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交流ブリッジによるLC測定(信号源50Hz)
本ページ作成。(2023/11/07)
考察の3に絵を追加。参考文献追加。(2023/12/07)
実験の目的
交流ブリッジを使用した電気容量(キャパシタンス)、インダクタンスの
測定原理を理解するとともに、精度が保証されているコンデンサー、
インダクターを交流ブリッジを使用して測定し、どの程度の測定精度が
出るのかを確認します。
今回使用する交流電源は50Hzの正弦波を使用します。
実験課題
- コンデンサーの容量測定
下記の校正用コンデンサーの静電容量を測定します。
(1)0.1μF (誤差1%)
(2)0.01μF (誤差1%)
(3)1000pF (誤差1%)
(4)100pF (誤差5%)
(5)10pF (誤差±0.5pF)
- インダクタンスの測定
下記の校正用インダクターのインダクタンスを測定します。
(1)10mH (誤差5%)
(2)1mH (誤差5%)
(3)100μH (誤差10%)
(4)10μH (誤差10%)
(5)1μH (誤差30%)
実験方法
以下、交流ブリッジによる静電容量測定を実験回路(1)と手順(1)に、
インダクタンス測定を実験回路(2)と手順(2)に示します。
- 実験回路(1)

- 実験手順(1)
(1)2kΩVRを最小にします。ブリッジのトグルスイッチはM側にします。
(2)ブリッジの機能設定で、「C」(容量測定)を選択します。
(3)実験回路を組立ます。電源は最後にONにします。
(4)被測定コンデンサーを接続します。
(5)2kΩVRを適度な音量まで上げます。
(6)レンジのスイッチとBALANCEのVRとD/FのVRを調整して音が消える点を探します。
(7)音が小さくなったら2kΩVRを上げます。
(8)BALANCEとD/FのVRを調整して音が消える範囲の中央に設定します。
(9)2kΩVRを下げます。(イヤホンから大きな音が出ないようにするため)
(10)ブリッジのトグルスイッチをT側に倒します。
(11)その時の抵抗値をディジタルテスタ(または直流電位差計)で読み取ります。(この値をBとします)
(12)ブリッジのトグルスイッチをM側に倒します。
(13)被測定コンデンサーを交換します。
(14)(5)から(13)までの手順を繰り返します。
- 実験回路(2)

- 実験手順(2)
(1)2kΩVRを最小にします。ブリッジのトグルスイッチはM側にします。
(2)ブリッジの機能設定で、「L」(インダクタンス測定)を選択します。
(3)実験回路を組立ます。電源は最後にONにします。
(4)被測定インダクターを接続します。
(5)2kΩVRを適度な音量まで上げます。
(6)レンジのスイッチとBALANCEのVRとQのVRを調整して音が消える点を探します。
(7)音が小さくなったら2kΩVRを上げます。
(8)BALANCEとQのVRを調整して音が消える範囲の中央に設定します。
(9)2kΩVRを下げます。(イヤホンから大きな音が出ないようにするため)
(10)ブリッジのトグルスイッチをT側に倒します。
(11)その時の抵抗値をディジタルテスタ(または直流電位差計)で読み取ります。(この値をBとします)
(12)ブリッジのトグルスイッチをM側に倒します。
(13)被測定インダクターを交換します。
(14)(5)から(13)までの手順を繰り返します。
実験機材
- 交流ブリッジ
- トランスボックス
- クリスタル・イヤホン
- 可変抵抗器(2kΩB)
- 校正用コンデンサ
- 校正用インダクタ
- ディジタルテスターまたは直流電位差計
実験結果
- 被測定コンデンサーの容量計算式

ディジタルテスター(または直流電位差計)の読みをBとします。
Cs = 0.01μF、Rはレンジにより変わります。
このとき、次の式で被測定コンデンサーの容量(Cx)を計算します。
Cx = B/R・Cs
- 容量の測定結果
Cx公称値[F] | R[レンジ] | R[Ω] | B[Ω] | Cx計算値[F] | 公称値からの偏差[%] |
0.1μ (1%) | 1 | 10 | 110.6 | 0.1106μ | 10.6% |
0.01μ (1%) | 2 | 100 | 96.7 | 0.00967μ | -3.3% |
1000p (1%) | 3 | 1k | 105.7 | 1057p | 5.7% |
100p (5%) | 測定不可(平衡点不分明) |
10p (±0.5p) | 測定不可(平衡点不分明) |
- 被測定インダクターのインダクタンス計算式

