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ツェナー・ダイオードによる定電圧電源回路


本ページ作成。(2015/02/07)
記号の使い方に不統一があったので(I1とIiなど)これを修正しました。(2023/04/27)
  1. 回路の機能と特徴

  2. 回路図



  3. 回路の動作

    1. 各部の電圧と電流
        電源回路の負荷をRLとします。


        負荷抵抗RLの両端の電圧Voはツェナーダイオードの電圧: Vzそのものです。
        抵抗R1の両端の電圧をV1とすれば、
        V1 = Vi - Vo = Vi - Vz

        となります。よって、抵抗R1に流れる電流Iiは
        Ii = V1/R1 = (Vi - Vz)/R1

        となります。
        ツェナー・ダイオードに流れる電流Izは
        Iz = Ii - Io = (Vi - Vz)/R1 - Io

        となりますが、このとき、Izにはある程度電流が流れるように
        R1を決定する必要があります。
        (以下の「Iz≒0になったときの動作」 の項目を参照)

        最後に負荷抵抗RLが判っているとき、出力電流Ioは
        Io = Vo/RL = Vz/RL
        となります。

    2. 出力(負荷)電流変動時の動作
        負荷の消費電流(Io)が変動した場合を考えます。
        今、例えば、RLが小さくなり、消費電流Ioが僮oだけ増加したとします。
        Viを一定とすれば、Voはツェナー・ダイオードにより一定に保たれているので、
        V1(=Vi-Vo)は一定となります。このためIi(=V1/R1)も一定となることから、
        結局、Iz(=Ii-Io)が減少します。
        すなわち、負荷電流の増加分にあたる僮oがそのままIzの減少となります。
        負荷電流が減少した場合は、もちろん逆にIzの増加となります。(下記のグラフ参照)


    3. 入力電圧変動時の動作
        入力電圧(Vi)が変動した場合を考えます。
        今、例えば、入力電圧が変動し、Viが儼iだけ増加したとします。
        Voはツェナー・ダイオードにより一定に保たれているのでV1が
        儼iだけ増加します。すなわちViの変化分を儼iとすれば
        儼1 = 儼i
        です。このため抵抗R1の電流Iiが増加します。
        その電流増加分僮iは
        僮i = 儼1/R1
         = 儼i/R1
        となりなます。
        一方、Voが一定であることからIoは一定です。
        このため、増加電流僮iはツェナーダイオードの電流Izの 増加となります。


    4. Iz≒0になったときの動作
        負荷電流Ioの増加が大きいか、または入力電圧Viの減少が大きいと、
        ツェナー・ダイオードの電流Izが0に近くなる場合が考えられます。


        Izが0に近くなると、ツェナーダイオードに流れる電流が急激に減少して
        ツェナーダイオード両端の電圧がツェナー電圧Vzより小さくなります。
        このため、出力電圧Voは徐々に低下していきます。


        このため、出力電圧の変動幅を小さくするためには、ツェナーダイオードに
        流れる電流Izがあまり小さくならないように回路設計する必要があります。

    5. ツェナー・ダイオードの消費電力
      前項とは逆に、負荷電流Ioの減少が大きいか、または入力電圧Viの増加が
      大きいと、ツェナー・ダイオードの電流Izが増大し、消費電力Pが増加します。
      この場合でもツェナー・ダイオードの許容消費電力を超えないように回路設計する
      必要があります。この場合注意点として、データシートに記載された許容消費電力
      PDが温度T=25℃で記載されている場合です。

      実際の使用温度の最大値がTmaxである場合、許容消費電力PmaxはPDよりも
      小さくなるので、データシートをよく確認する必要があります。

  4. 参考文献

    1. 実用電源回路設計ハンドブック(2002 第21版)、戸川治朗著、CQ出版社
    2. トランジスタ回路の実用設計(2005 初版)、渡辺明禎著、CQ出版社
    3. 電源回路の「しくみ」と「基本」(2012 初版 第1刷)、渡辺昭二著、技術評論社
    4. 実用電子回路設計ガイド(2002 第16版)、見城尚志・高橋久共著、総合電子出版社


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