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読書備忘録 【共通感覚論】


作成開始(2023/08/06)

  1. 書名

  2. 書名著者出版社発行年購入備考
    共通感覚論 中村雄二郎 岩波現代選書 1984年 第10刷 1980年代中頃 工事中

  3. 全体的なメモ

  4. 個人的には初めて読んだ中村氏の著書となった。
    哲学者の書いた文献だが、次から次へと抽象的な単語が繰り出されるような文献ではない。
    感覚とは何かが大きなテーマのひとつなので、ある意味、誰にでも身近な問題とも言える。
    もちろん、だからと言って簡単な内容ではない。
    「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、感覚の中では視覚が最も重要と
    思われているが、そのような考えは歴史的には比較的新しい考え方であると同時に
    中村氏の分析では「体性感覚」(これは触覚とは少し違う)こそが最も統合的な感覚である
    と(たぶん)述べている。この点については、マイケル・ポラニーの「暗黙知」の議論との
    接点があるかもしれないと感じた
    また、エルンスト・マッハへの言及はないけれど、マッハの「感覚の分析」に
    通じるようなテーマを扱っているように思われた。

    中村氏は「弁証法と構造論は互いに補い合う関係にある」と主張しているが、
    弁証法に全く興味のない私にとって、今のところまだ弁証法への興味を引くに至っていない。

    余談だが、江戸川乱歩の小説だったかに、触る芸術作品というのが出てきた
    ようなかすかな記憶がある。
    (2023/8/06)
  5. 目次・参考文献・キーワードなど

  6. タイトルキーワード・メモ・感想等参考文献  備考  
    1 共通感覚の再発見
    1-1 常識の地平を
    問うもの
    ・「泉」(M・デュシャン)
    ・四分三十三秒(ジョン・ケージ)
    花嫁と独身者たち−
    現代芸術の五人の巨匠
    (カルヴィン・トムキンズ)
    1-2 鎌田柳泓と
    戸坂潤の場合
    ・常識
    1-3 <場としての
    約束事>
    1-4 コモン・センスの
    精神病理
    自明性の喪失
    (W.ブランケンブルク)
    判断力批判
    (カント)
    分裂病の現象学
    (木村敏)
    知覚の現象学
    (メルロ・ポンティ)
    自覚の精神病理
    (木村敏)
    異常の構造
    (木村敏)
    1-5 五感の組み換え キリスト教会が(中略)信仰とは
    聴くことであるとしていた
    (P-52)



    サド、フーリエ、ロヨラ
    (R・バルト)
    エミール(ルソー)
    芸術の原理
    (コリングウッド)
    人間拡張の原理
    (マクルーハン)
    バウハウス−歴史
     と理念(利光功)
    造形芸術の基礎
    (イッテン)

    2 視覚の神話をこえて
    2-1 視覚の逆理




    視覚の逆理が成り立つもっとも
    基礎的な前提は、三次元の
    空間を二次元に描くことで
    ある。(P-67)
    ・ネッカーの立方体(P-69)


    ・ペンローズの立法三角形
    (P-73〜74)
    パンセ(パスカル)
    数学的魔術の世界
    (M・C・エッシャー)
    監獄の誕生
    (M・フーコー)





    インテリジェント・アイ
    (グレゴリー)
    2-2 絵画の存在論 視覚の革命
    (A・ジュフロワ)
    2-3 脳の発達と
    視覚の支配
    2-4 触覚の現象学 ・視覚新論(G・バークリー)
    ・身体図式(メルロ=ポンティ)
    ・運動図式(ベルクソン)
    ・内臓感覚
    ・体性感覚
    2-5 諸感覚の
    <体性感覚>的統合
    ・運動図式(ベルクソン)
    ・身体図式(メルロ=ポンティ)

    ・キネステーゼ(フッサール)
    物質と記憶(ベルクソン)
    知覚の現象学
    (メルロ=ポンティ)
    2-6 <逆転視野の知覚>
    問題
    知覚の現象学
    (メルロ=ポンティ)
    (?)身体(文庫版:身体論)
    (湯浅 泰雄)
    3 共通感覚と言語
    3-1 イメージと
    良識の働き
    論理哲学論考
    方法序説
    考えるヒント2
    (小林秀雄)
    科学的認識の基礎?
    (ホワイトヘッド)
    人間の条件
    (ハンナ・アーレント)
    3-2 言語の力と
    コモン・センス
    ヨーロッパの教育
    (E・ガレン)
    3-3 レトリック喪失
    の時代
    パスカルとその時代
    (中村雄二郎)
    エミール(ルソー)
    3-4 <デカルト派言語学>
    をこえて
    情念論、省察、人間論
    (デカルト)
    感性の覚醒
    (中村雄二郎)
    宇宙論、哲学原理
    (デカルト)
    方法序説
    デカルト派言語学
    (チョムスキー)
    言語と哲学
    (J・J・カッツ)
    3-5 生活世界の
    二つの論理




    なぜ弁証法があらわれたのか、
    また弁証法を一見否定する
    かたちであらわれた構造論は
    弁証法とどのような関係に
    あるのか、ということも明らか
    にすることができる。(P-195)


    しばしば誤って考えられた
    ように、弁証法は構造論によって
    否定されたなどというものでは
    ない。そうではなくてむしろ
    両者は、互いに補い合う関係に
    あるのである。(P-198)
    一般言語学講義
    一般言語学
    (ヤコブソン)
    野生の思考






    哲学の現在
    (中村雄二郎)
    4 記憶・時間・場所
    4-1 記憶と人間
    4-2 古代<記憶術>
    の知
    4-3 センスス・コムニス
    と記憶
    ユングが伝える未開人の話は、
    (中略)「狂った人間だけが
    考える。奴らは頭で考える。
    私たちは考えたりしない。」
    と答える。(P-236)
    分析心理学
    (C・G・ユング)



    モモ(M・エンデ)
    4-4 時間と共通感覚 道化的世界
    (山口昌男)
    4-5 <場所>の諸問題

    私たちの身体は、皮膚によって
    閉ざされた生理学的な身体
    ではなく、その境界をこえた
    範囲にまで拡がっているので
    ある。(中略)私たちが道具を
    使って作業し行動するとき、
    道具ははじめは身体の外に
    ある補助具として働いている
    にすぎないが、使いこなされる
    にしたがって、内面化
    される。(P-263)





    およそ哲学の働きは、遠くかけ
    離れた一見したところ少しも
    似ていない物事の間に類似性を
    みとめることである。
    (P-274)
    言語が精神をつくるのであって、
    精神が言語をつくるのではない。
    (P-274)
    生物からみた世界
    (ユクスキュル)
    精神としての身体
    (市川浩)









    都市と空間
    (ボルノウ)
    アフリカの神話的世界
    生きられた家
    (多木浩二)








    野生の思考
    シンボルの哲学
    (S・K・ランガー)
    5 終章
    5-1 開かれた展望 現代芸術と精神医学がきわめて
    密接な関係をもっていることに
    ついては、すでに多くの人々に
    よって感じられ、また論じられて
    きている。(P-281)
    (略)私は、諸感覚の新しい分類に
    のっとりつつ、諸感覚のもっとも
    基礎的な統合を、(体性感覚)的
    統合として捉えた。(P-284)









    感性の覚醒
    (中村雄二郎)
    知の変貌
    5-2 残された問題 考える愉しみ
    (中村雄二郎)
    哲学の現在
    参考文献は本書記載の全てではなく、かつ同じとは限らない。
    ★印は特に重要な文献
  7. 参考・注記


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