ディジタルテスター(または直流電位差計)の読みをBとします。
Cq = 1000pF、Rはレンジにより変わります。
このとき、次の式で被測定インダクターのインダクタンス(Lx)を計算します。
Lx =R・B・Cq
- インダクタンスの測定結果
Lx公称値[H] | R[レンジ] | R[Ω] | B[Ω] | Lx計算値[H] | 公称値からの偏差[%] |
10m (5%) | 4 | 10k | 851 | 8.51m | -14.9% |
1m (5%) | 3 | 1k | 838 | 0.838m | -16.2% |
100μ (10%) | 2 | 100 | 839 | 83.9μ | -16.1% |
10μ (10%) | 2 | 100 | 90.2 | 9.02μ | -9.8% |
1μ (30%) | 1 | 10 | 85.8 | 0.858μ | -14.2% |
考察
- 誤差伝搬の法則よると、
Cxの計算式が
Cx = B/R・Cs
であるときのCxの相対誤差は、Rの相対誤差が0.1%、Cqの相対誤差が1%であり、
あとはBのディジタル・テスタ(または直流電位差計)の読み取り誤差ですが、
これを仮に(大き目に)0.5%と仮定すると、合計0.1+1+0.5=1.6%となります。
あとは平衡点(つまりVR-Bの値)をいかに正確に合わせるかで誤差が決まります。
- 誤差伝搬の法則よると、
Lxの計算式が
Lx =R・B・Cq
であるときのLxの相対誤差は、Rの相対誤差が0.1%、Cqの相対誤差が1%であり、
あとはBのディジタル・テスタ(または直流電位差計)の読み取り誤差ですが、
仮に(大き目に)0.5%と仮定すると、合計0.1+1+0.5=1.6%となります。
あとは平衡点(つまりVR-Bの値)をいかに正確に合わせるかで誤差が決まります。
- 容量測定では、平衡点が比較的判りやすかったですが、
インダクタンス測定では、バランスVR(B)の変化に対して検出器である
イヤホンからの音の変化が小さく、平衡点が判りづらかったです。
この結果、バランスVR(B)を精度よく設定することが難しいことから
測定精度も悪くなります。
この平衡点の位置は、測定の度に多少変化してしまいます。
なので、測定は複数回実施し、平均をとるなどの対策を実施した方が
良いと思います。今回はそこまで実施しませんでした。

- 測定値の、公称値からの偏差は、容量測定では最大10.6%、インダクタンス測定では
最大-16.1%となりました。
前項に記載したように、平衡点が測定の度にバラツキますが、今回は1回の測定で
測定値としたこともあり、精度的にはやや不満の残る結果となりました。
校正用インダクターの方が公称の誤差が大きいため、誤差が大きくなるとことは
事前に予想していましたが、全体に誤差がマイナス方向に偏っていることから
測定系に何か問題があるのかもしれません。
また、そうであれば補正できる可能性がありそうです。
ただ、今回偏りの原因については解りませんでした。
参考文献
電気電子工学の基礎実験(1981,第1版第刷)2.4.インピーダンス測定、本岡達著、オーム社
関連項目
- ソーティ・ブリッジの原理
- マクスウェル・ブリッジの原理
- 誤差伝搬の法則
- 交流ブリッジの製作
- トランスボックス
- 可変抵抗器(2kΩB)
- 校正用コンデンサ
- 校正用インダクタ
今後の課題
今回の測定においては、半導体を使用した装置は使用しない、という(無意味な?)
方針を前提にしたため、商用電源の50Hzを信号源としました。
しかし、実は、1kHz程度の信号源を使用すると、今回測定困難であった100pFと10pFも
測定出来ることが判明しています。また、被測定コンデンサーを接続しないと
ブリッジの浮遊容量も測定できることを別途確認済みです。
が、1kHzでの正式な測定は、今後製作予定であるCR移相発振器(またはパルス発振器)の
完成を待って、改めて実施する計画です。
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