. 電池
  9. 実験中の様子

      可動コイル型直流電圧計の校正
      雑然としておりますが、こんな感じで実験しました。(^o^;




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