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ソース接地小信号増幅回路(交流負帰還あり)の解析
本ページ作成。(2024/02/25)
回路図

ソース接地小信号増幅回路の等価回路は下図となります。
カップリング・コンデンサ(Ci, Co)に十分大きなものを使用したとすると、
そのインピーダンスが無視出来るので交流的な等価回路では短絡して
考えることが出来ます。また理想的な直流電源のインピーダンスも0です。
FETの等価回路は簡略化等価回路としています。
すなわち内部抵抗(rd)は、rd>>RDが成り立つものとして省略してます。

上記の等価回路から、回路の入力インピーダンス(Zi)を求めます。
Zi = RG
FETの入力インピーダンスは数十MΩ以上あるので、ZiはRGに等しくなります。
ただしこれは低周波の場合で、FETのゲートには静電容量があるので、
高周波の場合は静電容量を考慮する必要があります。
同様に等価回路から、回路の出力インピーダンス(Zo)を求めます。
電流源の内部抵抗は無限大であることに注目すると、
Zo = RD
となります。
この増幅回路の出力にインピーダンスRLの負荷回路を
接続したとすれば等価回路は下図となります。

まず、入力側について考えます。
viはvgsにRsの両端の電圧を加えたものです。
Rsには電流源からの電流(vgs * gm)が流れるので、下記の関係式が成り立ちます。
vi = vgs + (vgs * gm) * Rs = vgs * ( 1 + gm * Rs)
一方出力側では出力電圧voは抵抗RDの両端の電圧であり、
かつ、RDとRLの並列回路に電流源からの電流(vgs * gm)が流れるので、
vo = −(vgs * gm) * (RD//RL)
となります。記号の // は並列接続を示します。ので、
RD // RL = (RD * RL)/
(RD + RL)
の意味です。
また、電流の流れる方向とvoの極性の取り方から、式にはマイナスが付きます。
以上から、電圧増幅度Avを求めると
Av = vo/vi = −(vgs * gm) * (RD//RL)
/{vgs * ( 1 + gm * Rs)}
∴ Av = −gm * (RD//RL)
/( 1 + gm * Rs)
もし、仮に1 << (gm * Rs)が成り立つのであれば、
(この仮定は、必ずしも成立しないと思われるので、個別に検討要)
Av = −gm * (RD//RL)/(gm * Rs)
∴ Av = −(RD // RL)/Rs
さらに、RD << RLが成り立てば
Av = −RD/Rs
と簡単になります。
ここで、マイナスの符号はvoがviに対して、
位相が180度反転することを意味しています。
入力側カップリング・コンデンサCiの影響を検討します。
出力側カップリング・コンデンサCoをこの後の項で検討するように
無視出来る値(インピーダンス≒0)に設定し、Ciのみを残すと等価回路は
下図のようになります。

CiとRGはローカット・フィルタ(Low Cut Filter)を
形成するため、周波数が低くなると減衰を無視できなくなります。

この回路はCR回路そのものなので、カットオフ周波数(fi)は次の式となります。
fi = 1/(2π * Ci * RG)
出力側カップリング・コンデンサCoの影響を検討します。
入力側カップリング・コンデンサCiを無視出来る値(インピーダンス≒0)
に設定し、Coのみを残すと等価回路は下図のようになります。

ここで、制御電流源とドレイン抵抗(RD)をテブナンの等価回路に置き換えると
下図となり、ローカットフィルターを形成します。
最初は意外に感じますが、抵抗器Rsが消えてしまいます。
制御電流源の内部抵抗は無限大なので、Rsを接続しても出力に影響しないのですね。

カットオフ周波数を決めるためにvoの値を計算します。
vo = −(gm * vgs * RD) * RL /
{ RD + 1/(jωCo) + RL}
|vo| = (gm * vgs * RD) * RL /
√{ (RD + RL)2 + 1/(ωCo)2}
= (gm * vgs * RD) * RL /
[(RD + RL) √{ 1 + 1/(ωCo)2 *
1/(RD + RL)2}]
voが(gm * vgs * RD)の1/√2(=-3dB)になる角周波数ωは
上式の√の中が2となるときなので
1 + 1/(ωCo)2 * 1/(RD + RL)2 = 2
1/(ωCo)2 * 1/(RD + RL)2 = 1
両辺の平方根をとると
1/(ωCo) * 1/(RD + RL) = 1
ωCo = 1/(RD + RL)
∴ ω = 1/{Co * (RD + RL)}
カットオフ周波数をfoとすれば、
fo = 1/{2π * Co * (RD + RL)}
となります。
参考文献
- 簡明電子回路入門(1980 初版)、矢部初男著、槇書店
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