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NANDによるRS−FF
本ページ作成。(2026/09/09)
回路の機能
双安定マルチバイブレータと
同様に1bitの情報を記憶出来る回路です。
NANDで実現したRS-フリップ・フロップ(FF)は、
CRによる微分回路を
必要としないので、はるかに使いやすくなります。
また、動作も論理回路で説明出来るので、理解しやすくなります。
なお、フリップ・フロップ(FF)と似た用語にラッチという言葉がありますが、
フリップ・フロップとラッチの使い分けが人により異なるようなので
本ホームページでは原則フリップ・フロップで統一します。
ただし、スルーラッチと言う用語だけは便利なので使うことにします。
(別ページで扱います)
回路図
(1)NANDによるRS-フリップ・フロップ(FF)

(2)リセット(Rp)優先RS-FF

(3)セット(Sp)優先RS-FF

回路の動作
回路図において、信号名の最後にnがついた信号は"L"でアクティブ(有効)で
あることを示し、負論理の信号と言います。
また、信号Qnは信号Qpを反転したものでもあります。
なお、信号名の最後にnを付けて負論理を表すやり方は、
必ずしも一般的ではありません。
- NANDによるRS-フリップ・フロップ(FF)
(1)Rn="L"、Sn="H"のとき
Rn="L"なのでQpに関係なく、Qnは"H"となります。
そうするとSn="H"なので、Qp="L"となります。
Qpが"L"になるのでRnをリセット端子と呼びます。

(2)Rn="H"、Sn="L"のとき
Sn="L"なのでQnに関係なく、Qpは"H"となります。
そうするとRn="H"なので、Qn="L"となります。
Qpが"H"になるのでSnをセット端子と呼びます。

(3)Rn="H"、Sn="H"のとき
安定状態がふたつあり、Rn="H"、Sn="H"の間、状態が保持されます。
もし、Qp="H"ならRn="H"なのでQn="L"となりQp="H"となるので安定します。
また、Qp="L"ならQn="H"となりSn="H"なのでQp="L"となるので安定します。
実際には(1)または(2)の状態でQpとQnを"H"または"L"に設定した後、
Rn="H"、Sn="H"として状態を保持することになります。

(4)Rn="L"、Sn="L"のとき
ふたつのNAND素子の入力の一方が"L"なのでQpとQnとも"H"となります。
QpとQnの論理値が同じ"H"になるのは不自然なので、この状態は使わない
ことが多いですが、別に素子が壊れるわけではないので、それを承知で
この状態を使用するならとくに問題はありません。
また、この状態から同時にRn="H"、Sn="H"(保持)にしても、RnとSnの
わずかなタイミングの違いで(1)または(2)の状態を経由するので
(3)の保持状態でQpとQnが同時に"H"になることはありません。

以上の動作を真理値表で表すと下記となります。
| Rn | Sn | Qp |
Qn |
| H | H | 保持 | 保持 |
| L | H | L | H |
| H | L | H | L |
| L | L | H | H |
動作波形の例

- リセット(Rp)優先RS-FF
リセット端子(Rp)とセット端子(Sp)は正論理("H"でアクティブ)にしてあります。
Rp端子が接続されるNANDはインバータと同じ働きをしています。
(DTLによるNAND回路の詳細に記載した
「他の機能の論理素子の実現例」を参照)
(1)Rp="H"、Sp="L"のとき
Rp="Hなのでrn="L"となります。そうするとSpに関係なく、snは"H"となります。
sn="H"、rn="L"なのでQp="L"、Qn="H"となります。
つまりリセット動作です。

(snのsは小文字なので大文字のSpの反転ではありません。
rnは結果的にRpの反転ですが。念のため。)
(2)Rp="L"、Sp="H"のとき
Rp="Lなのでrn="H"となります。そうするとSp="H"なので、snは"L"となります。
sn="L"、rn="H"なのでQp="H"、Qn="L"となります。
つまりセット動作です。

(3)Rp="L"、Sp="L"のとき
Sp="L"なのでsn="H"、Rp="L"なのでrn="H"となります。
sn="H"、rn="H"なので保持動作となります。

(4)Rp="H"、Sp="H"のとき
Rp="Hなのでrn="L"となります。そうするとSpに関係なく、snは"H"となります。
sn="H"、rn="L"なのでQp="L"、Qn="H"となります。
つまりリセット動作となります。
このようにリセット(Rp)優先RS-FFではRp端子とSp端子が同時に
アクティブになったとき、リセット動作となります。

以上の動作を真理値表で表すと下記となります。
| Rp | Sp | Qp |
Q* |
| L | L | 保持 | 保持 |
| H | L | L | H |
| L | H | H | L |
| H |
H |
L |
H |
動作波形の例

- セット(Sp)優先RS-FF
リセット(Rp)優先RS-FFと同様に考えると容易に理解できるので省略します。
(あえて書くと、くどくなると思うので) (^^;

真理値表だけ書いておきます。
| R | S | Q |
Q* |
| L | L | 保持 | 保持 |
| H | L | L | H |
| L | H | H | L |
| H |
H |
H |
L |
電源投入時の出力の状態
RS-FFに電源を入れたときのQの状態は"H"になるか"L"になるかは不定となります。
不定というのは"H"か"L"かどちらかにはなるけれど、どちらになるかは判らない、
という意味です。なので、通常、装置内のFFは電源投入後、まず最初に
リセット状態またはセット状態にして値を確定してから本来の動作に入ります。
今後の課題
- NANDで実現したRS-FFついて動作確認を行う
トランジスタ・パルス回路の実験−
DTL-NANDによるRS-FFの実験に記載予定。
参考文献
- 解析ディジタル回路(昭和56年(1981) 第11版) 第4章 ラッチとフリップフロップ、
岡村廸夫著、 CQ出版社
関連項目
- トランジスタ・パルス回路の解析−
双安定マルチバイブレータ
- トランジスタ・パルス回路の解析−
DTLによるNAND
NANDの実現方法はバイポーラ・トランジスタである必要はなく
FETやCMOSでも構わないので、NANDによるFFの実現は論理回路における
一般的な理論になります。
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