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ツェナー・ダイオードの静特性の測定
本ページ作成。(2015/01/31)
誤記訂正。(2024/09/11)
直流等価抵抗についての考察を修正。(2024/09/14)
実験の目的
ツェナー・ダイオードの逆方向静特性を測定し、電流を変化させても
逆方向電圧がほぼ一定となることを確認する。
実験課題
ツェナー・ダイオードに逆方向電圧をかけ、流れる電流と電圧を測定し、
測定結果をグラフに書き、逆方向電圧が一定となることを確認する。
(2014年時点で、秋月電子でまとめ買いできる品種を選定)
- ツェナー・ダイオード:1N5338B (許容電力:5[W])
- ツェナー・ダイオード:1N5231B (許容電力:500[mW])
ツェナー・ダイオードの静特性
ツェナー・ダイオードはPN接合に対し、N型(カソード)に+、P型(アノード)に
−の電圧をかけたときを逆方向電圧と呼び、ツェナー電圧においては、
流す電流を変えてもほとんど両端の電圧(Vz)は変化しません。

ツェナー・ダイオードの静特性をグラフで表すと下記のようになります。

実験回路

実験方法
ツェナー・ダイオードの逆方向電流は、逆方向電圧をわずかに変えただけでも
大きく変化します。このため、逆方向電圧の測定には、
分解能のある測定器を使用する必要があります。
この目的のために、かつては、直流電位差計が用いられていましたが、
近年はディジタル・テスターが安価かつ容易に手に入るので、
本実験でもディジタル・テスターを使用します。
ダイオード両端の電圧を直接測定するために、電圧計と電流計の接続としては、
AV法により測定を行います。
逆に、VA法を使用すると、電流計の両端に発生する電圧がダイオードの逆方向電圧の
測定値に対して大きな誤差を発生させます。

電流計については、測定範囲に合わせて、測定電流が50μAより小さいときは、
アナログ直流電流計(50μA)を使用し、50μAを超える範囲ではアナログ・テスター
を使用します。
実験機材
- ツェナー・ダイオード:1N5338B
(許容電力:5[W])

- ツェナー・ダイオード:1N5231B
(許容電力:500[mW])

- アナログ直流電流計(50μA)
- 可変抵抗器(5kΩB)
- 固定抵抗器(150Ω)
- アナログ・テスター
- ディジタル・テスター
- 乾電池(1.5V×6本)
-
実験結果
IDとVDは本来、符号はマイナスですが、下記の表とグラフはプラスで表示してます。
- 測定データ

- 1項データのグラフ

- 測定データ(縦軸:IDの対数を取ったもの)

- 3項データのグラフ
電流IDの対数をとってグラフを描くと、ほぼ直線となりました。
赤線は直線です。

考察
- ツェナー電圧
(1)1N5338B
仕様 | 実測 |
条件(Iz)[mA] | Vz(min)[V] | Vz(typ)[V] | Vz(max)[V] | 条件(Iz)[mA] | Vz[V] |
240 | 4.85 | 5.1 | 5.36
| 10 | 4.45 |
実測の電流(Iz=10mA)が仕様の条件(Iz=240mA)より小さいため、
ツェナー電圧(Vz)の実測値は仕様より小さくなりました。
(2)1N5231B
仕様 | 実測 |
条件(Iz)[mA] | Vz(min)[V] | Vz(typ)[V] | Vz(max)[V] | 条件(Iz)[mA] | Vz[V] |
20 | 4.845 | 5.1 | 5.355
| 20 | 4.980 |
実測値は仕様の範囲に入りました。
(3)ツェナー電圧のまとめ
ツェナー電圧(Vz)は、測定条件(Iz)のときの電圧であるため、この条件より
小さい電圧で使用すると、ツェナー電圧は仕様より小さくなることが判りました。
従って、許容電力の大きいツェナー・ダイオードを測定条件より小さい電流で使用すると
ツェナー電圧(Vz)が仕様より小さくなるので注意が必要だと思います。
- 直流等価抵抗(Zz)の計算(概算値)
(1-1)1N5338B(1mA付近、0.8mAと1mAでの傾きを計算)
(3.779[V] - 3.717[V])/(1.0[mA] - 0.8[mA]) = 310[Ω]
(1-2)1N5338B(10mA付近、8mAと10mAでの傾きを計算)
(4.45[V] - 4.38[V])/(10[mA] - 8[mA]) = 35[Ω]
条件(Iz) | Zz仕様[Ω] | Zz実測[Ω]
| 1mA | 400 | 310 |
240mA | 1.5 | (参考:35[Iz=10mA]) |
(2-1)1N5231B(0.25mA付近、0.2mAと0.3mAでの傾きを計算)
(4.59[V] - 4.49[V])/(0.3[mA] - 0.2[mA]) = 100[Ω] ※誤記訂正(2024/09/11)
(2-1)1N5231B(0.25mA付近、0.2mAと0.4mAでの傾きを計算)
(4.05[V] - 3.83[V])/(0.4[mA] - 0.2[mA]) = 1100[Ω]
(2-2)1N5231B(20mA付近、15mAと20mAでの傾きを計算)
(4.98[V] - 4.94[V])/(20[mA] - 15[mA]) = 8[Ω]
条件(Iz) | Zz仕様[Ω] | Zz実測[Ω]
| 0.25mA | 1600 | 1100 100 |
1mA | 17 | 8 |
(3)直流等価抵抗のまとめ
直流等価抵抗は仕様より小さくなることが確認出来ました。 (修正: 2024/09/14)
直流等価抵抗は小さい方が良いのですが、動作点によって大きく変化します。
(グラフの接線の傾きの逆数なので、電流が大きい方が抵抗が小さい)
データシートに記載の値は測定点におけるtyp値と思われます。
なので、仕様と実測で概ね一致していればよいと考えます。
- ツェナーダイオードの静特性
ツェナーダイオードの逆方向電圧と電流との関係は指数関数に近いことが判りました。
従って、電流が変化しても逆方向電圧が一定であるためには、ある程度電流を流す必要が
あることが判ります。すなわち、電流の値が大きい方が等価的な直流抵抗が減少します。

今後の課題
- ツェナーダイオードが発生するノイズ
参考文献
関連項目
- 直流計器
- AV法
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