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読書備忘録 【新しい科学論】


作成開始(2023/12/21)

  1. 書名

  2. 書名著者出版社発行年購入備考
    新しい科学論 村上陽一郎 講談社ブルーバックス 1980年 第4刷 1980年代中頃    

  3. 全体的なメモ

  4. 私が大学生のとき、科学哲学という学問分野に興味を引かれるきっかけとなった一冊だ。
    あれから40年近くを経て、改めて読み返してみても本書は科学哲学の入門書として良書だと思う。
    例えば、帰納と演繹についての説明も他書と比較して、本書は断トツに判り易い。
    しかし、第二章に入ると様相が変わる。
    まず第一節では、村上先生の専門である科学史の観点から、自然科学はもともと
    キリスト教の中から発生してきて、その後分化してきたものであることが明らかにされる。
    現代では物理学の先達であると思われている、コペルニクス、ガリレオ、ケプラー
    ニュートン、デカルト、スピノザなどの探求が、宇宙は神が作ったものであることを前提とし、
    その神の仕事を理解したいとの宗教的な情熱からなされたものであることが示される。
    そして第二節。ここはまさに科学哲学になるので表現は易しいが、理解は容易ではない。
    アインシュタインが「まず理論ありき」と言ったことにも通じるが、そもそも事実は
    個個人が持っている知識(あるいは理論)や使用する言葉によって変わってくるものである
    ことが示される。通常、共通の理論(パラダイム)や言葉を使用している人間同士の間では
    事実の認定に齟齬が生じることはあまりない。
    だが、何かのきっかけで共通了解事項に革命が起きることがあり、人々の認識は
    一斉に変化する。
    (2023/12/21)
  5. 目次・参考文献・キーワードなど

  6. タイトルキーワード・メモ・感想等参考文献  備考  
    序章 科学的なもの、
    人間的なもの
    二重ラセン
     (ウォトソン)

    第一章 科学についての常識的な考え方
    第一節 帰納 ・C.S.パース
    ・マッハ
    第二節 常識的科学観
    の特性
    ・ポパー
     「バケツ理論」批判
    ・ボルツマン
     「科学者は裸がお好き」
    ・マックス・ウェーバー
     「価値中立性」
    第二章 新しい科学観のあらまし
    第一節 文化史的
    観点から
    彼(コペルニクス)の頭のなか
    にはつねに、この世界を支配
    しているのが神である、という
    基本図式が存在していたこと
    です。(P-104)
    ガリレオは有名な言葉を残し
    ました。神は二つの書物を
    書いた、その一つはいうまでも
    なく聖書である、もう一つは
    自然そのものだ(P-106)
    神がこの世界を造ったときに
    (中略)「合理的秩序」のなかに
    おいた、という絶対的な確信を
    ケプラーはもっていました。
    (P-108)
    ニュートンは(中略)デカルトの
    立場を神への不信心に連なる
    可能性があるものとして、厳しく
    批判しています。(P-110)

    ・スピノザ
     「神即自然」
    天球回転論
     (コペルニクス)

















    近代科学と聖俗革命
    (*1)
    第二節 認識論的
    観点から
    言語を超えた「客観性」など
    というものが、何らかの意味を
    持ち得ることはありえない
    (P-174)
    「事実」が科学理論によって
    造られるものと考えられる
    (P-180)
    ・ハンソン
    「ゲシュタルト変換」

    ・クーン
    「科学革命」







    科学理論はいかにして
     生まれるか
     (N.R.ハンソン)
    科学革命の構造

    方法に抗して(仮題)
    (ファイヤーベント)












    (*2)
    参考文献は本書記載の全てではなく、かつ同じとは限らない。
    ★印は特に重要な文献
  7. 参考・注記


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