JH8CHUのホームページ> トランジスタ・パルス回路の実験 >スピードアップ・コンデンサーの実験

スピードアップ・コンデンサーの実験


本ページ作成。(2026/02/06)
  1. 実験の目的

  2. トランジスタ・スイッチの回路にスピードアップ・コンデンサーを追加し、
    その効果を確認します。

  3. 実験課題

    1. スピードアップ・コンデンサーの効果を波形で確認
    2. コンデンサーの容量を変えながら出力波形の遅延時間を測定し、
      適切と思われる容量の値を検討します。

  4. 実験回路


  5. 回路の機能と動作


  6. 実験回路の設計

    1. 設計条件
    2. (1)電源電圧:およそ5[V]とします。
      (2)使用するトランジスタ:定番の2SC1815-Y
      (3)コレクタ電流(ON状態):5[mA]
      (4)入力信号
        非安定マルチバイブレータの実験 で使用した実験回路を流用します。
        ただし、コンデンサーの容量は変更し発振周期は変えます。
        ・波形:矩形波
        ・周波数:約25[kHz]
        ・デューティー:約50[%]
        ・振幅:0-5[V]
      (5)出力の負荷
      トランジスタのコレクタには何も接続しません。
      波形観測のためのオシロスコープを接続しますが、オシロの入力インピーダンスは
      [MΩ]のレベルなので無視出来る値です。

    3. RCの選定

    4. RBの選定

    5. CSの選定

    6. 信号源
    7. 非安定マルチバイブレータの 実験に使用した電子ブロックを流用しました。
      ただし、発振周期とデューティを変更するために、CB1 = 0.001[μF]、 CB2 = 0.001[μF]
      に変更してます。この場合の発振周期は約40[μs]、デューティーは約50[%]です。

      ところで、非安定マルチバイブレータの出力を直接使うと立上がりの時間が遅く
      実験回路の応答特性が正確に判りません。本来は、非安定マルチバイブレータの出力を
      一度、シュミット・トリガ回路を通すと良いのですが、回路設計の負担が増えると
      同時に、部品も増えてしまいます。
      そこで、非安定マルチバイブレータの出力にスピードアップ・コンデンサーを
      追加したトランジスタ・スイッチを経由して実験回路に供給します。
      今回実験する回路を信号源に使ってしまっては、ちぐはぐな実験になってしまうのですが
      妥協して諦めることにしました。(T_T;
      下記が信号源全体の回路図です。

  7. 実験方法

    1. 電子ブロックの配置
    2. 電子ブロックで実験回路を下図のように組み立てます。
      電源は簡易安定化電源の5[V]端子を使用しました。


    3. 全体の接続図


    4. 波形の観測
    5. スピードアップ・コンデンサーの値を変えながらViとVoの波形を
      オシロスコープで観測し、下図に示す td、ts、tr、tfを読み取ります。


  8. 実験機材

    1. 電子ブロック
    2. 簡易安定化電源 (5[V]端子)
    3. オシロスコープ

  9. 実験結果

    1. 信号源の波形
    2. 上が非安定マルチバイブレータの波形、下は100[pF]のスピードアップ・コンデンサーを
      を付加したトランジスタ・スイッチの波形(Vs)。
      Vsのtrは100[ns]、tfは80[ns]くらいでしたが、多少、
      次段に接続される実験回路のCSの影響を受けるようです。

      2V/div、5μs/div

    3. 波形観測(遅延時間測定)
    4. td、ts、tr、tfの読み取り結果を下記に 示します。
      波形の写真は面倒なので省略しました。
      (似たような波形ばかりで楽しくないので。笑)
      CSの容量
      [pF]
      td[ns] ts[ns] tr[ns] tf[ns] 備考
      0 1800 200 700 160 スピードアップ・
      コンデンサー(CS)なし
      10 1500 40 600 80
      30 500 ≒0 600 20
      47 40 ≒0 80 ≒0
      100 ≒0 ≒0 80 ≒0
      (注)「≒0」は、私の壊れかかったオシロでは差がほとんど0で測定出来ない、の意味です。(^^;

      読み取った結果をグラフにしたものが下記です。

      (1)td


      (2)ts


      (3)tr
       このグラフだけなぜか歪んでしましいました。比較的ラフに値を読み取ったことと
       オシロスコープのレンジの切替わりだったせいかもしれません。(-_-?

      (4)tf


  10. 測定結果・考察

    1. 遅延時間の改善
    2. 想像していたよりも絶大な(?)効果があることが判りました。(・o・;;
      とくにスピードアップ・コンデンサーがない場合、tdとts の差が大きく、
      高速なパルスを入力した場合、出力のデューティーが大きく変化して
      しまうことが判りました。(追加実験の項、参照)

    3. スピードアップ・コンデンサーの値
    4. td、ts、tr、tfのいずれにおいても 47[pF]以上あれば十分な改善が期待できることが判りました。
      ただしこの値は条件(トランジスタの型式や電源電圧、ON時の入力電流など)
      によって変わる可能性があり、今回の実験だけでは一般論とは言えないです。

    5. 追加実験
    6. 信号源である非安定マルチバイブレータのコンデンサー(CB1、CB2)の
      片方を100[pF]とし、非対称な矩形波をViとして入力した場合のVoの波形を
      観測しました。
      デューティー スピードアップ・
      コンデンサー:47[pF]
      スピードアップ・
      コンデンサー:なし
      備考
      10%
      ほぼVoはViを反転した波形。

      パルス幅が約2倍に広がった。
         
      90%
      ほぼVoはViを反転した波形。

      パルスが消えてしまった。
      上:Vi、2V/div、5μs/div
      下:Vo、2V/div、5μs/div

  11. 今後の課題

    1. スピードアップ・コンデンサーの応用検討
    2. 将来的に、トランジスタを使用したパルス発生器の製作に応用予定です。

  12. 参考文献

    1. パルス回路の設計(昭和56年(1981) 第20版(改訂10版)) P-34〜37 トランジスタのスイッチ動作、猪飼國夫著、CQ出版社

  13. 関連項目

    1. トランジスタ・パルス回路の解析− スピードアップ・コンデンサーの機能
    2. トランジスタ・パルス回路の実験− 非安定マルチバイブレータの実験
    3. 自作電子ブロック
    4. 簡易安定化電源


JH8CHUのホームページ> トランジスタ・パルス回路の実験> スピードアップ・コンデンサーの実験


Copyright (C)2026 Masahiro.Matsuda(JH8CHU), all rights reserved.