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アナログ直流電圧計


写真掲載。(2006/05/21)
仕様、回路図掲載。(2006/10/13)
内部配線掲載。(2006/10/17)
回路図訂正。回路構成記述(2012/06/20)
概要記載。仕様、回路構成、設計、部品、製作を書き換え(2012/11/05)
写真を更新(2013/11/30)

  1. 概要

    電子回路を使用しない測定器として、パネルメータの電流計を使用した
    直流電圧計を製作しました。
    直流電流計自体は実用的なものが製作困難なので購入しました。(^^;
    分流器による測定範囲の拡大も抵抗器が半端な値となり、
    面倒なため止めました。(^_^;
    結局、自作の容易な直流電圧計 のみ製作することにしました。
    また倍率器により、 最大DC 250Vまで測定出来る仕様としました。

  2. 仕様

    1. 電流端子 (内部抵抗:2.068kΩ)
      • 前側: 50μA
    2. 電圧端子 (内部抵抗:20kΩ/V)
      • 前側: 0.5V、1V、2.5V、5V、10V、25V
      • 後側: 50V、100V、250V
    3. フレーム・グランド(FG)端子 (後側)

  3. 外観

    1. 正面



    2. 裏面


  4. 回路図


  5. 回路構成

    1. 直流電流計
      本器では内蔵している 可動コイル型直流電流計 の両端の端子をパネル前面に
      引き出すことにより電流計を単独で使用することが出来ます。
      分流器は備えていないため、測定レンジは電流計の最大値そのものと
      なりますので、50μAです。

    2. 直流電圧計
      直流電圧計の回路構成は、 可動コイル型直流電圧計 の原理そのままであり、
      直流電流計に抵抗器Rを直列に接続することで
      オームの法則(V=IR)の関係式から電圧を読み取ります。
      最高レンジは、将来、真空管のプレート電圧を測定することを想定して
      250Vとしました。

    3. 倍率器
      直流電圧の測定範囲を拡大するための 倍率器 の回路構成も、
      倍率器の原理そのままです。
      最小レンジは電流計の内部抵抗で決まってしまうため、
      0.5Vとしました。これに順次、倍率器を接続することにより
      測定電圧の範囲を広げています。
      倍率器の切換えはロータリー・スイッチでもよかったのですが
      中学校の理科室にあった電流計(!)をイメージして、レンジ毎に
      ターミナルを設ける方式としました。(^_^;

  6. 設計

    1. 電流計の内部抵抗測定
      電流計の内部抵抗:Raはテスターで測定しました。
      結果は、2.068kΩとなりました。
      この電流計は、フルスケール50μAですから、両端の電圧は、
      V = IRa = 50μA*2.068kΩ = 0.1034[V]
      となります。すなわち、この電流計はフルスケール0.1034[V]の
      電圧計として使用できること意味し、また、同時に0.1034[V]より
      小さい電圧レンジは実現出来ないことを意味します。

      以上の考察より、電圧計の最小レンジを0.5[V]と決めました。

    2. 倍率器の定数決定
      • 0.5[V]レンジ
        最小レンジを0.5[V]と決めましたので、電流計のフルスケールの電流
        50[μA]で割ると、必要な直列抵抗Rの値が求まります。
        R = V/I = 0.5[V]/50[μA] = 10[kΩ]
        実際に外付けする抵抗器の値Rm1は、この値から電流計の内部抵抗を引いて、
        Rm1 = R - Ra = 10[kΩ] - 2.068[kΩ] = 7.932[kΩ]
        とゆうことになります。
        実際には、7.932kΩとゆう半端な抵抗は手に入らないので、誤差1%の抵抗で
        E-24系列 から選択することにしたので、7.5kΩと300Ωの直列とすることにしました。
        合成抵抗は、7.8kΩですので、あと、100Ωを更に直列接続すると、
        ベストですが、今回はサボりました。100Ωは1%相当の誤差に相当しますので、
        手を抜かない方が良かったとは思いますが・・・。

