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バイポーラ・トランジスタの小信号簡略化等価回路


本ページ作成。(2024/08/30)

  1. エミッタ接地のhパラメータと等価回路



    エミッタ接地のhパラメータで 2端子対回路を表現したとき、 入出力の電圧、電流は
    hパラメータの定義により、次のような式で表されます。
    vbe = hie×ib + hre×vce ・・・@
    ic = hfe×ib + hoe×vce ・・・A

    この関係式を等価回路で表現 すると下図となります。


  2. エミッタ接地のhパラメータ

    エミッタ接地のhパラメータは、下記の式で近似計算することが出来ます。
    (エミッタ接地のhパラメータと静特性の関係についての詳細は こちらを参照してください。)

    hie ≒ β×γ
    hre ≒ 0
    hfe ≒ β
    hoe ≒ 0

    1. hie
    2. 入力電流ibの変化に対する入力電圧vbeの変化で、 入力特性をあらわす抵抗値となります。
      hieは直流動作点によって大きく変化するパラメータで、電流増幅率をβとして
      hie ≒ β / [40 * IE]

      で概算出来ます。
      ここで、γを
      γ = 1 / [40 * IE]

      で定義すれば、
      hie ≒ β * γ

      となります。

    3. hre
    4. 出力電圧vceの変化に対する、入力電圧vbeの変化で帰還特性ですが
      低周波ではhre ≒ 0と考えて問題ありません。
      周波数が高くなってくると、トランジスタ内部の静電容量により、hre ≠ 0となります。

    5. hfe
    6. 入力電流ibの変化に対する出力電流icの変化を表す伝達特性で、
      交流電流増幅率と呼ばれ、バイポーラ・トランジスタにおいて最も重要なパラメータです。
      IB〜IC静特性のグラフは原点を通る直線となるため、
      交流電流増幅率(hfe) = ic/ib ≒ 直流電流増幅率(hFE) = IC/IB

      と考えてよいです。
      hFEはβと記載されることもあるので、結局
      hfe = β

      ちなみに実際の部品においてはhFEはバラツキが大きいので、
      ランク分けされていることが多いです。

    7. hoe
    8. 出力特性を表すパラメータで、出力電圧vceの変化に対する 出力電流icの変化を表すので
      アドミタンスです。なので、逆数1/hoeはインピーダンスになります。
      増幅回路における等価回路では、1/hoeは負荷抵抗RCより大きなことが
      多いので、近似的にはhoe ≒ 0(インピーダンスとしては無限大)として近似します。
      ただし、この近似はあまりよくありません。

  3. エミッタ接地の小信号簡略化等価回路

    前項の近似の結果、下記に示すエミッタ接地の簡略化等価回路が得られます。


  4. コレクタ接地の小信号簡略化等価回路

    エミッタ接地のhパラメータをコレクタ接地のhパラメータに変換すると下記となります。
    hic ≒ hie ≒ β * γ
    hrc ≒ 1 - hre ≒ 1 - 0 = 1
    hfc ≒ -(1 + hfe) = -(1 + β) ≒ -β (∵ β>>1)
    hoc ≒ hoe ≒ 0

    この結果、コレクタ接地の簡略化等価回路は下図となります。
    しかし、等価回路に制御電源がふたつあると一般的に解析が複雑になり不便です。
    そこで、図のa-b間の電位が同じであることに注目し、ここを接続してベース側の制御電圧源を
    とり除くことを考えます。なおhfc<0なので、制御電流源の向きは上向きにして、
    βのマイナス符号は取っています。


    a-b間を接続して制御電圧源を取り除くとa点の電位はvebのままですが、
    このままでは、b点から右側にibが流れ込んでしまいます。
    そこで、制御電流源の電流を(β*ib)から{(β-1)*ib}に変更すると
    電流についてもつじつまが合います。


    ところで、一般的にβ>>1であることから(β-1)≒βが成り立ちます。
    よって制御電流源の値を近似して簡単にすると、最終的に下図に示すコレクタ接地の
    簡略化等価回路が得られます。


  5. ベース接地の小信号簡略化等価回路

    エミッタ接地のhパラメータをベース接地のhパラメータに変換すると下記となります。
    ここで、α = β / (1 + β)と定義します。
    hib ≒ hie/(1 + hfe) = β * γ/(1 + β) ≒ β * γ/β = γ (∵ β>>1)
    hrb ≒ hie * hoe/(1 + hfe) - hre = (β * γ) * 0/(1 + β) - 0 = 0
    hfb ≒ -hfe / (1 + hfe) = -β / (1 + β) = -α
    hob ≒ hoe/(1 + hfe) ≒ 0/(1 + hfe) = 0

    この結果、ベース接地の簡略化等価回路は下図となります。
    hfb<0であるので、制御電流源の向きは上向きとし、αのマイナス符号は取っています。


  6. 参考文献

    (1)簡明電子回路入門(初版 1980)、矢部初男著、槇書店


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