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整流回路の動作


本ページ作成。(2021/09/01)
  1. 最初に

    1. 整流回路とは
    2. 交流電圧を直流電圧に変換する回路を整流回路と呼びます。
      ここに記載する回路は平滑回路を含んでいないので、整流波形は完全な直流とはならず
      いわゆる脈流となります。

    3. 理想ダイオードで考えます
    4. いずれの回路においても基本的な動作を考えるときは、 ダイオードは理想的な動作をするものと考えます。
      なので、順方向の電圧は0と見なします(実際はシリコン・ダイオードの場合なら約0.7Vとなります)。


    5. 整流前の交流電圧波形
    6. 入力波形(変圧器の二次側波形)Viは
      Vi = Vm sin(ωt)
      ここに、ωは角周波数、Vmは最大値、tは時間です。簡単化のため位相δは0とします。


      なおセンタータップ付き変圧器の場合は
      Vi+ = Vm sin(ωt)
      Vi- = −Vm sin(ωt)
      となるように電圧の極性を決めました。


      このようにセンタータップを基準電位(グランド)にとったので、波形は下記のように
      Vi+とVi-とで逆位相となります。


    7. 整流電圧の極性
    8. 以下のいずれの回路においてもダイオードの向きを反対にすると出力電圧の極性が変わります。
      例えば、正の出力電圧が発生する回路では、ダイオードを全て逆にすると
      負の電圧を発生することが出来ます。

  2. 半波整流回路

    1. 回路と概要
    2. ダイオード1個からなる最も簡単な整流回路です。
      2次側電圧(Vi)の正の半サイクルのみが出力電圧(Vo)に現れるため、
      半波整流回路と呼ばれています。


    3. 半波整流回路の動作と電圧波形
    4.  Vi>0のときVi<0のとき
      電流の経路
      電圧波形
      動作説明 ダイオード:Dは導通して、2次側電圧Viが出力Voに
      現れます。 従って、
      Vo = Vi = Vm sin(ωt) (0≦t<π/ω)
      ダイオード:Dは遮断して、出力Voは0[V]と
      なります。 従って、
      Vo = 0 (π≦t<2π/ω)

  3. 全波整流回路(両波整流回路)

    1. 回路と概要
    2. 変圧器の2次側に中点タップ(センタータップ:CT)が必要となります。
      ダイオードはふたつ必要となりますが、2次側電圧の正の半サイクルではD1が導通、D2は遮断、
      負の半サイクルではD1は遮断、D2は導通することにより、出力電圧(Vo)は全派整流されます。
      全派整流回路は別名両派整流回路とも呼ばれます。


    3. 全波整流回路の動作と電圧波形

    4.  Vi+>0, Vi-<0のときVi+<0, Vi->0のとき
      電流の経路
      電圧波形
      動作説明 ダイオード:D1は導通、D2は遮断して、
      出力電圧VoにはVi+が現れます。 従って、
      Vo = Vi+ = Vm sin(ωt) (0≦t<π/ω)
      ダイオード:D1は遮断、D2は導通して、
      出力電圧VoはVi-となります。 従って、
      Vo = Vi- = −Vm sin(ωt) (π≦t<2π/ω)

  4. ブリッジ整流回路

    1. 回路と概要
    2. 全波整流の一種ですがダイオードは4本必要となります。
      変圧器に中点タップ(センタータップ:CT)は必要ありません。


    3. 半波整流回路の動作と電圧波形
    4.  Vi>0のときVi<0のとき
      電流の経路
      電圧波形
      動作説明 ダイオード:D2,D3は導通、D1,D4は遮断して、
      2次側電圧Viが出力Voに現れます。 従って、
      Vo = Vi = Vm sin(ωt) (0≦t<π/ω)
      ダイオード:DはD2,D3は遮断、D1,D4は導通して、
      2次側電圧Viの極性が反転して出力Voに現れます。
      従って、
      Vo = −Vi = −Vm sin(ωt) (π≦t<2π/ω)

  5. 正負電圧が同時に取り出せるブリッジ整流回路

    1. 回路と概要
    2. 正負の電圧を同時に取り出せる全波整流回路です。
      ダイオードは4本必要となります。
      また変圧器には中点タップ(センタータップ:CT)が必要です。


    3. 全波整流回路の動作と電圧波形

    4.  Vi+>0, Vi-<0のときVi+<0, Vi->0のとき
      電流の経路
      電圧波形
      動作説明 ダイオード:D2,D3は導通、D1,D4は遮断して、
      出力電圧Vo+にはVi+が現れ、
      出力電圧Vo-にはVi-が現れます。
      従って、
      Vo+ = Vi+ = Vm sin(ωt) (0≦t<π)
      Vo- = Vi- = −Vm sin(ωt) (0≦t<π)
      ダイオード:DはD2,D3は遮断、D1,D4は導通して、
      出力電圧Vo+にはVi-が現れ、
      出力電圧Vo-にはVi+が現れます。
      従って、
      Vo+ = Vi- = −Vm sin(ωt/ω) (π≦t<2π/ω)
      Vo- = Vi+ = Vm sin(ωt/ω) (π≦t<2π/ω)

  6. 関連項目

    1. 変圧器の原理
    2. ダイオードの静特性

  7. 参考文献

    1. なし。



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