JH8CHUのホームページ
>電源回路の実験>トランジスタによる帰還増幅型定電圧電源回路の実験
トランジスタによる帰還増幅型定電圧電源回路の実験
工事中(2014/05/01)
実験の目的
帰還増幅型定電圧電源の基本回路の動作原理を理解し、回路各部の電流と電圧について
解析した後、実際に回路を組み立て動作を確認する。
可能なら、負荷変動に対する出力電圧の安定度について定量的な考察をする。
実験課題
下記の項目について測定を行い、回路設計時に検討した電圧変化率と
測定結果から得た電圧変化率を比較検討する。
- 負荷変動に対する出力電圧の変化率
- 入力電圧の変動に対する出力電圧の変化率
- (過電流に対する保護機能の確認)
実験回路
回路の動作
Tr2はドロッパーとも呼ばれ、出力電圧Voが一定になるように入力電圧Viに対して
電圧降下を発生させます。基準電圧は(A)点となりますが、この回路ではD1、D2、Tr1の
ベース〜エミッタ間の電圧VBE2によりVa≒0.6×3≒1.8[V]となります。出力電圧VoはR3とR4とで
分圧された(A)点に接続されているため、結局、Vo=(R3 + R4)/R3 * Va
となる出力電圧で安定化されます。

出力電流Ioが変化した場合の動作を考えます。
もし仮に出力電流Ioが変動し増加したとしますと、
Ioの増加によりTr2での電圧降下が増大しVoが低下します。
R3とR4とで分圧された(A)点の電圧が低下します。
Tr2のVBEが減少することによりコレクタ電流Ic2が減少します。
R1の電流が減少するため電圧降下が小さくなり、(B)点の電圧が上昇します。
出力電圧Voは(B)点の電圧からTr1のベース〜エミッタ間電圧VBE1だけ低い電圧と
なりますからVo=Vb-0.6となるため、Vbの上昇によりVoが上昇します。
この結果、最初に出力電流Ioが増加したことによるVoの低下が打ち消され
Voは一定に保たれます。
抵抗R2は出力電流の変化によりTr2のエミッタ電流が変化したとき、
生成するためのダイオードD1、D2に流れる電流が大きく変化して基準電圧が
大きく変化しないように予め一定の電流を流しておくための抵抗です。
実験回路の設計
- 設計条件
- 出力電圧:5[V]
- 負荷電流:0〜20[mA]
- 入力電圧:6〜12[V]
通常(?)、安定化電源と言えば、この程度の回路規模となります。
今回の実験では、回路の動作確認を目的としていることと、
電子ブロックを使用したバラック(?)での実験とすることから
大電流を流すことは想定せず、出力電流は最大で20[mA]としました。
この電流であればTr2もパワー・トランジスタではなく小信号用のもので
間に合います。
- トランジスタ:Tr1の選定
最初に、トランジスタTr1のエミッタ電流について検討します。
出力電流Ioの最大値は20m[A]としましたが、
Tr1のエミッタにはR2に流れる電流も流れます。
R2に流れる電流は通常Ioよりはるかに小さいため無視してもよいのですが、
今回の回路ではIoが小さいため無視出来ません。(^_^;
D1、D2に流す電流を5[mA]とすればTr2のエミッタ電流は25[mA]となります。
(ちなみに、Tr1にはR3,R4に流れる電流も流れますが、このあと検討するように
R2の電流より1桁小さい値なので、ここでは無視しました。)