      • 倍率器
        電圧レンジは、1.0V、2.5V、5.0V、10V、25V、50V、100V、250Vとしましたので、
        順次必要な抵抗値を計算しますと、
        レンジ必要な抵抗値(R)1レンジ下の電圧計の内部抵抗(Rv) 倍率器の値(Rm=R-Rv)
        1.0V1[V]/50[μA]=20[kΩ]10 [kΩ]10 [kΩ]
        2.5V2.5[V]/50[μA]=50[kΩ]20 [kΩ]30 [kΩ]
        5.0V5[V]/50[μA]=100[kΩ]50 [kΩ]50 [kΩ]
        10V10[V]/50[μA]=200[kΩ]100 [kΩ]100 [kΩ]
        25V25[V]/50[μA]=500[kΩ]200 [kΩ]300 [kΩ]
        50V50[V]/50[μA]=1[MΩ]500 [kΩ]500 [kΩ]
        100V100[V]/50[μA]=2[MΩ]1 [MΩ]1 [MΩ]
        250V250[V]/50[μA]=5[MΩ]2 [MΩ]3 [MΩ]
        となります。
        50[kΩ]の抵抗器は手に入らないので、47[kΩ]と3[kΩ]を直列にします。
        500[kΩ]の抵抗器は手に入らないので、470[kΩ]と30[kΩ]を直列にします。
        3[MΩ]の抵抗器は手に入らないので、1[MΩ]を3本直列にします。

  7. 使用部品

    1. 可動コイル型直流電流計
      秋月電子で販売しているパネル・メータの電流計から、最も測定電流の小さい
      50[μA]を選択しました。
      ここのメータは安価なのですが、針が途中でひっかかるハズレものがあるのが
      難点です。

    2. 金属皮膜抵抗
      一応(?)測定器なので、誤差が小さく(1%)温度係数も小さい金属皮膜抵抗器
      を使用しました。入手も容易です。

    3. ジョンソン・ターミナル
      レンジの数の割には、パネルの面積が足りないため、使用頻度の少ない
      と思われる50[V]レンジ以上は裏面に配置することにしました。
      色は当然、マイナス側が黒、プラス側が赤ですが、電流計のレンジのみ
      白を使用しました。また、必要かどうか解らない(?)フレーム・グランド(FG)
      は青にしました。
       

    4. ケース
      ケースは安価なのでお気に入りの、タカチ電機工業とゆうメーカの
      CU型シリーズからCU-13Nを選択しました。
      黒く塗装されている上蓋は鉄製なのでアルミ用の工具では加工困難です。
      また、大きいサイズでは、鉄なので見た目の割に重くなるのが欠点です。
      秋葉原ラジオ・デパート2階のエスエス無線に行くと、
      ほどんどのサイズがサンプルで置いてあるので、実際に見て、触って(?)、
      選ぶことが出来ます。
      (私はいつも、そうやって店頭で、どれにするか10分位悩んでから買います) (^_^;

  8. 製作

    1. 穴あけ
      製作にあたって、最もたいへんなのが電流計の穴の加工です。
      直径45mmの丸穴を開けるのはなかなか体力が入ります。
      私は、ハンド・ニブラーとゆう工具を使用して、少し小さめの概略の丸穴を
      開けてから、最後、丸やすりで滑らかな円に仕上げました。
      「電子工作は体力だ!」とゆうことを肝に銘じましょう。(???)

    2. 正面パネル裏面
      倍率器の抵抗は全て、端子間にチューブラ配線です。



    3. メータねじ止め部のFG配線
      ねじに卵ラグを共締めし、FG端子の配線を半田付けしました。



  9. 動作確認

      動作確認は工事中です。

  10. 関連項目

    1. 直流電流計の原理
    2. 直流電圧計の原理
    3. 倍率器
    4. オームの法則


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