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シリコン・ショットキバリア・ダイオード(SSD)の静特性の測定(直流電位差計による)


本ページ作成。(2020/01/29)
  1. 実験の目的

    シリコン・ショットキバリア・ダイオード(SSD)の順方向電圧-電流特性を測定し、
    PN接合タイプのダイオードより順方向電圧が小さいことを確認する。

  2. 実験課題

    シリコン・ショットキバリア・ダイオード(SSD)に順方向電圧をかけ、
    流れる電流と電圧を測定する。そして小信号用ダイオードの静特性の実験で
    測定した、PN接合タイプのダイオードの特性グラフと比較検討する。

    1. シリコン・ショットキバリア・ダイオード(SSD):BAT43

  3. シリコン・ショットキバリア・ダイオード(SSD)の静特性

    シリコン・ショットキバリア・ダイオード(SSD)はPN接合タイプのダイオード
    とは異なり、金属-半導体接合により整流作用を実現しています。
    PN接合タイプのダイオードと比較したときの特徴としては

    1. 順方向電圧が小さい。
    2. スイッチング特性がすぐれている。
    3. 逆方向電圧をかけたときの漏れ電流が大きい。
    4. 逆方向電圧に対する、耐電圧が小さい。

    などがあげられます。


    ダイオードの特性をグラフで表すと下記のようになります。


    このグラフを数式で表現すると下記となります。(PN接合と同じ式です)
    ID = Io * [ exp {q/(kT) * VD } - 1 ]

    常温においてはexp {q/(kT) * VD } >> 1
    なので、
    ID = Io * exp {q/(kT) * VD }

    と近似出来ますが、この式は指数関数です。両辺の対数をとると、
    log(ID) = log[Io * exp {q/(kT) * VD }]
        = log(Io) + log[exp {q/(kT) * VD }]
        = I' + q/(kT) * VD

    この式はI'は定数なので VDに関する一次式です。
    よって、直線となります。

  4. 実験回路

    1. 実験回路全体


    2. 直流電位差計詳細


  5. 実験方法

  6. 実験機材

    1. ダイオード:BAT43


    2. ケルビンバーレーポテンショメーター
    3. 標準電圧発生器
    4. アナログ直流電流計(50μA)
    5. 可変抵抗器(5kΩB)
    6. 可変抵抗器(2kΩB)
    7. 固定抵抗器(150Ω)
    8. アナログ・テスター
    9. 乾電池(12V, 3V)

  7. 実験結果

    1. 測定データ


    2. 1項データのグラフ
      電流をおよそ2mA以上流すと、ダイオード両端の電圧は0.3〜0.4Vで
      ほぼ一定となりました。


    3. 測定データ(縦軸:IDの対数を取ったもの)


    4. 3項データのグラフ
      電流IDの対数をとってグラフを描くと、ほぼ直線となりました。
      赤線は直線です。


  8. 考察

    ダイオードの特性は指数関数となることが確認できました。
    従って、電流がある程度大きい(1mA以上)ときは両端の電圧は0.3〜0.4Vにて
    あまり変化がなくなりますが、電流が小さくなると0.3より低くなり
    判りました。また、順方向電流が1mA以上では、電圧が接合型ダイオードでは
    0.7〜0.8VであることからSSDの方が小さいことが判りました。
    下記のグラフは比較のためのPN接合ダイオードのグラフです。



  9. 今後の課題

    1. 逆方向漏れ電流の確認
    2. スイッチング特性の確認

  10. 参考文献

    1. 高校化学からはじめる半導体(第1版第1刷 2011)P160-161、市村正也著、オーム社
    2. 高校数学でわかる半導体の原理(第1刷 2007)P148-151、竹内淳著、講談社ブルーバックス

  11. 関連項目

    1. 直流電位差計の原理
    2. ケルビンバーレーポテンショメーター
    3. 標準電圧発生器
    4. AV法



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