Viの最大値は12[V]ですので、トランジスタTr1の最大コレクタ損失Pt1は
Pt1 = (Vi(max) - Vo) * IE(max)
= (12 - 5) * 0.025
= 0.175[W]
となります。小信号増幅用の汎用トランジスタ2SC1815を使用することを検討し、
主な仕様を比較すると下記のようになり、問題ありません。
項目 | 記号 | 単位 | 部品仕様(25℃) | 設計値 | 判定 | 備考 |
コレクタ・エミッタ間電圧 | VCEO | V | 50 | 7 | OK | 備考 |
コレクタ電流 | IC | mA | 150 | 25 | OK | 備考 |
コレクタ損失 | PC | mW | 400 | 175 | OK | 備考 |
- 抵抗:R1の選定
Ic1を25[mA]としましたので、Tr1のhFEを約100とすれば
IB1は25[mA]/100=250[μA]となります。(Ic≒IEと考えた)
入力電圧Viが最も低いときでもTr1のベースに250[μA]の電流が流れるように
抵抗R1を決定する必要があります。
Vb = Vo + VBE1 = Vo + 0.6 = 5 + 0.6 = 5.6[V]
なので、
R1 = (6 - Vb)/250[μA] = (6 - 5.6)/250[μA] = 0.4/250[μA] = 1.6[kΩ]
となります。E-12系列の抵抗から選定するとしてR1=1.5[kΩ]とします。
必要となる許容損失P1は入力電圧Viが最大のときであるため
P1(max) = (VR1(max))2/R1
= (Vi(max) - 5.6)2/R1
= (12 - 5.6)2 / 1500[Ω]
= 0.0273[W]
となりますので1/8[W]程度のものが使用出来ます。
- トランジスタ:Tr2の選定
トランジスタTr2のコレクタに流れる電流が最大値Ic2(max)となる条件は
入力電圧Viが最大で、負荷電流Ioが無負荷状態のときと考えられます。
このときR1の電流の大部分がTr2のコレクタに流れ込むと考えると
Ic2(max) = {Vi(max) - (Vo + VBE1)}/R1
= {12 - (5 + 0.6)}/1500
= 4.3[mA]
となりますので、2SC1815で充分です。

- 抵抗:R2の選定
R2に流れる電流を5[mA]としたので、D1、D2の順方向電圧VDを0.6[V]とすると
R2 = (Vo - 2 * VD)/5[mA]
= (5 - 2 * 0.6)/0.005
= 760[Ω]
E-12系列の抵抗から選びますが手持ちの抵抗値との関連もありR2=680[Ω]とします。
消費電力P2は
P2 = (VR2(max))2/R2
= (Vo - 2 * VD)2/R1
= (5 - 1.2)2 / 680[Ω]
= 0.0212[W]
となりますので、これも1/8[W]程度のものが使用出来ます。
- 抵抗:R3,R4の選定
Tr2に流れるコレクタ電流は最大で3.4[mA]でした。
Tr2のhFEを100とすれば、ベース電流IB2は
IB2 = 0.0034/100 = 34[μA]
となります。R3,R4に流す電流はIB2の10倍以上としたいため
R3 + R4 = Vo/(34[μA] * 10) = 5/(34[μA] * 10) = 14.7[kΩ]
となります。R3+R4の絶対値は重要ではなく、出力電圧Voを決定するために
その比が重要です。一方、出力電圧Voを5[V]に設定するためには
Vref = 2 * VD + VBE2 = Vo * R4 /(R3 + R4)
としなければならないので、R3=33[kΩ]、R4=22[kΩ]としました。
基準電圧が1.8[V]ならVo=4.5[V]で目標仕様より若干低くなりますが
基準電圧が2.0[V]ならVo=5.0[V]位になりそうです。

- ダイオードD1,D2の選定
R2の電流が5[mA]、Tr2の最大エミッタ電流(≒最大コレクタ電流:Ic2(max))が4.3[mA]
としたので、ダイオード:D1,D2に流れる電流は最大で9.3[mA]です。
汎用品で間に合います。ので、手持ち部品の1S1588を使用します。
実験方法
- 電子ブロックの配置
- 負荷抵抗
(1)1 [kΩ] (Io=5.0[mA]、PL=25[mW])
(2)470[Ω] (Io=10.6[mA]、PL=53[mW])
(3)330[Ω] (Io=15.2[mA]、PL=76[mW])
(4)220[Ω] (Io=22.7[mA]、PL=114[mW])
(5)100[Ω] (Io=50.0[mA]、PL=250[mW])
- 乾電池
実験機材
- 電子ブロック
トランジスタ(2SC1815)、抵抗器:
コンデンサ:
- 固定抵抗器
- アナログ・テスター
- ディジタル・テスター
- 乾電池
-
実験結果
測定結果・考察
今後の課題
- 電源回路の出力抵抗
- 負帰還回路の安定度
- 許容リップル電圧
- 温度変化に対する安定度
参考文献
関連項目
- 固定バイアス回路
- 電圧帰還バイアス回路
-
-
-
JH8CHUのホームページ
>電源回路の実験>トランジスタによる帰還増幅型定電圧電源回路の実験
Copyright (C)2012,2014 Masahiro.Matsuda(JH8CHU), all rights reserved.