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トランジスタによる帰還増幅型定電圧電源回路の実験


工事中(2014/05/01)
  1. 実験の目的

    帰還増幅型定電圧電源の基本回路の動作原理を理解し、回路各部の電流と電圧について
    解析した後、実際に回路を組み立て動作を確認する。
    可能なら、負荷変動に対する出力電圧の安定度について定量的な考察をする。

  2. 実験課題

    下記の項目について測定を行い、回路設計時に検討した電圧変化率と
    測定結果から得た電圧変化率を比較検討する。

    1. 負荷変動に対する出力電圧の変化率
    2. 入力電圧の変動に対する出力電圧の変化率
    3. (過電流に対する保護機能の確認)

  3. 実験回路

  4. 回路の動作


  5. 実験回路の設計

    1. 設計条件
      • 出力電圧:5[V]
      • 負荷電流:0〜20[mA]
      • 入力電圧:6〜12[V]

        通常(?)、安定化電源と言えば、この程度の回路規模となります。
        今回の実験では、回路の動作確認を目的としていることと、
        電子ブロックを使用したバラック(?)での実験とすることから
        大電流を流すことは想定せず、出力電流は最大で20[mA]としました。
        この電流であればTr2もパワー・トランジスタではなく小信号用のもので
        間に合います。

    2. トランジスタ:Tr1の選定
        最初に、トランジスタTr1のエミッタ電流について検討します。
        出力電流Ioの最大値は20m[A]としましたが、
        Tr1のエミッタにはR2に流れる電流も流れます。
        R2に流れる電流は通常Ioよりはるかに小さいため無視してもよいのですが、
        今回の回路ではIoが小さいため無視出来ません。(^_^;
        D1、D2に流す電流を5[mA]とすればTr2のエミッタ電流は25[mA]となります。
        (ちなみに、Tr1にはR3,R4に流れる電流も流れますが、このあと検討するように
        R2の電流より1桁小さい値なので、ここでは無視しました。)


        Viの最大値は12[V]ですので、トランジスタTr1の最大コレクタ損失Pt1は
        Pt1 = (Vi(max) - Vo) * IE(max)
        = (12 - 5) * 0.025
        = 0.175[W]
        となります。小信号増幅用の汎用トランジスタ2SC1815を使用することを検討し、
        主な仕様を比較すると下記のようになり、問題ありません。
        項目記号単位部品仕様(25℃)設計値判定備考
        コレクタ・エミッタ間電圧VCEOV507OK備考
        コレクタ電流ICmA15025OK備考
        コレクタ損失PCmW400175OK備考


    3. 抵抗:R1の選定

        Ic1を25[mA]としましたので、Tr1のhFEを約100とすれば
        IB1は25[mA]/100=250[μA]となります。(Ic≒IEと考えた)
        入力電圧Viが最も低いときでもTr1のベースに250[μA]の電流が流れるように
        抵抗R1を決定する必要があります。
        Vb = Vo + VBE1 = Vo + 0.6 = 5 + 0.6 = 5.6[V]
        なので、
        R1 = (6 - Vb)/250[μA] = (6 - 5.6)/250[μA] = 0.4/250[μA] = 1.6[kΩ]
        となります。E-12系列の抵抗から選定するとしてR1=1.5[kΩ]とします。
        必要となる許容損失P1は入力電圧Viが最大のときであるため
        P1(max) = (VR1(max))2/R1
        = (Vi(max) - 5.6)2/R1
        = (12 - 5.6)2 / 1500[Ω]
        = 0.0273[W]
        となりますので1/8[W]程度のものが使用出来ます。

    4. トランジスタ:Tr2の選定
        トランジスタTr2のコレクタに流れる電流が最大値Ic2(max)となる条件は
        入力電圧Viが最大で、負荷電流Ioが無負荷状態のときと考えられます。
        このときR1の電流の大部分がTr2のコレクタに流れ込むと考えると
        Ic2(max) = {Vi(max) - (Vo + VBE1)}/R1
        = {12 - (5 + 0.6)}/1500
        = 4.3[mA]
        となりますので、2SC1815で充分です。


    5. 抵抗:R2の選定
        R2に流れる電流を5[mA]としたので、D1、D2の順方向電圧VDを0.6[V]とすると
        R2 = (Vo - 2 * VD)/5[mA]
        = (5 - 2 * 0.6)/0.005
        = 760[Ω]
        E-12系列の抵抗から選びますが手持ちの抵抗値との関連もありR2=680[Ω]とします。
        消費電力P2は
        P2 = (VR2(max))2/R2
        = (Vo - 2 * VD)2/R1
        = (5 - 1.2)2 / 680[Ω]
        = 0.0212[W]
        となりますので、これも1/8[W]程度のものが使用出来ます。

    6. 抵抗:R3,R4の選定
        Tr2に流れるコレクタ電流は最大で3.4[mA]でした。
        Tr2のhFEを100とすれば、ベース電流IB2は
        IB2 = 0.0034/100 = 34[μA]
        となります。R3,R4に流す電流はIB2の10倍以上としたいため
        R3 + R4 = Vo/(34[μA] * 10) = 5/(34[μA] * 10) = 14.7[kΩ]
        となります。R3+R4の絶対値は重要ではなく、出力電圧Voを決定するために
        その比が重要です。一方、出力電圧Voを5[V]に設定するためには
        Vref = 2 * VD + VBE2 = Vo * R4 /(R3 + R4)
        としなければならないので、R3=33[kΩ]、R4=22[kΩ]としました。
        基準電圧が1.8[V]ならVo=4.5[V]で目標仕様より若干低くなりますが
        基準電圧が2.0[V]ならVo=5.0[V]位になりそうです。



    7. ダイオードD1,D2の選定
        R2の電流が5[mA]、Tr2の最大エミッタ電流(≒最大コレクタ電流:Ic2(max))が4.3[mA]
        としたので、ダイオード:D1,D2に流れる電流は最大で9.3[mA]です。
        汎用品で間に合います。ので、手持ち部品の1S1588を使用します。

  6. 実験方法

    1. 電子ブロックの配置
    2. 負荷抵抗
        (1)1 [kΩ] (Io=5.0[mA]、PL=25[mW])
        (2)470[Ω] (Io=10.6[mA]、PL=53[mW])
        (3)330[Ω] (Io=15.2[mA]、PL=76[mW])
        (4)220[Ω] (Io=22.7[mA]、PL=114[mW])
        (5)100[Ω] (Io=50.0[mA]、PL=250[mW])
    3. 乾電池

  7. 実験機材

    1. 電子ブロック
        トランジスタ(2SC1815)、抵抗器:
        コンデンサ:
    2. 固定抵抗器
    3. アナログ・テスター
    4. ディジタル・テスター
    5. 乾電池

  8. 実験結果



  9. 測定結果・考察

  10. 今後の課題

    1. 電源回路の出力抵抗
    2. 負帰還回路の安定度
    3. 許容リップル電圧
    4. 温度変化に対する安定度
  11. 参考文献



  12. 関連項目

    1. 固定バイアス回路
    2. 電圧帰還バイアス回路


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