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コレクタ接地(エミッタ・フォロワー)の解析
本ページ見直し・完成。(2024/09/30)
回路図

等価回路
増幅回路自体の等価回路は下図にようになります。トランジスタは
コレクタ接地の小信号簡略化等価回路
で置き換えています。コレクタ接地では
入力インピーダンスを考える際は、次段の回路の入力インピーダンス(RL)が、
出力インピーダンスを考える際は、前段の回路の出力(信号源)インピーダンス(RS)が
影響するため、計算は少し(かなり?)面倒になります。

入力インピーダンス
- 解析方法(1)
真面目に(?)計算すると意外とたいへんなので、
以下の手順を考えてみました。

まず最初に、等価回路のx-x'より右側のインピーダンス:Zxを求めます。
キルヒホッフの電圧法則より以下の式が成立します。
(E点から右側に流れ出す電流は、ib + β*ib なので)
vi = hic * ib + (β+1) * ib * R
= [hic + (β+1) * R] * ib
ここに、
R = RE // RL
です。// は並列接続の記号です。なので
RE // RL = RE * RL/(RE + RL)
の意味です。また、RLは次段の回路の入力インピーダンスです。
Zxはvi/ibであるため、
Zx = vi/ib = hic + (β+1) * R
次にRB = R1//R2
とすれば、y-y'から右側を見たインピーダンス:Ziは
明らかにRBとZxを並列に接続したものです。すなわち、
Zi = RB//Zx
= RB//{hic + (β+1) * R}
この式と等価回路を比較してみると、Rが(β+1)倍に変換
されている
ところが特徴であり、入力インピーダンスが高くなることが判ります。
なお、ここでhicはhieと同じであり、
hie=1/(40 * IE) × βの概算式を使うことが
できます。また、一般的にβ>>1なので、β+1≒βとしてもよいので、
Zi ≒ RB//{hie + β * R}
- 解析方法(2)
真面目に(?)計算する方法により解析します

B点、およびE点についてキルヒホッフの電流法則を適用すると、
B点: i1 - Vi/RB - (Vi - Vo)/hic = 0 ・・・・・・・・・@
E点: (Vi - Vo)/hic * (β+1) - Vo/R = 0 ・・・・・・・A
ここに、
RB = R1//R2
R = RE//RL
です。RLは次段の回路の入力インピーダンスです。
これらの式の分母を払って整理すると(i1,Vi,Voに着目します)、
hic * RB * i1 - (hic + RB) * Vi
+ RB * Vo = 0 ・・・・・B
(β+1) * R * Vi - {(β+1) * R + hic} * Vo = 0 ・・・・・C
Cの式を「Vo=」の形に変形します。
Vo = (β+1) * R / {(β+1) * R + hic} * Vi ・・・・・(a)
この式をBに代入してVoを消去します。
hic * RB * i1 - (hic + RB) * Vi
+ RB * (β+1) * R / {(β+1) * R + hic} * Vi = 0
Viの項をまとめます。
hic * RB * i1 - [(hic + RB) * {(β+1) * R + hic}
- RB * (β+1) * R]
/ {(β+1) * R + hic} * Vi = 0
第2項の分子を展開すると、「RB * (β+1) * R」の項が消えるので、
hic * RB * i1 - { hic * (β+1) * R + RB * (β+1) * R +
hic2+ RB * hic - RB * (β+1) * R}
/ {(β+1) * R + hic} * Vi = 0
hic * RB * i1 - { hic * (β+1) * R +
hic2 + RB * hic}
/ {(β+1) * R + hic} * Vi = 0
各項にhicが共通項としてあるので、hicで割ります。
RB * i1 - {(β+1) * R + hic + RB}
/ {(β+1) * R + hic} * Vi = 0
Vi= の形に変形すると、
Vi = RB * {(β+1) * R + hic} / {(β+1) * R + hic + RB}* i1
ZiはVi/i1なので、
Zi = Vi/i1
= RB * {(β+1) * R + hic} / {(β+1) * R + hic + RB}
= 1/ [{(β+1) * R + hic + RB}/RB / {(β+1) * R + hic}]
= 1/ [1/RB + 1/{(β+1) * R + hic}]
この式は、ZiがRBと[(β+1) * R + hic]の並列接続であることを表しています。
すなわち、
Zi = RB//[(β+1) * R + hic]
ここでhicはhieと同じであり、
hie=1/(40 * IE) × βの概算式を使うことが
できます。また、一般的にβ>>1なので、β+1≒βとしてもよいので、
Zi ≒ RB//(hie + β*R)
以上が結論ですが、式の変形に疲れました。(^_^;;
出力インピーダンス
- 解析方法(1)
出力インピーダンスも真面目に(?)計算すると意外とたいへんなので、
まず、簡単な方法で求めます。
出力インピーダンスを求めるためには、等価回路においてvs=0とし
RLを取り去って、代わりに信号源(vo)を接続したと考えると下図のようになります。

