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電圧源と電流源、テブナンとノートンの等価回路
本ページ作成。(2024/03/20)
電子回路に出てくる定電圧源は、電池や商用電源をモデル化したものとも言えますが
理想化されているので、実際の電池や商用電源とは異なります。
定電圧源は取り出す電流にかかわらず端子電圧が一定となる理想的な電圧源です。
どんなに大きな電流を流しても電圧降下がないので、要するに内部インピーダンスが
ゼロです。電圧源のシンボルは下記ですが、ここのホームページでは古い(?)シンボルを
使用しています。
定電圧源はとくにことわりがなければ正弦波の交流電源ですが、矩形波などの非正弦波で
あったり、直流分を含む場合もあります。その時は、その旨記載があるでしょう。
シンボルに+と−の記号がついていますが、これは交流の位相を表しています。
例えば、下図であった場合、

+と−の記号を入れ換えると下図のように位相が反転します。

「重ね合わせの理」を使用する場合など、特定の電圧源を回路から取り除くというか
電圧源の電圧をゼロにして考えることがあります。
その際、電圧がゼロの状態の定電圧源は短絡状態と等価になります。

電圧源の端子間を直接短絡すると、定電圧E[V]と短絡状態である0[V]とが
矛盾してしまうので、このような状態は考えません。

出力端子にどのような抵抗が接続されていても一定の電流を流し続ける電源です。
ある電流の範囲内であれば定電流源として動作する電源装置というのは
市販されていますが、通常、定電流源も理論的なモデルと考えられます。
定電流源は外部にどんなに大きな抵抗を接続しても流れる電流が一定となる理想的な
電流源です。内部インピーダンスは無限大となります。
電流源のシンボルは下記ですが、ここのホームページでは古い(?)シンボルを
使用しています。
古い(?)シンボル | 新JIS |
 |
 |
シンボルの矢印の向きは交流の位相を表しています。
例えば、下図であった場合、

矢印の向きを反対にすると下図のように位相が反転します。

「重ね合わせの理」を使用する場合など、特定の電流源を回路から取り除くというか
電流源の電流をゼロにして考えることがあります。
その際、電流がゼロの状態の定電流源は開放状態と等価になります。
(つまり回路が切れている。)

電流源の端子を開放すると、一定電流が流れている電流源の電流が流れていく先が
ないため、矛盾してしまうので、このような状態は考えません。

例えば、下図のように電流源に抵抗を接続すると矛盾しません。

電圧源と電流源は理想的なモデルなので、複数の電圧源・電流源を接続する場合、
矛盾したり、意味がない接続となることがあります。
- 意味のある接続
- 定電圧源の直列接続
2つの電圧源をひとつにまとめて簡単化する場合などに使用されます。

- 定電流源の並列接続
2つの電流源をひとつにまとめて簡単化する場合などに使用されます。

- 定電圧源の直列接続の応用
直流電圧Eに交流電圧vを重畳した波形を生成します。

- 意味のない接続
- 定電圧源と定電流源の直列接続
電流源のインピーダンスは無限大なので、電圧源の電圧Eは端子に現れません。
電圧源のインピーダンスはゼロなので、全体としてひとつの電流源と同じになります。

- 定電圧源と定電流源の並列接続
電圧源のインピーダンスはゼロなので、電流源の電流は全て電圧源に流れてしままい
その効果は端子間には現れません。
電流源のインピーダンスは無限大なので、電圧源の電圧が端子間に現れます。
電圧源のみの電源と等価になります。

