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エミッタ・フォロワーの解析(工事中)


工事中(2015/04/04)
  1. 等価回路

    増幅回路自体の等価回路は下図によにうなります。エミッタ・フォロワーでは
    入力インピーダンスを考える際は、次段の回路の入力インピーダンス:RL
    出力インピーダンスを考える際は、前段の回路の出力(信号源)インピーダンス:RL
    影響するため、計算は少し面倒になります。


  2. 入力インピーダンス

    1. 解析方法(1)
        真面目に(?)計算すると意外とたいへんなので、
        以下の手順を考えてみました。


        まず最初に、等価回路のx-x'より右側のインピーダンス:Zxを求めます。
        キルヒホッフの電圧法則より以下の式が成立します。
        vi = hic * ib + (β+1) * ib * R
        = [hic + (β+1) * R] * ib

        ここに、
        R = RE//RL
        です。RLは次段の回路の入力インピーダンスです。

        Zxはvi/ibであるため、
        Zx = vi/ib = hic + (β+1) * R

        次にRB = R1//R2
        とすれば、y-y'から右側を見たインピーダンス:Ziは
        明らかにRBとZxを並列に接続したものです。すなわち、
        Zi = RB//Zx
        = RB//[hic + (β+1) * R]

        この式と等価回路を比較してみると、Rが(β+1)倍に変換 されている
        ところが特徴であり、入力インピーダンスが高くなることが判ります。
        なお、ここでhicはhieと同じであり、 hie=1/(40 * IE) × βの概算式を使うことが
        できます。また、一般的にβ>>1なのでβ+1≒βとしてもよいので、

        Zi ≒ RB//[hie + β * R]

    2. 解析方法(2)
        真面目に(?)計算する方法により解析します

        B点、およびC点についてキルヒホッフの電流法則を適用すると、
        B点: i1 - Vi/RB - (Vi - Vo)/hic = 0 ・・・・・・・・・@
        C点: (Vi - Vo)/hic * (β+1) - Vo/R = 0 ・・・・・・・A

        ここに、
        RB = R1//R2
        R = RE//RL
        です。RLは次段の回路の入力インピーダンスです。

        これらの式を整理すると(i1,Vi,Voに着目します)、
        hic * RB * i1 - (hic + RB) * Vi + RB * Vo = 0 ・・・・・B
        (β+1) * R * Vi - [(β+1) * R + hic] * Vo = 0 ・・・・・C

        Cの式を「Vo=」の形に変形します。
        Vo = (β+1) * R / [(β+1) * R + hic] * Vi ・・・・・(a)

        この式をBに代入してVoを消去します。
        hic * RB * i1 - (hic + RB) * Vi + RB * (β+1) * R / [(β+1) * R + hic] * Vi = 0

        Viの項をまとめます。
        hic * RB * i1 - {[(hic + RB) * [(β+1) * R + hic] - RB * (β+1) * R} / [(β+1) * R + hic] * Vi = 0

        第2項の分子を展開すると、「RB * (β+1) * R」の項が消えるので、
        hic * RB * i1 - [ hic * (β+1) * R + RB * (β+1) * R + hic2+ RB * hic - RB * (β+1) * R] / [(β+1) * R + hic] * Vi = 0
        hic * RB * i1 - [ hic * (β+1) * R + hic2 + RB * hic] / [(β+1) * R + hic] * Vi = 0

        各項にhicが共通項としてあるので、hicで割ります。
        RB * i1 - [(β+1) * R + hic + RB] / [(β+1) * R + hic] * Vi = 0

        Vi= の形に変形すると、
        Vi = RB * [(β+1) * R + hic] / [(β+1) * R + hic + RB] * i1

        ZiはVi/i1なので、
        Zi = Vi/i1
        = RB * [(β+1) * R + hic] / [(β+1) * R + hic + RB]
        = 1/ {[(β+1) * R + hic + RB]/RB * [(β+1) * R + hic]}
        = 1/ {1/RB + 1/[(β+1) * R + hic]}

        この式は、ZiがRBと[(β+1) * R + hic]の並列接続であることを表しています。
        すなわち、
        Zi = RB//[(β+1) * R + hic]

        ここでhicはhieと同じであり、hie=1/(40 * IE) × βの概算式を使うことが
        できます。また、一般的にβ>>1なのでβ+1≒βとしてもよいので、

        Zi ≒ RB//(hie + β*R)

        以上が結論ですが、式の変形に疲れました。(^_^;;

  3. 出力インピーダンス

    1. 解析方法(1)
      出力インピーダンスも真面目に(?)計算すると意外とたいへんなので、
      まず、簡単な方法で求めます。



      まず、R1,R2,Rsはそれぞれ並列接続されているので、
      RB = R1//R2
      ρ = RB//Rs
      としてRBとρを定義します。すると、
      E点にキルヒホッフの電流法則を適用すると、
      ib + β*ib - vo/RE - i2 = 0
      ib * (β + 1) - vo/RE - i2 = 0・・・・・・・(b)

