JH8CHUのホームページ>読書備忘録>西太平洋の遠洋航海者

読書備忘録 【西太平洋の遠洋航海者】


作成開始(2021/12/07)

  1. 書名

  2. 書名著者出版社発行年購入備考
    西太平洋の遠洋航海者
    (世界の名著71)
    マリノフスキー 中央公論社 1990年 第7版 1993年7月  

  3. 全体的なメモ

  4. 世界の名著71の前半が「西太平洋の遠洋航海者」。後半はレヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」。
    本備忘録では「西太平洋の遠洋航海者」についてのみ記載。
    ニューギニア島東端の先に点在するトロブリアンド諸島を含めた島々で行われていた
    クラと呼ばれる交易を世界に紹介し、文化人類学に大きな足跡を残した文献。
    ちなみに本書は文字が小さく、見かけより分量が多い。ので読むのがとても疲れる(-_-;

    豚の丸焼きを作る際、生きた豚を火にかけて悲鳴を楽しむ、との記述は残酷に感じるため
    とくに印象に残ってしまうが、本書の要点ではない。(^^;
    クラの交易には様々な複雑な規則やタブーがあり、人間にとって贈与行為がいかなる意味を
    持っているのかを考察する貴重な記録。
    また、クラに使うカヌーの製作過程をはじめ、日常生活においても呪術が大きな影響力を持っている。
    このような生活を原始的・未開と上から目線で見ることは出来ないと思う。
    何故ならば、例えば現代日本においても、正月になれば神社に参拝に行って賽銭を投げたり
    願い事を絵馬に書いて奉納する、お守りを身に着ける人などが多くいることとな何ら変わりないと思うので。
    具体的な信仰の形は文化によって異なるが、このような信仰に何故人の行動を規定する力が
    あるのかを考えることが重要だと考える。(それらは経済的合理性とは異なる。)
    あと、第6章の現地人の労働観についての記述は興味を引かれた。
    (2021/12/07)
  5. 目次・参考文献・キーワードなど

  6. タイトルキーワード・メモ・感想等参考文献  備考  
    序論 この研究の主題・方法・範囲
    1 クラ地区の風土と住民
    2 トロブリアンド諸島の原住民 ・ここの原住民たちは母系
    である。(P.139)
    ・生理学的な父親という概念は
    知られておらず<中略>父と子との
    あいだには親族・血縁の
    きずなは存在しないと
    考えられている。(P.140)
    ・<略>彼らが幽霊を恐れたり<中略>
    薄気味悪いという感覚をぜんぜん
    もっていない<略>(P.140)
    ・原住民の恐怖はすべて黒呪術、
    空飛ぶ魔女、病気をもたらす悪霊、
    そしてとくに妖術師と魔女に
    向けられる。(P.140)
    母系社会
    3 クラの本質 クラの主たる目的は、実用性のない
    物品を交換するにあるのだから、
    必要に迫られて行うもの
    ではない。(P.150)
    クラの財宝は、多くの「儀式用」の
    宝物<中略>で、あまりに
    装飾的なため実用に向かないもの
    (P.155)
    贈物には、ある時間をおいて等価の
    お返しをしなければならない
    のだが<中略>その場で相互に交換
    することは、けっして
    ゆるされない。(P.161)
    ギブ・アンド・テイクに関する
    諸規定という社会的な掟が、彼らの
    生来の利欲的傾向よりはるかに
    強い力を発揮している。(P.162)
    重要な点は、彼らにとって、
    所有することは与えることだ
    という点である。(P.162)

    原始共産制は
    誤った概念
    4 カヌーと航海 必要な呪術さえ記憶されていれば
    空飛ぶカヌーを作ることすら
    可能だという。(P.176)
    5 ワガの儀式的建造
    6 カヌーの進水と儀礼的訪問
    −トロブリアンド諸島の
      部族経済
    彼らは部族の慣習によって、
    定められた義務のために
    いやおうなしに労働するか、
    あるいは、慣習と伝統に支配される
    野心や価値のためにすすんで
    労働するかのいずれかである。
    文明社会では利得が労働のための
    刺激となることが多いが、純粋な
    原住民社会では、これは刺激として
    の役割を果たさない。(P.198)
    彼らの社会は、組織された労働力を
    利用することが可能なように
    できている。(P.198)
    食物の蓄積は、経済的に将来を
    おもんばかって行われるばかり
    ではなく、富の所有によって社会的
    特権を高めたり、みせびらかし
    たいという欲望に
    うながされている。(P.206)
    豚を、<中略>生きたまま丸焼きに
    するのであるが、村人たちや
    近在の人々は、その光景を眺め、
    豚の悲鳴を楽しむ
    のである。(P.208)
    彼らは人にものをあげるという
    ことをあれほど熱心に考える
    がゆえに、自分のものと人のもの
    とのあいだの区別がなくなる
    どころか、むしろひどく
    なるのである。(P.212)
    贈与の基本的な動機は、所有と権力
    とを誇示したいという虚栄心
    であって<以下略>(P.212)
    7 渡洋遠征への出発
    8 船団のムワへの最初の停泊
    9 ピロルの内海を航行する
    10 サルブウォイナの浜辺にて
    11 ドブーにおけるクラ
    −交換の専門の技術
    12 呪術とクラ 儀礼や呪文は<中略>単なる付属品
    ではないのである。
    むしろその反対に、呪術にたいする
    信仰こそ、トロブリアンド諸島
    における経済的努力の組織化と
    体系化を可能にする。(P.294)
    呪術は<中略>人の力で地下から
    持ってこられたものに
    なっている。(P.300)
    呪術の効果は<中略>人間の活動
    の効果とは全く別なあるものと
    考えられている。原住民たちは、
    カヌーの速度と浮揚力は、それを
    作った人の知識と仕事によることは、
    ちゃんと知っている。(P.322)
    13 クラの意味 <略>クラはものを所有したいという
    深い欲望をみたそうとしてそれ
    自体を目的として行われる(P.332)
    彼らが富のしるしと考えるものは、
    貨幣とか通貨として
    使われたり、みなされたりする
    ことがない。(P.332)
    それは、物々交換ともいえないし、
    単なる贈物のやりとり
    でもない。(P.333)
    参考文献は本書記載の全てではなく、かつ同じとは限らない。
    ★印は特に重要な文献
  7. 参考・注記


JH8CHUのホームページ>読書備忘録>西太平洋の遠洋航海者


Copyright (C)2021 Masahiro.Matsuda(JH8CHU), all rights reserved.