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トランジスタによる帰還増幅型定電圧電源回路の実験


本ページ作成。(2026/02/24)
  1. 実験の目的

  2. 帰還増幅型定電圧電源の基本回路を設計し、実際に回路を組み立て動作を確認します。
    この際、負荷電流と入力電圧を変化させ、出力電圧の安定度を確認します。

  3. 実験課題

  4. 下記の項目について測定を行います。

    1. 負荷変動に対する出力電圧の変化
    2. 入力電圧の変動に対する出力電圧の変化

  5. 実験回路

  6. 回路の動作


  7. 実験回路の設計

    1. 設計条件

    2. トランジスタ:Tr1の選定

    3. 抵抗:R1の選定

    4. トランジスタ:Tr2の選定

    5. 抵抗:R2の選定

    6. 抵抗:R3、R4の選定

    7. ダイオードD1、D2の選定

  8. 実験方法

    1. 電子ブロックの配置
    2. 電子ブロックで実験回路を下図のように組み立てます。


    3. 負荷変動試験
    4. 入力電源(Vi)は簡易安定化電源の10[V]端子を使用しました。
      負荷抵抗(RL)を下記のように変更しながら出力電圧(Vo)の値を測定します。
      負荷抵抗
      RL[Ω]
      出力電流
      Io[mA]
      負荷抵抗消費電力
      [mW]
      備考
      ∞(無負荷) 0 0
      1k 5.0 25
      470 10.6 53
      330 15.2 76
      220 22.7 114

    5. 入力変動試験
    6. 簡易安定電源の端子と、電池を下記のように直列接続で組み合わせながら
      入力電圧(Vi)を可変し、Viと出力電圧(Vo)を測定します。
      Vi[V] 簡易安定化電源
      端子[V]
      乾電池個数 備考
      6.5 5 1
      8.0 5 2
      9.5 5 3
      10 10 0
      11.5 10 1
      13 10 2

  9. 実験機材

    1. 電子ブロック
    2. 簡易安定化電源
    3. 負荷抵抗:RL
    4. 乾電池
    5. 単一(1.5V)×3
    6. 電池ホルダー
    7. ディジタル・テスター

  10. 実験結果

    1. 負荷変動試験
    2. 結果のグラフを下図に示します。
      負荷電流(Io)は、出力電圧(Vo)の実測値/負荷抵抗(RL)で計算しました。
      出力電圧(Vo)は設計値:5.66[V]に対して、実測値はやや高くなりました。
      意外なことに負荷電流を増やしていくと、わずかに(約140[mV])出力電圧(Vo)が
      上昇しました。

      入力電圧(Vi) = 9.6[V](実測)

    3. 入力変動試験
    4. 入力電圧(Vi)を上げていくと出力電圧(Vo)もわずかに上昇しました。


      グラフの直線部分で計算すると
      ΔVi = 12.5[V] - 9.5[V] = 3.0[V]
      ΔVo = 5.9[V] - 5.8[V] = 0.1[V]
      なので
      ΔVo / ΔVi = 0.1 / 3.0 ≒ 3.3[%]

      今回実験した回路では、この程度の変動はやむを得ないと思われます。

  11. 考察

    1. 負荷変動試験
    2. 出力電圧(Vo)は、設計値に近い値となりました。
      R3とR4を可変抵抗器などで微調整すればさらに精密な電圧設定が
      可能となることが期待されます。
      負荷電流の変動に対しては出力電圧は概ね安定化していることが確認出来ました。
      負荷電流(Io)を増やしていくと出力電圧(Vo)がわずかに上昇するメカニズムについては
      今回よく判りませんでした。(-_-?

    3. 入力変動試験
    4. 入力電圧(Vi)の変動に対し、出力電圧(Vo)を安定にするには、トランジスタTr1
      コレクタ〜エミッタ間電圧が3〜4[V]以上確保する必要があることが判りました。
      またこのときでも、入力電圧(Vi)の変動に対し、出力電圧(Vo)は3〜4[%]変動することが
      判りました。
      入力電圧(Vi)が増加すると基準電圧を決めるダイオードの電流が増えるので、
      基準電圧が上昇するのが大きな要因であると推測します。

  12. 今後の課題

    1. 負荷変動と入力変動に対する出力変動幅の定量化
    2. 出力の変動幅については、今回定量的な評価をしませんでした。

    3. 更なる安定化の方式検討
    4. 今回の回路は、特に入力電圧(Vi)の変動に対して基準電圧が影響を受けやすいことが
      判りました。これを対策すると更に安定度が増すと思われます。
      (例えば、ダイオードの電流を定電流化するとか)

    5. 負帰還理論の整備
    6. 帰還増幅型定電圧電源回路は負帰還増幅回路の一種ですが、負帰還の一般論との
      関係までは今回調べませんでした。

  13. 参考文献

    1. 2SC1815データシート
    2. 実用電子回路設計ガイド(2002 第16版) 8.7 期間増幅形低電圧回路、 見城尚志・高橋久共著、総合電子出版社
    3. トランジスタの実用回路入門(2003) 6.6-2電圧安定化回路、富山忠宏、オーム社
  14. 関連項目

    1. 電子回路− トランジスタによる帰還増幅型定電圧電源回路
    2. 簡易安定化電源
    3. 自作電子ブロック
    4. 設計情報−抵抗器−E系列


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