      ここで、
      ib = -vo/(ρ + hic)
      の関係があるので、この式を(b)式に代入して変形すると
      - vo * (β + 1)/(ρ + hic) - vo/RE - i2 = 0
      - vo[(β + 1)/(ρ + hic) + 1/RE] - i2 = 0
      vo = - i2 /[(β + 1)/(ρ + hic) + 1/RE]

      従って
      Zo = -vo/i2 = 1 /[(β + 1)/(ρ + hic) + 1/RE]
       = 1 /[(β + 1)/(ρ + hic) + 1/RE]
       = 1 /[1/{(ρ + hic)/(β + 1)} + 1/RE]

      Zo = [(ρ + hic)/(β + 1)]//RE

      となります。
      この式と等価回路を見比べると、(hic + ρ)が1/(β + 1)倍に変換 されて、低くなることが判ります。
      なお、ここでもhicはhieと同じであり、hie=1/(40 * IE) × βの概算式を使うことが
      できます。

    2. 解析方法(2)
        真面目に(?)計算する方法により解析します
        出力インピーダンスを求めるためには、等価回路においてVs=0とし
        RLを取り去って、代わりに信号源:Voを接続したと考えると下図のようになります。

        @、A式において、i1=-vi/Rs、RL=∞(R=RE)と置くと
        -vi/Rs - Vi/RB - (Vi - Vo)/hic = 0 ・・・・・・・・・D
        (Vi - Vo)/hic * (β+1) - Vo/RE = 0 ・・・・・・・E

        ここに、
        RB = R1//R2
        です。
        これらの式をVi,Vo,i2に着目して整理すると、
        - (1/Rs + 1/RB + 1/hic) * vi + vo/hic = 0 ・・・・・・・・・・・・・・・・・F
        (β + 1)/hic * vi - [(β + 1)/hic + 1/RE] * vo - i2 = 0 ・・・・G

        F式を変形して、vi=の形にします。
        vi = vo/[hic * (1/Rs + 1/RB + 1/hic]
         = vo/[hic * (1/Rs + 1/RB) + 1]・・・・H

        ここで、ρ=Rs//RBと置くと、
        1/ρ=1/Rs + 1/RBとなるので、H式は次のようになります。
        vi = vo/(hic /ρ + 1)

        この式をG式に代入すると、
        (β + 1)/hic * vo/(hic /ρ + 1) - [(β + 1)/hic + 1/RE] * vo - i2 = 0

        第1項の分母分子にρをかけ、voの項を纏めます。また、i2を右辺に移項すると、
        (β + 1)/hic * ρ/(hic + ρ) - (β + 1)/hic - 1/RE] * vo = i2

        vo= の形に変形します。
        vo = i2/[(β + 1)/hic * ρ/(hic + ρ) - (β + 1)/hic - 1/RE]

        (β + 1)/hicの項があるのでくくり出すと
        vo = i2/{(β + 1)/hic * [ρ/(hic + ρ) - 1] - 1/RE}

        [ρ/(hic + ρ) - 1]の中をhic + ρで通分すると分子のρが消えます。
        vo = i2/{(β + 1)/hic * [(ρ - hic - ρ)/(hic + ρ)] - 1/RE}
        vo = i2/{(β + 1)/hic * [- hic/(hic + ρ)] - 1/RE}

        分母の第1項の分数は、分母分子にhicがあるので約せます。
        vo = i2/{- (β + 1) * /(hic + ρ) - 1/RE}
         = - i2/{(β + 1) * /(hic + ρ) + 1/RE}

        Zoはvo/-i2であるので、
        Zo = 1/{(β + 1) * /(hic + ρ) + 1/RE}
          = 1/{1/[(hic + ρ)/(β + 1)] + 1/RE}

        この式は、Zoが(hic + ρ)/(β + 1)とREの並列接続であることを示しています。
        すなわち、
        Zo = [(hic + ρ)/(β + 1)]//RE

        この式と等価回路を見比べると、(hic + ρ)が1/(β + 1)倍に変換 されて、低くなることが判ります。
        と、いう訳でZoの計算も式の変形に疲れました。(^_^;;


  4. 電圧増幅度

        電圧増幅度:Av = vo/viですが、これは(a)式よりただちに以下のように求まります。
        Av = (β+1) * R/[(β+1) * R + hic]

        ここに、
        R = RE//RL
        です。また、RLは次段の回路の入力インピーダンスです。

        ここで、β>>1であることと、hic≒β*γ(γ=1/[40 * IE])の近似式を使うと、

        Av = R/(R + γ)

        更に、R>>γである場合は、

        Av ≒ 1

        となります。

  5. 参考文献

    1. 簡明電子回路入門(1980 初版)、矢部初男著、槇書店
    2. 実験で学ぶ最新トランジスタ・アンプ設計法(1988 4版)、黒田徹著、ラジオ技術社


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