まず、R1,R2,Rsはそれぞれ並列接続されているので、
RB = R1//R2
ρ = RB//Rs
としてRBとρを定義します。すると、
E点にキルヒホッフの電流法則を適用すると、
ib + β*ib - vo/RE - i2 = 0
ib * (β + 1) - vo/RE - i2 = 0・・・・・・・(b)
ここで、
ib = -vo/(ρ + hic)
の関係があるので、この式を(b)式に代入して変形すると
- vo * (β + 1)/(ρ + hic) - vo/RE - i2 = 0
- vo * {(β + 1)/(ρ + hic) + 1/RE} - i2 = 0
vo = - i2 /{(β + 1)/(ρ + hic) + 1/RE}
従って
Zo = -vo/i2
= 1 /[(β + 1)/(ρ + hic) + 1/RE]
= 1 /[1/{(ρ + hic)/(β + 1)} + 1/RE]
式の形からZoは{(ρ + hic)/(β + 1)}とREとの並列接続です。従って、
∴ Zo = {(ρ + hic)/(β + 1)}//RE
となります。
この式と等価回路を見比べると、(hic + ρ)が1/(β + 1)倍に変換
されて、低くなることが判ります。
ここでもhicはhieと同じであり、
hie=1/(40 * IE) × βの概算式を使うことが
できます。また、一般的にβ>>1なので、β+1≒βとしてもよいので、
∴ Zo = {(ρ + hie)/β}//RE
- 解析方法(2)
真面目に(?)計算する方法により解析します
出力インピーダンスを求めるためには、等価回路においてvs=0とし
RLを取り去って、代わりに信号源(vo)を接続したと考えると下図のようになります。

