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読書備忘録 【近代科学と聖俗革命】


作成開始(2024/04/14)

  1. 書名

  2. 書名著者出版社発行年購入備考
    近代科学と聖俗革命<新版> 村上陽一郎 新曜社 2002年 新版1刷 2009年10月    

  3. 全体的なメモ

  4. 「聖俗革命」は村上先生が提案した概念である。
    ガリレオやケプラー、ニュートン・・・などが発見した法則は、キリスト教と対立した
    概念ではなく、キリスト教の枠組みを前提とした、すなわち神の作った宇宙の理(ことわり)は
    何かを探求する中から出てきたもので、現在我々が理解している宗教と対立して
    近代自然科学を開拓した先人、との理解は全く的外れであることが明らかにされている。
    そして、その後、現代に到るような流れを決定づけた大きな出来事が百科全書であった
    との経緯について詳述している。

    第U部は、精神分析学などの内容になっていて、最初は科学哲学とどのような関連が
    あるのかと意外な印象を受けた。
    だが、考えてみれば、科学哲学は世界認識の方法を考える学問であるので、
    人間の認知能力は避けて通れないテーマであることに気付かされた。
    また、村上先生が「潜性」と呼んでいるものが、コミュニケーションをとる際に
    シチュエーションの理解が前提となることであると個人的には理解しているので、
    ユングのいう集合的無意識へと繋がっていく展開も理解出来たように思う。
    (2024/04/14)
  5. 目次・参考文献・キーワードなど

  6. タイトルキーワード・メモ・感想等参考文献  備考  
    第T部 近代を分かつもの
    序章 聖俗革命
    1 デカルトか
     ニュートンか

    2 自然における
     聖から俗へ
    3 『百科全書』の成立
     −ディドロ
    客観的知識
     (K・ポパー)
    4 『百科全書』の哲学
     −ダランベール
    百科全書序論
    学問の進歩
     (F・ベーコン)
    西洋近代科学
    エミール
     (ルソー)
    5 啓蒙近代の意味

    われわれが、「近代科学」と考えて
    いるものが、(中略)啓蒙主義
    のフィルターを通して見た一つの
    啓蒙主義による塑像としての
    「近代」科学なのだ(P-141〜142)






    「未開」の地域は、理性から得た
    知識によって「啓蒙」されなけ
    ばならない、という「文明化」の
    拡大は、啓蒙主義によってこそ、
    その理論的基盤を得た(以下略)
    (P-146)
    ありとあらゆる十九世紀ヨーロッパ
    の思想が、何かの形で、この
    コンドルセの発想と繋がっている。
    (P-153)
    方法序説
     (デカルト)





    近代科学を超えて
     (村上陽一郎)
    ペスト大流行
     (村上陽一郎)
    学問の進歩
     (F・ベーコン)






    人間精神進歩の歴史
     (コンドルセ)
    第U部 近代的人間観への離陸
    1 生命と人間 霊魂論
    (アリストテレス)
    (*1)
    2 心と身体の分離





    「意識」を「公共の場」に引きずり
    出すことは、そもそも論理的に
    不可能なのである。(P-223)
    方法序説
     (デカルト)
    人間機械論
     (ラ・メトリ)
    科学思想のあゆみ
     (シンガー)
    3 心の世界の論理 ユングの「集合的無意識」は生物
    全体に向かって拡がる視野を
    もっているからである。(P-270)
      エピローグ
     
    参考文献は本書記載の全てではなく、かつ同じとは限らない。
    ★印は特に重要な文献
  7. 参考・注記


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