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コラム(1) ゲルマニウム・ラジオ



私が電子工作を始めた最も古い記憶は、小学校4年生のときに作ったゲルマニウム・ラジオです。
学校の図書室で見つけた、理科に関連した本に掲載されていたのを見て、作ろうと思いました。
たぶん、ゲルマニウム・ラジオの製作は、私以前の世代では電子工作の世界にのめり込む
最も典型的なきっかけだったと思われます。
近年は、様々な電子機器が身の回りに溢れているので、この世界に入った人の動機は
様々であろうと想像されます。とは言え、
私は、大学では一応(?)電子工学を学んだのですが、そのような大学でも実験や卒研などは
別にして自分で電子工作をやっている人は極めて少数でした。
(逆に、電子工作を趣味にしている人は、ものすごいものを作っていましたが・・・) (^^;

さて、5年ほど前(2007年頃)久しぶりにゲルマニウム・ラジオを作ろうと思い立ちました。
きっかけは、台所にあるラップの芯です。いつも捨ててしまうあのラップの芯を何かに使えないか?
いつもそう考えいて思いついたのが、直径がほぼ昔のAMラジオのコイルくらいであることと
紙で出来ているため電気的な影響を受けないこと、また構造的にも安定であることから
コイルを製作することを考えました。
よし、ラップの芯でコイルを製作してゲルマニウム・ラジオを製作しよう!

ゲルマニウム・ラジオの回路例


ところで、実際コイルを巻いてみるとなかなか奥が深い世界でした。
仕事柄電子回路の設計はある程度やっていますが、ほとんどディジタル回路の世界しか
やった経験がありません。近年はオンボードのスイッチング電源やイーサネットのパルストランス
とかインダクターを使用することもありますが、とは言え自分でコイルを設計する訳ではありません。
例えば、コイルを設計する場合、組み合わせるバリコンと共振させる周波数から必要なインダクタンスが
計算出来ますが、一般的にはコイルのQとか、前後の回路とのインピーダンス・マッチング
とゆう問題があり、とりあえず動くから、更により性能を高める、ところを狙うと
なかなか面倒(?)な問題があることに改めて気づかされました。
ラジオの場合、共振回路のQは聴感との関係もあり一概に理屈では割り切れない面もあるようです。
また、インピーダンス・マッチングは常識的な話ですが、ゲルマニウム・ラジオの場合、
後段の検波回路のインピーダンスはいくらになるのか、また、前段のアンテナ回路の
インピーダンスもいくらなの?
なんて、考えだすと、いつまで経ってもラジオが完成しないので、(^o^;
とりあえず最初は動作すればOKとゆうところで妥協(?)したものでした。

さて、ゲルマニウム・ラジオとは言うまでもなく、検波器にゲルマニウム・ダイオードを
用いているからで、回路構成は同じでも古くは検波器に鉱石検波器を使用した、
鉱石ラジオなんて言い方もありました。(私は鉱石検波器は見たことがないです)
一方、ゲルマニウム・ダイオードは工業的にはほとんど生産されなくなったと思われ
入手が難しい場合もあるようなので、代替品としてシリコン・ショットキー・ダイオードを
使用したラジオの製作例も見かけるようになりました。
本来なら、その場合「シリコン・ショットキー・ラジオ」て呼ぶべきのような気もしますが(^o^;
皆、ゲルマニウム・ラジオと呼んでいるようです。
(2013/08/12記)


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