@、A式において、i1=-vi/Rs、RL=∞(∴R=RE)と置くと
-vi/Rs - Vi/RB - (Vi - Vo)/hic = 0 ・・・・・・・D
(Vi - Vo)/hic * (β+1) - Vo/RE - i2= 0 ・・・・・E
ここに、
RB = R1//R2
です。
これらの式をVi,Vo,i2に着目して整理すると、
- (1/Rs + 1/RB + 1/hic) * vi + vo/hic = 0 ・・・・・・・・F
(β + 1)/hic * vi - [(β + 1)/hic + 1/RE] * vo - i2 = 0 ・・・G
F式を変形して、vi=の形にします。
vi = vo/[hic * (1/Rs + 1/RB + 1/hic)]
= vo/[hic * (1/Rs + 1/RB) + 1]・・・・H
ここで、ρ=Rs//RBと置くと、
1/ρ=1/Rs + 1/RBとなるので、H式は次のようになります。
vi = vo/(hic /ρ + 1)
この式をG式に代入すると、
(β + 1)/hic * vo/(hic /ρ + 1) - [(β + 1)/hic + 1/RE] * vo - i2 = 0
第1項の分母分子にρをかけ、voの項を纏めます。また、i2を右辺に移項すると、
[(β + 1)/hic * ρ/(hic + ρ) - (β + 1)/hic - 1/RE] * vo = i2
vo= の形に変形します。
vo = i2/[(β + 1)/hic * ρ/(hic + ρ) - (β + 1)/hic - 1/RE]
(β + 1)/hicの共通項があるのでくくり出すと
vo = i2/{(β + 1)/hic * [ρ/(hic + ρ) - 1] - 1/RE}
[ρ/(hic + ρ) - 1]の中をhic + ρで通分すると分子のρが消えます。
vo = i2/{(β + 1)/hic * [(ρ - hic - ρ)/(hic + ρ)] - 1/RE}
vo = i2/{(β + 1)/hic * [- hic/(hic + ρ)] - 1/RE}
分母の第1項の分数は、分母分子にhicがあるので約せます。
vo = i2/{- (β + 1) /(hic + ρ) - 1/RE}
= - i2/{(β + 1) /(hic + ρ) + 1/RE}
Zoはvo/-i2であるので、
Zo = 1/{(β + 1) * /(hic + ρ) + 1/RE}
= 1/{1/[(hic + ρ)/(β + 1)] + 1/RE}
この式は、Zoが(hic + ρ)/(β + 1)とREの並列接続であることを示しています。
すなわち、
Zo = [(hic + ρ)/(β + 1)]//RE
この式と等価回路を見比べると、(hic + ρ)が1/(β + 1)倍に変換
されて、
低くなることが判ります。
ここでもhicはhieと同じであり、
hie=1/(40 * IE) × βの概算式を使うことが
できます。また、一般的にβ>>1なので、β+1≒βとしてもよいので、
∴ Zo = {(ρ + hie)/β}//RE
と、いう訳でZoの計算も式の変形に疲れました。(^_^;;
電圧増幅度
電圧増幅度:Av = vo/viですが、これは(a)式よりただちに以下のように求まります。
Av = (β+1) * R/{(β+1) * R + hic}
ここに、
R = RE//RL
です。また、RLは次段の回路の入力インピーダンスです。
ここで、β>>1であることと、
hic ≒ hie ≒ β*γ (γ=1/[40 * IE]) の近似式を使うと、
Av = R/(R + γ)
更に、R>>γである場合は、
Av ≒ 1
となります。なので、
vo = Av * vi = 1 * vi
∴ vo = vi
となるため、出力電圧は入力電圧に追従することからコレクタ接地は
エミッタ・フォロワとも呼ばれます。
入力コンデンサー(Ci)と入力インピーダンス(Zi)はローカット・フィルターを構成します。

そのカット・オフ周波数(fci)は
fci = 1/(2 * π * Ci * Zi)
∴ fci = 1/{2 * π * Ci * (RB//(hie + β*R)}
となります。
なお、信号源の内部抵抗(Rs)が無視できない場合、等価回路は下図となります。

この場合のカットオフ周波数をfciとすれば、ω=2π * fciなので
fci = 1/{2π * Ci * (Rs + Zi)}
となります。
しかし、回路によってはRsの値が特定出来ない場合もあります。
その場合、Rs=0[Ω]がワースト・ケースになるので、
fci = 1/(2π * Ci * Zi)
の式で計算すれば問題ないことになります。
出力コンデンサー(Co)と出力インピーダンス(Zo)と次段の入力抵抗(ZL)は
ローカット・フィルターを構成します。

なので、Coの値は、この増幅器の出力側のインピーダンスRLが
決まらないと決められません。
そのカットオフ周波数fcoとすれば、
fco = 1/{2 * π * Ci * (Zo + RL)}
∴ fco = 1/[2 * π * Ci * ({(ρ + hie)/β}//RE + RL)]
となります。
RLが不定の場合、RL=0がワースト・ケースになるので、
fco = 1/(2 * π * Ci * Zo)
で計算してもよいでしょう。
参考文献
- 簡明電子回路入門(1980 初版)、矢部初男著、槇書店
- 実験で学ぶ最新トランジスタ・アンプ設計法(1988 4版)、黒田徹著、ラジオ技術社
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