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読書備忘録 【科学と日常性の文脈】


作成開始(2024/01/14)

  1. 書名

  2. 書名著者出版社発行年購入備考
    科学と日常性の文脈 村上陽一郎 海鳴社 1992 第10刷 2023年(中古) 工事中

  3. 全体的なメモ

  4. 新しい科学論」と同じ時期が書かれたた文献で、 内容や実例でいくらか重なるところがある。
    「新しい科学論」は非専門家向けの内容であるのに対し、本書は学術書である。
    しかし、あとがきにあるように、本書には引用註がない。
    (ので、本ページの参考文献の欄も、ほとんど空欄になっている。)
    引用を禁ずることを村上氏自身が自らの課題として本書を上梓したのだ。
    本書においては、世界認識についての身体との関わりについて取り上げているが
    やはり、科学哲学において身体性に関する考察は不可欠だと思う。
    一方、文脈という表現は、言語の意味論的な相対的ネットワークのようなものと
    とりあえず理解したが、要するに、意味というのは言語の表面的表現だけではなく
    その表現の前提となるシチュエーションが必要ということか。
    しかし、その前提を全て、言語化することは出来ないし、また人もしくは集団によって
    前提も変わってくるので、人もしくは集団毎に同じ表現でも異なる意味を持つ
    ことも有りうるということなのだろう。
    また、何かをきっかけとして、前提が大きく変わる(=革命)こともあるが
    そのメカニズムは将来的な課題である。
    ちなみに、村上氏は条件付きながら、ファイアー・ベントに近い立場らしいので、
    こちらもいつか読んでみよう。
    (2024/1/14)
  5. 目次・参考文献・キーワードなど

  6. タイトルキーワード・メモ・感想等参考文献  備考  
    序論
    第一章 日常的世界の成立
    1 日常的世界の性質
    2 「われわれ」構造と
    日常的世界
    ・メルロ・ポンティ
    「意味に縛りつけられている」


    緑のカプセルの謎
    (ジョン・ディクスン・カー)
    3 われの文脈依存性と
    「われわれ」
    人間の身体の内と外という区別が、
    常識的に信じられているほど自明
    でない(以下略)(P-54)
    ことばは、何らかの形で、世界を
    分節化し、分析する機能を持つ
    ことは確かだろう。(P-64)
    ・「原われわれ」−「われ」−
     「われわれ」
    第二章 日常的世界と科学的世界
    4 日常的世界と
    日常言語
    「灰皿」の意味を知る、という
    ことは、(中略)その日本語の語彙
    全体が有機的な関連性のネット
    ワークにおいて張り巡らす意味の
    空間のなかで、灰皿という語がどの
    ような位置を占め、どのような
    働き方をするか、ということを知る
    ことであり(P-94)
    5 「われわれ」の二重性と
    「世界」の二重性
    自然科学者が、今日の近代社会の
    なかで果たしている役割の一つは、
    原始社会における巫女や呪術者の
    それに見事に一致する。
    (P-126)
    日常言語は、単に伝達の手段では
    なく、(中略)同時に「われ」をも
    支配する媒体であることになる。
    (P^129)
    6 二重構造の一般化 われわれが、日常言語によって
    「世界」を分節化し、意味付ける
    ことを学び、かつそのことを通じて
    「世界」と「われ」とを支配する
    ことを学んで行く過程のなかで、
    「原われわれ」の状態のなかでは
    可能性として残されていたいかに
    多くのものを失っていったかには、
    思いをとめておく必要があろう。
    (P-142)
    7 「日常言語」と
    「理論言語」
    「理論言語」を上位に上れば
    上るほど、知覚世界との直接的な
    関係は希薄になり、トリヴイアリティは
    失われ、理論のネット・ワーク
    による顕性化の条件が明確に
    なってくると言う一般的傾向が
    あることは否定できない。
    (P-159)
    その共同体の内部では、その
    「理論言語」が「日常言語」と
    なっているわけだ。(P-159)
    第三章 科学理論のダイナミックス
    8 理論言語の変換 ・「規約主義」
    ・ゲシュタルト変換
    ・科学革命、パラダイム
    ・P・ファイアーベント
    9 新しいモデル
    結語 従来、ともすれば科学は、自然の
    なかに客観的に実在する秩序や
    法則であって、言わば人間から切り
    切り離されたそれ自体で存在する
    と考えられがちであった。(中略)
    科学は、漸く、人間から離陸した、
    特殊な体系ではなく、善くも悪くも、
    人間や社会のありようと切り離す
    ことのできないものである、
    (P-211)
    参考文献は本書記載の全てではなく、かつ同じとは限らない。
    ★印は特に重要な文献
  7. 参考・注記


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