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アナログ直流電流計の校正実験(直流電位差計による)
本ページ作成。(2019/07/20)
実験の目的
アナログ電流計と直流電位差計とで種々の大きさの同一の
電流を測定し、その測定値を比較する。
この際、直流電位差計の指示値が正しいものとして
アナログ電流計の補正率を求める。
実験課題
アナログ電流計として、下記の二種類について校正を行う。
- 可動コイル型直流電流計(50μA)
- テスターの直流電流レンジ:10mA
実験方法
- 可動コイル型直流電流計(50μA)の校正
下図の回路接続を行い、可動コイル型直流電流計(50μA)を校正します。
電流の測定は、アナログ電流計と直列に10kΩの精密抵抗器(誤差0.1%)を接続し
この10kΩの抵抗器の両端の電圧を直流電位差計で測定して、オームの法則から
電流を算出します。
5kΩの可変抵抗器(VR)を最大にしたとき、
電流計に過大な電流が流れないように、
33[kΩ]の固定抵抗器を電流計と直列に接続します。
VR最大時の電流は、電流計の内部抵抗を0とした場合、
3[V]/(33+10)[kΩ] = 69.8μA
となります。

- テスターの直流電流レンジ10mAの校正
下図の回路接続を行い、アナログ・テスターの10mA電流レンジを校正します。
電流の測定は、アナログ電流計と直列に100Ωの精密抵抗器(誤差0.1%)を接続し
この100Ωの抵抗器の両端の電圧を直流電位差計で測定して、オームの法則から
電流を算出します。
5kΩの可変抵抗器(VR)を最小にしたとき、
電流計に過大な電流が流れないように、
100Ωの固定抵抗器をVRと直列に接続します。
VR最小時の電流は、電流計の内部抵抗を0とした場合、
3[V]/(100+100)[Ω] = 15.0mA
となります。

- 直流電位差計詳細

- 測定方法
- 回路図を組立ます。電源はまだ接続しません。
100μAセンターメータは標準電圧発生器に接続します。
- 標準電圧発生器の感度スイッチを"低"に設定します。
- ケルビンバーレーポテンショメーターのロータリスイッチを"4096"に設定します。
- 12V電源を接続し、標準電圧発生器の電源をONにします。
- 100μAセンターメータが0になるように2kΩ可変抵抗器を調整します。
- 標準電圧発生器の感度スイッチを"高"に設定します。
- 100μAセンターメータが0になるように2kΩ可変抵抗器を調整します。
- 標準電圧発生器との接続を外します。
この段階では直流電位差計は精密抵抗器には接続しません。
アナログ電流計に流れる電流が小さいときに平衡のとれていない
直流電位差計を精密抵抗器に接続すると、直流電位差計から
精密抵抗器に電流が流れ込むからです。
(電位差計の平衡をとろうとすると、アナログ電流計の電流が変化します。)
- アナログ電流計に電流を流す3V電源を接続します。
- 5kΩの可変抵抗器を調整して、アナログ電流計の電流を設定します。
- 直流電位差計を精密抵抗器に接続します。
アナログ電流計の電流が変化するかもしれませんが、
5kΩの可変抵抗器の設定はこの段階では変えません。
- ケルビンバーレーポテンショメーターのロータリスイッチを調整して
100μAセンターメータが0になるようします。
- 感度スイッチを"低"から"高"に切り換え、再度100μAセンターメータが
0になるようします。
- この時点で、アナログ電流計の電流が測定値からずれていれば5kΩの
可変抵抗器を調整します。
- 必要ならセンタメータの0と、アナログ電流計の電流を交互に調整します。
- 調整が完了したらケルビンバーレーポテンショメーターのロータリスイッチの
値を読み取ります。今回は、0.01〜0.0001の設定が精密抵抗器両端の電圧
となります。この電圧を精密抵抗器の抵抗値で割ると、アナログ電流計の
電流を求められます。
- センタメーターの感度スイッチを"低"に切り換えます。
- 直流電位差計を精密抵抗器から切り離します。
以下、10〜18を繰り返して測定を続けます。
実験機材
- ケルビンバーレーポテンショメーター
- 標準電圧発生器
- 可変抵抗器(5kΩB)
- 可変抵抗器(2kΩB)
- 可動コイル型直流電流計 (アナログ直流電圧計の電流端子を利用)
- アナログ・テスター
- 精密抵抗器:10kΩ、100Ω
- 乾電池(12V, 3V)
- 固定抵抗器(カーボン抵抗器1/4W)
・33kΩ
・100Ω
実験結果
測定結果である、直流電位差計の読みから算出した電流値Idとアナログ電流計の
読みIaから、下記の式で補正率αを求めて、横軸をIaにしてグラフを書きます。
α= ( Id / Ia - 1) × 100
- 可動コイル型直流電流計(50μA)の校正

- テスターの直流電流レンジ10mAの校正

考察
- 可動コイル型直流電流計(50μA)の校正
フルスケール(50μA)のときの補正率が6.8%もありました。
今回使用したパネルメータは2.5級なので、相対誤差は2.5%以内に入ることを
期待しましたが、実際の誤差はもっと大きいようです。
(何故、パネルメータの誤差が期待したより大きいのか私はその辺の
事情を知りませんが、価格とかと関係があるかも知れません。
ただ、私個人はパネルメータの誤差はこの程度だと思っています。)
測定電流が小さいとき(フルスケールに対して大体20%以下)のとき
補正が大きくなっていますが、これは読み取りの誤差がメータの
0付近とフルスケール付近とで同じになるため、相対誤差としては
測定値が小さい程、相対誤差に効いてくるためと思われます。
今回の実験のように補正率を求めれば補正出来そうですが、
通常、そこまではやらないと思うので、そうであれば、
複数のレンジのあるアナログメータで測定を行う場合は
出来るだけメータの針が大きく振れるレンジを用いて測定する
べきであることが判ります。
- テスターの直流電流レンジ10mAの校正
7mA測定時の補正が-3.0%になりました。
テスタは内部に分流器や倍圧器を持っているため、誤差はアナログメータ単体
より大きくるはずですが、補正率3.0%はこのテスタの価格(1200\)が安い割には
良い値だと思います。
また、当然ながらテスタの誤差(補正)はレンジによって異なりますので
補正をかける場合はレンジ毎に補正率を測定する必要があります。
ちなみに私の経験では多少価格の高い(5〜6k\)アナログテスタであっても
レンジによっては誤差がびっくりするくらい大きい場合があるので注意が必要です。
傾向を見るだけなら今回のようにグラフを作成しなくても、フルスケールに
対する誤差を計ってみるだけでもよいと思います。
測定電流が小さいときとき補正率が大きくなっていますが、この傾向は
可動コイル型直流電流計(50μA)のときと同様です。
7mAのときの補正が-3.0%あるので、3%くらいまでの補正を許容範囲とすれば、
やはりフルスケールの20%くらいまでで使用すると誤差が小さくなると
考えられます。
参考文献
入門電気計測(16刷 1980)、西野治著、実教出版
電気工学入門演習 電気計測(3版 1988)、金古喜代治、堤捨男著、学献社
現代電気電子工学の基礎実験(1981)、元岡達編集、オーム社
関連項目
- 可動コイル型直流電流計の原理
- 直流電位差計の原理
- ケルビンバーレーポテンショメーター
- 標準電圧発生器
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