JH8CHUのホームページ>電源回路>半波整流回路の設計
半波整流回路の設計
工事中(2013/05/04)
機能
交流電圧から必要な値の直流電圧を生成します。
交流電圧のうち、半サイクルのみ使用するため半波整流と呼ばれます。
半波整流は力率が悪いことから、近年商用としては使用が禁止されつつ
あるようです。
回路図
動作原理
- 変圧器
負荷抵抗が必要とする直流電圧に合わせて二次側の電圧を適当な値に
変圧します。
- 整流回路
電流を一方向にしか流さないダイオードや二極管の機能を利用して
交流を直流に変換します。
半波整流回路の場合、交流電圧の半サイクルのみを使用します。
- 平滑回路
整流したままの直流は脈流でありリップル分が多すぎて多くの電子回路では
そのまま使用することが出来ないため、平滑回路によりリップル分を減衰させ
理想的な直流に近くします。
部品選定
- 選定条件
(1)負荷抵抗:RL
(2)負荷抵抗両端の直流電圧:Vo
(3)変圧器の二次側の内部抵抗:Rs
(4)負荷抵抗両端のリップル電圧:Vr(p-p)
(5)一次側の電圧変動:±ε[%]
(6)負荷電流の変動:考慮しない。(つまり0[%])
- 変圧器
変圧器選定にあたり、最も重要な仕様は二次側の定格電圧と定格電流です。
(1)定格電圧
変圧器の定格電圧は、定格電流を取り出したときの電圧であるため
無負荷に近いときの二次側電圧は定格電圧よりやや高くなります。
また、一次側の電圧変動も考慮する必要がありますが
特に指定がなければ±10%を考慮すればいいかと思います。
まず、変圧器の定格電圧をVi(typ)、無負荷時の変圧器の二次側電圧を
Vm(rms)、変圧器の二次側の内部抵抗をRs、負荷抵抗両端の
直流電圧をVo、負荷抵抗に流れる電流をIo
変圧器の定格電流をIi(max)とすれば、
Vm(rms) = Vi(typ) + Ii(max)×Rs
Vo = √2×Vm(rms) - Io×Rs
∴Vo = √2×(Vi(typ) + Ii(max)×Rs) - Io×Rs
Vo + Io×Rs = √2×(Vi(typ) + Ii(max)×Rs
Vo + Io×Rs - √2×Ii(max)×Rs = √2×Vi(typ)×Rs
従って、
Vi(typ) = (Vo + Io×Rs - √2×Ii(max)×Rs)/(√2×Rs)
変圧器の二次側の電圧は一次側の電圧に比例するため
一次側の電圧変動率をε[%]とすれば二次側もεとなるため
必要な電圧Voを得るための二次側定格電圧Viは
Vi = Vi(typ)×(100 + ε)/100
(2)定格電流
変圧器に流れる電流は、負荷抵抗に流れる電流Ioとは異なり
平滑コンデンサを充電するときにのみ流れるためパルス状に
なります。このため、変圧器の定格電流はIoより大きな値が
必要となります。この値は解析的に解くことは困難であり
近年は回路シミュレータで算出可能なようですが、従来は
O.H.Schadeの計算図表が用いられていました。
- コンデンサ
(1)静電容量
許容リップル電圧から計算します。
静電容量を大きくすれば、平滑コンデンサが放電する際の電圧の
変化が小さくなるため、リップル電圧が小さくなることは直観的には
理解出来ますが、解析的には解くことが難しいため、
近似計算します。
Vr(p-p)≒Vo/(CRLf)
Vr(rms)≒Vo/(2√3×CRLf)
(2)定格電圧
(3)リップル電流
- ダイオード
(1)逆方向最大電圧(VR(max))
(2)(順方向)平均電流
(3)(順方向)最大電流
(4)サージ電流
関連項目
- 変圧器の原理
- ダイオードの静特性
- コンデンサの過渡応答
- 電解コンデンサの信頼性
- ヒューズの規格
JH8CHUのホームページ>電源回路>半波整流回路の設計
Copyright (C)2013 Masahiro.Matsuda(JH8CHU), all rights reserved.