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定電流回路(1石構成)の実験
本ページ作成(2026/03/31)
実験の目的
トランジスタ一石による定電流回路を設計し、実際に動作させて定電流回路としての
特性を測定します。
動作確認は、負荷抵抗を変化させた場合と電源電圧を変化させた場合について
実験を行います。
実験課題
下記の項目について測定を行います。
- 負荷を変化させた場合の特性
- 電源電圧を変化させた場合の特性
実験回路

回路の動作
ツェナーダイオード(ZD)と抵抗RBは
定電圧回路であり、電圧VZは一定電圧となります。
定電圧回路からみて、トランジスタのベース端子が(定電圧回路の)負荷に相当します。

トランジスタのベース〜エミッタ間電圧(VBE)が一定なので、負荷抵抗(ZL)に
流れる電流(IL)は下記の式となり、定電流となります。
IL = (VZ - VBE) /
RE
1石定電流回路に関する詳細は電子回路の
定電流回路(1石構成)を参照してください。
実験回路の設計
- 設計条件
(1)電源電圧(Vcc):
負荷変動の試験ではVcc=10[V]とします。
電源電圧変動試験ではVcc= 5[V]〜15[V]とします。
(2)トランジスタ:2SC1815-Y(データシートよりhFE=120〜240)
(3)負荷抵抗に流す定電流:IL ≒ 0.5mA
(4)ツェナーダイオードに流す電流:1 [mA]
トランジスタのコレクタ電流(=IC=IL)は0.5[mA]でした。
トランジスタのhFE(min)は120なので、ベース電流(IB)は
IB = IC / hFE(min) = 0.5[mA] / 120 ≒ 4.2[μA]
等価抵抗を小さくするためにツェナーダイオードの電流は1[mA]としました。
この値はベース電流(4.2[μA])より十分大きい値です。

- ツェナーダイオード(ZD)の選定
小型の電力のもので間に合います。以前まとめ買いして、これまで、
ツェナーダイオードの特性測定実験やシャントレギュレータの実験で使用した
1N5231Bを使用します。
- 抵抗(RB)の選定
電源電圧(Vcc)を10[V}、ツェナーダイオード両端の電圧(VZ)を5.1[V]
とすれば、RB両端の電圧は10 - 5.1 = 4.9[V]です。
ツェナーに流す電流は1[mA]とましたが、ベースに流れる電流は4.2[μA]なので
無視出来ます。よって、
RB = (Vcc - VZ) / IZ =
(10[V] - 5.1[V]) / 1[mA] ≒ 4900[Ω]
E6系列より選定し
RB = 4.7[kΩ]としました。
- 抵抗(RE)の選定
エミッタ抵抗(RE)の両端の電圧(VE)は
VE = VZ - VBE = 5.1 - 0.7 = 4.4[V]
です。IL = IC ≒ IE = 0.5[mA] (∵hFE ≫ 1)
これより
RE = VE / IE = 4.4[V] / 0.5[mA] = 8.8[kΩ]
E6系列より選定し
RE = 10[kΩ]としました。
この定数で改めてILを計算すると、
IL = VE / RE = 4.4[V] / 10[kΩ] ≒ 0.44[mA]
となります。
- ZLの最大値
ILが一定なので、ZLを大きくしていくと、それに比例して
VLが大きくなっていきます。しかし、トランジスタのエミッタ電圧(VE)
は一定なので、VLは(Vcc - VL)より大きくなることは出来ません。
これが本回路が定電流動作出来る限界となります。具体的には
ZL(max) = (Vcc - VL) / IL = (10[V] - 4.4[V]) / 0.44[mA]
≒ 12.7[kΩ]
これは理論的な最大値なので実際にはこの値よりやや小さくなるでしょう。
実験方法
- 電子ブロックの配置

- 負荷を変化させた場合の特性の測定
電源電圧(Vcc)は10[V]で固定します。
負荷抵抗(ZL)を下記の値で変化させ、電流計の読みを測定します。
33[kΩ]、22[kΩ]、10[kΩ]、3.3[kΩ]、1[kΩ]、300[Ω]、100[Ω]、47[Ω]、10[Ω]、0[Ω](短絡)
(手元部品の関係で、定数の間隔に少しバラツキがあります。)(^^;
- 電源電圧を変化させた場合の特性の測定
負荷抵抗(ZL)は100[Ω]で固定します。
電源電圧(Vcc)を下記のように変化させ、電流計の読みを測定します。
| Vcc[V] |
簡易安定化電源 端子[V] |
乾電池個数 |
備考 |
| 5 |
5 |
0 |
|
| 6.5 |
5 |
1 |
|
| 8.0 |
5 |
2 |
|
| 10 |
10 |
0 |
|
| 11.5 |
10 |
1 |
|
| 13 |
10 |
2 |
|
| 15 |
15 |
0 |
|
実験機材
- 電子ブロック
- 負荷用固定抵抗器(ZL)
33[kΩ]、22[kΩ]、10[kΩ]、3.3[kΩ]、1[kΩ]、300[Ω]、100[Ω]、47[Ω]、10[Ω]
(全て1/4[W])
- 簡易安定化電源
- ディジタル・テスター(電流計)
- 乾電池×2個、電池ホルダー
実験結果
- 負荷(ZL)を変化させた場合の特性の測定

- 電源電圧(Vcc)を変化させた場合の特性の測定

考察
- 負荷(ZL)を変化させた場合の特性
負荷(ZL)を変化させた場合、想像以上に良好な定電流特性を示しました。
定電流動作時の電流の値は0.36[mA]となり、設計値の0.44[mA]より小さくなりました。
ツェナーダイオードの電流が1[mA]では、両端の電圧(VZ)が5.1[V]より
小さくなるためでした。
定電流となる負荷の最大値(ZL(max))は実測では10[kΩ]あたりであり、
予想通り理論的な計算値:12.7[kΩ]よりやや小さめでした。
- 電源電圧(Vcc)を変化させた場合の特性
電源電圧を変化させると、ツェナーダイオードに流れる電流が変化することにより
ツェナーダイオード両端の電圧(VZ)が多少変化するため、ILも
幾分変化しました。グラフは縦方向の目盛りが拡大してあるので、
変化が大きくみえますが。(^^;
直線性のよい8〜11.5[V]で計算すると変化率は5.4[μA/V]となりました。
今回はツェナーダイオードの電流を1[mA]で設計しましたが、電流を5〜10[mA]にすれば
更に等価直列抵抗が小さくなり、安定になることが期待出来ます。
ツェナーダイオードの静特性測定実験
が参考になると思います。
今後の課題
課題はとくにありませんが、差動増幅回路と組み合わせた応用で
使用する計画です。
参考文献
- 2SC1815データシート
- 1N5231Bデータシート
関連項目
- 電子回路−定電流回路(1石構成)
- 電子回路−ツェナーダイオードによる定電圧回路
- 設計情報−抵抗器−E系列
- 安定化電源の製作−簡易安定化電源
- 自作電子ブロック
- ダイオードのデバイス実験−
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