- 矛盾する接続
- 定電圧源の並列接続
端子間の電圧がE1とE2とで異なると端子間の電圧が
決まらず矛盾します。

- 定電流源の直列接続
I1とI2とで異なると、端子に流れる電流が
決まらず矛盾します。

増幅器をモデル化したものと考えられます。
入力に比例した出力電圧、または出力電流を出力します。
入力、出力それぞれ電流と電圧が考えられますので、下記の4通りの
制御電源があります。
電圧制御形電圧源 |
 |
電圧制御形電流源 |
 |
電流制御形電流源 |
 |
電流制御形電圧源 |
 |
比例定数は、rは抵抗[Ω]、gはコンダクタンス[S]、μとβは次元のない無名数です。
- テブナンの等価回路
2端子回路があって、この回路の内部は複数の電圧源・電流源・線形素子(抵抗、
コンデンサー、コイル)から構成されているものとします(1個でもいいし、
0個でもよい)。この2端子回路の端子をa-bとします。
また、電圧源、電流源は一般的には交流です。

まず端子a-b間の開放電圧をVoとします。

次に、回路内の全ての電圧源の電圧をゼロとし(電圧源は短絡します。)、
全ての電流源を開放したとき、a-b間からみた回路のインピーダンスを
Zoとします。

このとき、下図(右)のようにa-b間に電圧源VoとインピーダンスZoを直列に
接続した回路をテブナンの等価回路といいます。
端子a-bから見たとき、テブナンの等価回路と元の回路は電気的に等価となります。

- テブナンの等価回路の例
下図のような回路があったとします。簡単化のために電源は直流とし、
線形素子は抵抗のみとしてます。これをテブナンの等価回路に変換します。

まず、端子a-b間の開放電圧を求めます。電源がふたつあるので、簡単には
求まらないようです。キルヒホッフの法則か重ね合わせの理を使うことに
なるでしょう。ここでは、重ね合わせの理を使って求めてみます。
まず、電流源Iを取り除きます。電流源は開放状態にします。
このときの端子a-b間の電圧をV1とします。

V1はEをR1とR2とで分圧した値となるので、
V1 = 12 * 15 / (10 + 15) = 7.2 [V]
次に、電圧源Eを取り除きます。電圧源は短絡状態にします。
このときの端子a-b間の電圧をV2とします。

V2は並列接続されたをR1とR2の両端の電圧です。
R1とR2の並列接続の合成抵抗は6[Ω]です。
よって、V2は電流Iに合成抵抗をかけて
V2 = 1 * 6 = 6 [V]
そうすると、Voは重ね合せの理から
Vo = V1 + V2 = 7.2 + 6 = 13.2 [V]
となります。
次に2端子回路内の電源を全て取り除いた状態で(電圧源は短絡し、電流源は開放する)
端子a-b間のインピーダンスZoを計算します。回路は下図となります。

抵抗R1とR2の並列接続なので、
Zo = 6 [Ω]と求まります。
以上より、テブナンの等価回路は下図となります。

本当に等価でしょうか?
ためしに下図のように端子a-b間に6[Ω]を接続してみます。

等価回路から計算すると、V=6.6[V]、I=1.1[A]とすぐに求まります。
下図のように元の回路の端子a-b間に6[Ω]を接続した場合の電圧Vを求めます。
重ね合わせの理を使います。I=0のときの端子a-b間の電圧をV1とします。
並列接続された15[Ω]と6[Ω]の合成抵抗は30/7[Ω]です。
よって、V1 = 12 * (30/7) / (10 + 30/7) = 3.6[[V]
E=0としたときの端子a-b間の電圧をV2とします。
3本の抵抗が並列接続されますが、合成抵抗は3[Ω]となるので、
V2 = 3 * 1 = 3[V] ∴V = V1 + V2 = 3.6 + 3 = 6.6[V]。
流れる電流Iは I = V/6 = 6.6/6 = 1.1 [A]です。
以上、V=6.6[V]、I=1.1[A]となり、等価回路で計算した結果と同じになります。

- ノートンの等価回路
2端子回路があって、この回路の内部は複数の電圧源・電流源・線形素子(抵抗、
コンデンサー、コイル)から構成されているものとします(1個でもいいし、
0個でもよい)。この2端子回路の端子をa-bとします。
また、電圧源、電流源は一般的には交流です。

