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トランジスタ・インバータの特性測定実験


本ページ作成。(2026/07/06)
  1. 実験の目的

  2. バイポーラ・トランジスタを使った簡単なインバータ回路について設計と実験を行います。
    回路の設計にあたってはワースト・ケース(最悪値)を意識しながら、入力の閾値を
    仕様通りの範囲に収めることを目指します。

  3. 実験課題

  4. 下記の項目について測定と観測を行います。
    1. 入出力静特性測定
    2. レベルシフト・ダイオードの効果を入出力静特性で確かめます。
    3. 矩形波入力時の出力波形観測
    4. RB2があるときとないときの波形を比較し
      RB2の効果を確かめます。

  5. 実験回路


  6. 実験回路の動作


  7. 実験回路の設計

    1. 信号の電圧レベル
    2. 本来であれば、最初に論理素子間の電圧レベルの仕様を決めます。
      出来ればTTL(Transistor Transistor Logic)と呼ばれるディジタルICの
      規格に準じたかったのですが、回路方式の違いからか、RB1とRB2の計算が
      なかなかうまくいかなかったので、計算結果に合うように電圧レベルを
      決めたというのが本音です(-_-;
      結果的には、今回は下図のように決めたのですが、
      H側のノイズ・マージンが0.3[V]と小さくなってしまいました(T_T;


    3. 設計条件

    4. Dの選定
    5. 汎用品の1S1588を使います。

    6. Rcの選定
    7. 次の式で範囲が決まります。
      VCC(max) / [{IC(max) - IOL(max)}*(1-α)] ≦ Rc ≦ (VCC(min) - VOH(min)) / {IOH(max)*(1+α)}

      仕様で与えられた値を代入すると
      5.25[V] / [{10[mA] - 3[mA]}*(1-0.05)] ≦ Rc ≦ (4.75[V] - 3.8[V]) / {0.9[mA]*(1+0.05)}
      ∴ 789[Ω] ≦ Rc ≦ 1005[Ω]

      E6系列から選定して RC = 1[kΩ]としました。
      もしRcがこの式の範囲に収まらないならば、要求仕様を見直すことに
      なるでしょう。

    8. RB1、RB2の選定
    9. 次のふたつの式で範囲が決まります。
      IC(max) / hFE(min) ≦ (VT(max) - VD(max) - VBON) / {(1+α) * RB1} - VBON / {(1-α) * RB2}

      VBOFF ≧ {VT(min) - VD(min)} * (1+α) * RB2 / {(1-α) * RB1 + (1+α) * RB2}

      仕様で与えられた値を代入すると
      10[mA] / 120 ≦ (3.5[V] - 0.9[V] - 0.9[V]) / (1.05 * RB1) - 0.9[V] / (0.95 * RB2)

      0.4[V] ≧ (1[V] - 0.4[V]) * 1.05 * RB2 / (0.95 * RB1 + 1.05 * RB2)

      計算すると
      0.083[mA] ≦ 1.63 / RB1 - 0.95 / RB2

      0.4[V] ≧ 0.63 * RB2 / (0.95 * RB1 + 1.05 * RB2)
      ∴ RB2 ≦ 1.81 * RB1

      RB2 = 1.81 * RB1

      として、第1の不等式に代入して計算すると
      RB1 ≦ 13.373[kΩ]
      RB2 ≦ 24,205[kΩ]

      E6系列から選定しますが RB1は10[kΩ]と2.2[kΩ]の直列(=12.2[kΩ])、
      RB2は22[kΩ]としました。
      念のためこれらの値をふたつの不等式に代入してみると、不等式が
      成り立っていることが確認出来ます。

    10. 入力電流の計算
    11. (1)LレベルのときはダイオードがOFFになるので電流はほとんど流れません。 (IIL(max)≒0)

      (2)Hレベルのときの最大電流(IIH(max))ですが、計算するためには
      トランジスタがONになる最低電圧が必要です。
      この値は低くてもせいぜい0.5[V]〜0.6[V]ですが、
      マージンをみてVBOFFと同じ0.4[V]で計算しました。
      また、Hレベル時の信号電圧の最大値(VIH(max))はVccとしました。


      IIH(max) = {VIH(max) - VD(min) - VBOFF} / RB1(min)
        = (5.25 - 0.4 - 0.4) / (0.95 * 12.2[kΩ) ≒ 0.38[mA]

      この結果、ファンアウト(1個の論理素子が何個の論理素子をドライブできるか)は
      ファンアウト = IOH(max) / IIH(max) = 0.9[mA] / 0.38[mA] ≒ 2.4[個]

      なので、ファンアウトは2個ということになります。

  8. 実験方法

    1. 入出力静特性測定
    2. (1)下図の回路を組み立てます。


      (2)ディジタル・テスターでViを測定しながらVR 2kΩを調整し電圧Viを設定します。
      (3)ディジタル・テスターでVoを測定します。

      (4) (2)〜(3)を繰返してにViとVoの特性データを採取します。

    3. 波形測定
    4. (1)下図の回路を組み立てます。


      (2)2現象オシロスコープでViとVoの波形を観測します。
      (3)矩形波発振器の出力レベルは0-5Vの電圧レベルとし、オシロの波形を見ながら
       周波数を適当に設定します。
      (4)RB2を取り外し、付けているときとの波形の違いを観察します。

  9. 実験機材

    1. 電子ブロック
    2. 簡易安定化電源 (5[V]端子)
    3. 可変抵抗器(2kΩB)
    4. ディジタル・テスター
    5. オシロスコープ
    6. 矩形波発振器

  10. 実験結果

    1. 入出力静特性の測定
    2. (1)今回の回路の入出力特性(室温:25℃)


      (2)トランジスタのスイッチ動作の基本 で測定した
        レベルシフト・ダイオードがない場合の入出力特性(参考)

      (注)グラフの立上がりがゆがんでいるのは、測定に使用した
        アナログ電圧計の精度の問題と思われます。


    3. 波形測定
    4. 発振器の周波数は約77kHzに設定しました。

      (1)RB2あり

      上:VI 2V/div、2μs/div
      下:Vo 2V/div、2μs/div

      (2)RB2なし

      上:VI 2V/div、2μs/div
      下:Vo 2V/div、2μs/div

  11. 考察

    1. 入出力静特性の測定

    2. 波形測定

    3. 【追加実験】スピードアップ・コンデンサの追加

  12. 今後の課題

    1. トランジスタNAND回路の実験への応用

  13. 参考文献

    1. パルス回路の設計(昭和56年(1981) 第20版(改訂10版)) P-132〜137 インバータ、 猪飼國夫著、 CQ出版社
    2. 解析ディジタル回路(昭和56年(1981) 第11版)、岡村迪夫著、CQ出版社

  14. 関連項目

    1. トランジスタ・パルス回路の解析− トランジスタのスイッチ動作の基本
    2. トランジスタ・パルス回路の解析− トランジスタ・インバータ
    3. トランジスタ・パルス回路の実験− トランジスタ・スイッチとLEDの点灯/消灯制御実験
    4. トランジスタ・パルス回路の実験− スピードアップ・コンデンサの実験
    5. 簡易安定化電源 (5[V]端子)
    6. 可変抵抗器(2kΩB)
    7. 矩形波発振器


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