まず端子a-b間の短絡電流をIoとします。

次に、回路内の全ての電圧源の電圧をゼロとし(電圧源は短絡します。)、
全ての電流源を開放したとき、a-b間からみた回路のインピーダンスを
Zoとします。

このとき、下図(右)のようにa-b間に電流源IoとインピーダンスZoを並列に
接続した回路をノートンの等価回路といいます。
端子a-bから見たとき、ノートンの等価回路と元の回路は電気的に等価となります。

- ノートンの等価回路の例
テブナンの等価回路を求めたのと同じ下図の回路を使って、今度はノートンの
等価回路を求めてみます。簡単化のために電源は直流とし、線形素子は抵抗のみ
としている点はもちろん同じです。

端子a-b間の短絡電流を求めます。今度はキルヒホッフの法則や重ね合わせの理を
使わなくても暗算で計算出来ます。端子a-b間が短絡されているので電圧はゼロです。
なので、R2の両端の電圧もゼロなので、R2には電流が
流れません。
R1を流れる電流は、E=12[V]を10[Ω]で割って1.2[A]ですが、この電流は
端子a-b間が短絡されているので、電流源の影響を受けません。同様に、電流源の
電流I=1[A]は短絡されている端子a-b間を通って戻ってきます。
結局、短絡電流はIo = 1.2 + 1.0 = 2.2 [A]となります。

次に端子a-b間のインピーダンスZoを計算ですが、これはテブナンの等価回路を
求めたときと同じ結果となるのでZo = 6 [Ω]です。

以上より、ノートンの等価回路は下図となります。

本当に等価でしょうか?
ためしに下図のように端子a-b間に6[Ω]を接続してみます。

流れる電流Iは2.2[A]の半分なので1.1[A]です。
VはV = I * 6[Ω] = 1.1 * 6 = 6.6[A]
等価回路から計算すると、V=6.6[V]、I=1.1[A]となりました。
元の回路の端子a-b間に6[Ω]を接続した場合のIとVはテブナンの等価回路の例と
同じになりますので、V=6.6[V]、I=1.1[A]です。
以上、等価回路で計算した結果と同じになりました。
- テブナンの等価回路とノートンの等価回路の相互変換
テブナンの等価回路とノートンの等価回路は簡単に相互変換出来ます。
まず、下図のテブナンの等価回路が与えられたとします。
端子a-b間の短絡電流IoはVo/Zoとなります。

電圧源のインピーダンスはゼロなので、端子a-b間からテブナンの等価回路を
見たときのインピーダンスはZoです。
従ってノートンの等価回路は下図となります。

逆に、下図のノートンの等価回路が与えられたとします。
端子a-b間の開放電圧VoはIo * Zoとなります。

電流源のインピーダンスは無限大なので、端子a-b間からノートンの等価回路を
見たときのインピーダンスはZoです。
従ってテブナンの等価回路は下図となります。

- テブナンの等価回路とノートンの等価回路の相互変換の応用例
テブナンの等価回路を求める例とした下図の回路ですが、
テブナンの等価回路とノートンの等価回路の相互変換で等価回路を求める
ことも出来ます。

まずEとR1に注目すると、ここはテブナンの等価回路の形をしているので、
ここをノートンの等価回路に変換します。

結果は、下図となります。

そうすると、R1とR2は並列接続ですので、合成抵抗の
値を6[Ω]としてひとつに纏められます。
また、並列接続されたふたつの電流源も
ひとつに纏めることができ、
その値は1.2 + 1 = 2.2[A]ですので、ノートンの等価回路を求めた例と
同じ下図の等価回路が得られます。

得られたノートンの等価回路の端子a-bの開放電圧Voは、
Vo = Io * Zo = 2.2 * 6 = 13.2[V]ですので、テブナンの等価回路に変換すると
下図に示すテブナンの等価回路が得られます。

参考文献
- 簡明電子回路入門(1980 初版) 第2章 線形な系と回路素子、矢部初男著、槇書店
- 簡明電子回路入門(1980 初版) 第4章 等価電源の定理、矢部初男著、槇書店
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